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従軍「慰安婦」の問題を整理しよう

 今週号の特集を読む前に、従軍「慰安婦」、すなわち「軍事的性奴隷」の問題をちょっと整理しよう。

まず、この議論はほぼ決着がついているということ。それを安倍首相や石原慎太郎氏、片山さつき氏らが蒸し返している構図がある。「『慰安婦』問題」の議論については本誌二〇一二年九月一四日号掲載の西野瑠美子論文が論旨明快だ。まず、日本政府は中国人、フィリピン人、オランダ人など「慰安婦」強制連行は認めており、「強制性」を示す証拠もある。

問題は日本植民地下の朝鮮や台湾における「強制性」である。文書による証拠がないのである。「慰安婦」は就業詐欺などによって調達されたからだ。これについて、二〇〇七年三月五日参議院予算委員会で安倍氏も「間に入った業者が事実上強制していた広義の強制性はあった」と答弁している。

 しかしここから立場がわかれる。安倍氏や片山氏、彼らの支持者は、自らの意思で売買春をしたとし、政府の免罪を主張する。しかし国際社会ではそのような態度は通用しないのである。(平井康嗣)