編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

独裁国家か

 週末、小学校に通う娘の同級生3人が家まで来た。1人は中国の女の子だった。娘の学校には外国の子が増えていて、運動会などでも多くはないが多国籍な姿を見る。実際、町中にも多くなっている。

 この時期、卒業式では国歌を斉唱させる学校は多い。その際に懐疑的な教員や生徒が起立しているか、過去には歌う口元までチェックしたこともある。どこの独裁国家かという話だ。昨年6月に文科相は国立大学にも「日の丸」掲揚と「国歌」斉唱を「要請」したから頭が痛い。

 とうぜん「愛国心」イデオロギーの押しつけは国際競争でしのぎを削っている大学側からは失笑を買った。そんないびつな大学に国際的人材が好んで来るはずもないからだ。小学校でも英語教育を積極的に導入し、「グローバル人材」を育てようとしているのにだ。もちろんグローバル化を手放しで支持するわけにはいかないが。

 とくに今気になるのは社会の貧困化だ。ランドセルや制服が買えずに、入学式を欠席する子どもがいる。大人になにができるのか。