編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

石牟礼道子さん

 石牟礼道子さんの訃報が入った。石牟礼さんは小誌立ち上げ時の5人の編集委員のおひとりだ。その後も小説「天湖」の連載、インタビュー記事などで登場いただいた。

 今週号では落合恵子、田中優子、両編集委員と鎌田慧さんが追悼原稿を書いてくださった。いずれ特集記事を組めればと思う。

 創刊当初の記事では故住井すゑさんとの「作品空間」を踏まえた対談、染織家の志村ふくみさんとの「染」をめぐる対談などが印象深かった。今秋上演予定の石牟礼さんの新作能「沖宮」では、志村さんが衣装を監修されると聞いた。

 小誌では昨年3月17日号で石牟礼さんのインタビュー記事を掲載している。死者と共同体とのつながりという話のなか、かつての水俣での送りについて言及されている。「亡くなった人の魂と共同体の魂がつながっている」から、「お悔やみ申し上げる」というのは「ちょっと違う」。「亡骸を振り返りながら、次の一歩を踏み出す」と語られた。

 いま、そのことばを噛みしめる。