編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

『テラフォーマーズ』はキモいゴキブリとヒトとの闘いを描いている。

編集長後記

「この漫画がすごい2013」オトコ編で一位になった『テラフォーマーズ』は火星で進化を遂げたキモいゴキブリとヒトとの闘いを描いている。容赦なくヒトを殺戮するゴキブリの意思を理解しかねる登場人物は、ゴキブリは俺たちのことを怖れているのではなく、嫌っているのでは。駆除されるのは俺達だ、と呟く。

 この国の首相は日本国憲法をたいして読んでもいないようなのにともかく改正と言う。それは怖れか。案の定、自民党の憲法改正草案は超論理的、超憲法的な仕上がりになった。日本を愛していると思いこんでいるおっさんが寿司をつくろうとして自慢気に並べたのがカリフォルニアロールだったという衝撃だ。米大統領の口にも合うようにつくる“愛国者”ぶりも見せた。

 ともかく権力者は自らが暴走しない仕組みを心がけるべきだ。それが憲法をつくる意味だ。しかし少しでも気にくわないとフェイスブックで攻撃する首相に自制する意思を求めるのは酷だ。首相の将来のためにも憲法改正の棚上げをお薦めする。 (平井康嗣)