編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

セルフコントロール

 日本でもっとも注目されている自治体の一つ、沖縄県の県議会議員選挙が6月5日投開票され、辺野古反対を掲げる翁長知事を支える与党が議席を増やす大勝をした。地方議会だが結果が外交にまで直結する。

 地元紙は〈県議選与党大勝 辺野古移設を断念せよ 民意無視はもう許されない〉(『琉球新報』)、〈与党が過半数堅持 基地への拒否感根強く〉(『沖縄タイムス』)と報じた。安倍政権が推進する辺野古への米軍新基地建設は、またしても沖縄県民の大多数の民意によって否定されたと言い得るだろう。

 この大勝は民主主義の勝利なのか。私はそもそも民主主義にはアクセルではなく権力が暴走しないブレーキの役割が求められていると考える。そのために憲法には三権分立、二院制、普通選挙があり、地方自治と中央政府が拮抗し、権力行使の速度を落とさせる。それが国家に内在させたセルフコントロールであり、理性であり、知恵だ。

 政治家にしろヘイト屋にしろ、私は反射的にセルフコントロールから逃走する人間を警戒する。