編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

戦時下の思考

 今年は日付けと曜日が、本誌創刊の年(1993年)と同じ。ささやかな喜びを感じつつ、カレンダーをめくる。『月刊金曜日』1号と同じ7月23日号は……そうか、東京五輪のために発売日だけ21日に早まる。

 同号で故筑紫哲也編集委員は当時、人々が物事を考えるときの枠組みに影響を与えていることのひとつに「冷戦は終った」をあげている。

 しかし、自分たちはまだ「冷戦時代に培養された思考」にとらわれており、それは戦時下の思考と変わらないとも。そしてそれを克服する必要があることを指摘している。

 それから28年経った今国会。閉会間際に、強権的で重大な人権侵害の恐れがある重要土地等調査・規制法案を、たいした議論もなく通過させようとしている。今号の複数の記事でも危険性を指摘している。

「戦時下の思考」とも通じるこの法律が、なぜ2021年の今、まかり通るのか、私にはわからない。ちなみに28年前のこの夏、第40回衆議院総選挙で安倍晋三議員が誕生している。