編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

文化新聞『土曜日』

 84年前の7月4日、反ファシズムの文化新聞『土曜日』が創刊された。編集兼発行名義人は、大部屋俳優の斎藤雷太郎さんだった。昨年末、ヘウレーカから出版された口伝を今週号で取りあげている。

 斎藤さんについては、「憲法寄席」の主催者で本誌読者でもある高橋省二さんからあるお芝居の台本を見せて貰ったことから関心を抱いた。「冬の蕾 斎藤雷太郎と新聞『土曜日』を生きた人々」だ。グループ演劇工房の木内稔さんが演出し、2001年には上演されている。

 近現代史研究者の井上史さんは、作品をみてはいないが、木内さんが関係者に熱心に取材されたことはご存じだった。治安維持法下でいかに人々が志を抱きながら生きていたかが鮮やかに描写されている。画質は悪いがビデオがあるそうなので、いつか見せて貰おうと思っている。

 井上さんによると斎藤雷太郎さんに取材をしたドキュメンタリーもあるという。制作者の青柳正さんを探して調査されているので報告を待ちたいと思う。