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コンビニ批判がマスコミタブーなら、本誌が「身体検査」をしてみる

 慣れは恐ろしい。ドトールやスターバックスなどには、意地でも入るかと思っていたのが、今では平気でコーヒーを飲んでいる。コンビニを使うくらいなら、多少歩いてもスーパーや小売店に行くぞと、自ら言い聞かせていたのに、週に何回も足を運ぶまでになってしまった。情けないといえば情けない。

 ファストフードの店が嫌いなのは、トレイを持って並ばなくてはいけないからだ。ついつい、学食や社員食堂を思い浮かべてしまう。ブロイラーになった気分に陥ることもある。これは所詮、趣味の世界の話だが。

 コンビニ嫌いのほうは、なんといっても商品の質の悪さ。弁当など、とても食べられる代物ではなかった。全体に価格が割高なのも気に入らない。ただ、最近は、かなり商品の改善が進んでいるのも事実。ものによっては、そこそこおいしかったりする。

 一方で、一向に改善されないのは、企業の質である。フランチャイズオーナーの使い捨て、厳しい労働条件、隠蔽体質……。これらは店舗の棚に飾ってあるわけではなく、消費者の目に直接、触れることはない。
 
 セブンーイレブンが日本に上陸した当時の70年代半ば、埼玉県内でオーナーの一人に取材したことがある。「ほぼ24時間、働きずめ。これでは身が持ちそうにない」。もともとは農業をしていたが、「土地の有効利用をしてはどうか」と勧められたという。コンビニオーナーが決して「いい商売」ではないことが表面化するのは、それからかなり時間がたってからだった。
 
 実際、いくつもの店がつぶれ、オーナーの自殺や夜逃げといった事件も起きた。裁判も起こされている。だが不思議と、コンビニの闇は、それこそ闇の中に紛れてきた。原因の一つは、マスコミの姿勢にある。
 
 コンビニやその親会社は、広告面でマスコミの大スポンサーだ。だから批判記事が書きにくいのである。また、大手出版社も含め、自社の媒体がコンビニに置いてもらえなくなるかもしれない、との危機感から尻込みをするのも実態だ。

 企業ジャーナリズム批判はさておき、このままコンビニの横暴を放っておくわけにはいかない。ここはひとつ、本誌が”立ち入り検査”をしてみよう。 (北村肇)