編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

上海リニア

 2007年に上海を旅行した際、世界で唯一の高速リニア「上海トランスラピッド」に乗った。14年も前の話なので記憶も曖昧だが、走り出してから間もなく体が浮くような感覚になったのを覚えている。耳も痛くなった。それもそのはず。通常の営業運転では時速430㎞を出していたそうで、市街から空港までの走行時間はわずか7分20秒。確かに、「あっという間に着いた」ことはしっかりと記憶している。しかし、そんな早い乗り物が人体に影響を与えないと言えるだろうか。20年5月27日付『東洋経済オンライン』によると、沿線住民が地元自治体に「磁場の発生や低周波による人体への影響」を訴えていたという。

 さて、日本でもJR東海が27年開業を目標にリニア計画を進めている。今号の特集では、リニア中央新幹線の問題点についてさまざまな角度から探った。リニア中央新幹線が実現すれば、品川から新大阪まで67分で行けるようになるというが、速さを追求することで失われるものも大きいのではないか。