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一強支配の意味

 自民党の一強支配が意味するものはなにか。それは組織は割れれば弱くなるということだ。

 立党以来の党是という自主憲法制定も、自民党は一貫して強く主張してきたわけではない。政権与党は日本に住む全住民を相手に政治をせねばならぬから、優先されるのは自ずと大衆の日々の暮らしであった。

 だから55年体制以来の歴史は同党に引き継がれているとはいえ、歴史の内実にズレはある。一方戦後の47年、比較第一党である社会党の内閣が存在したが、連立ゆえに基盤が弱く、産業界の反発や内部分裂もあり、片山哲首相は1年足らずで退陣。その後、社会党は左右に分裂するが護憲と反日米安保で統一し、対抗して自民党も誕生した。そして自民党だけが分裂の危機を乗り越えながら今に至る。

 “永遠の野党”日本共産党も政策を修正しながら2022年で立党100年を迎え、存在感を示す。2人が同調すれば政治は生まれるが、政権政党は大衆を相手にする。野党が未来を見すえるならば、今はふてぶてしいまでの忍耐が必要だ。