編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

佐高信編集委員が「新・政経外科」で、古市憲寿氏を曽野綾子氏と対比していた

編集長後記

 佐高信編集委員が5月16日号の「新・政経外科」で、古市憲寿氏を曽野綾子氏と対比していた。古市氏がその前号で「『戦争』に興味がなくて」と発言しているのは、巧妙なブラッシュボールの投げ入れだろう(佐高編集委員の批判も同じ)。そうでなければ古市氏は戦跡を取材して出版したりしない。そもそも戦争のような日本の暮らしに身近ではない事象に興味を持つことを当たり前と考えてしまうのはおかしい理屈だ。

 私は自分の興味と他人の興味とはたいていの場合、違うだろうと考えている。自分が注意して見つめなければならないのは、戦争や集団的自衛権について興味を持った前提である。自分で自分をある方向性へ洗脳することは案外たやすいものだからだ。いまならネットで都合のよい偏った情報を集めればいいし、自分の信じるメンターをつくればいい。だから自衛隊や防衛省関係者は気持ちのよくなる『産経新聞』ばかり読む。戦後69年の今こそ自分の考えを借り物ではなく、つかみ直す作業が大切では。 (平井康嗣)