編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

世代交代論

 年明けだというのに年末の話で恐縮ですが、師走にライターの竹内一晴氏に誘われてAKBグループの紅白対抗歌合戦を観覧した。終わコンだ、学芸会だと言われながら激しい芸能界で生き延び続ける姿には感心したが、年明けのシングルには引退した前田、大島、篠田、板野が復活参加すると発表された。素人目にはサプライズで面白いと反応したのだが、熱心なファンの竹内氏は「これはだめだ」とすぐに呟いていた。そして大晦日。格闘技では因縁の決着をつけるという触れ込みでサップ×曙、魔裟斗×KIDが対戦。紅白では松田聖子に近藤真彦が大トリで登場、総じてその年のヒット曲ではなく往年の曲中心だった。この世代交代のなさ、過去のしがらみ、ビジネス的な粉飾臭。これが成熟社会なのか。
 安倍政権も積年の「慰安婦」問題を年末の土壇場で決着したつもりらしいが、被害者側不在のプロレス的ボス交渉では片はつかないだろう。年末の各方面の「全力」が戦後71年の日本を暗示している気がしてならない。