きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

「良識」ある民主党議員は党を出るべきだ

<北村肇の「多角多面」(82)>

 どんよりとした空気に息苦しい。梅雨入りのせいではない。あまりにも厚顔で、あまりにも愚鈍で、あまりにも人権感覚のない人間が放つ言葉が、大気を汚しているのだ。小泉純一郎氏のときも、安倍晋三氏のときも「最悪の時に最悪の首相」という表現をした。だが、野田佳彦首相はその二人をも超えている。考えたくはないが、もはや日本は引き返すことのできない奈落に入り込んでしまったのかもしれない。

 消費税増税は本来、自公政権時代の「マニフェスト」であり、民主党は「増税の前に行政改革」を訴えて政権の座についた。それがいつの間にか逆転していたこと自体、ありうべからざることだったのに、野田首相は増税に「政治生命を賭けて」しまった。この段階でその厚顔ぶりにあんぐりしていたら、法案の先行きが不透明になると、今度はもともとのマニフェストをかなぐり捨てて自公に寄り添うという、空前絶後の有権者無視に踏み切った。

 以前から気になっていたのだが、野田首相の目は絶えず泳いでいる。国会での答弁も記者会見でもそうだ。「自分」のない証拠である。財務省に何をどう吹き込まれたのかわからないが、「何が何でも増税」というミッションに踊らされているようにしか見えない。自らの政治信条、理念、理想、そしてそれらを市民に訴える「言葉」を持たない首相は愚鈍と呼ぶしかない。

 自公との“談合”が成立した翌日、間髪を入れずに大飯原発再稼働を宣言した。「国民を守るため」という、これを喜劇として何を喜劇と呼ぼうかという言辞を弄す首相の目は、相変わらず泳いでいた。財務省と二人三脚の財界にどう受け止めてもらえるかのみを考えていたのか、言葉とは裏腹に市民への愛情はおよそ感じ取れなかった。

 ここまできたら断言するしかない。民主党に政権をとらせるべきではなかった。生産性のない皮肉で口にするのも忸怩たる思いだが、民主党が野党ならここまで官僚や財界の思い通りにはならなかったはずだ。「官僚支配打破」の旗を掲げる限り、消費税増税には反対し続けるしかなかっただろう。福島原発事故に関しても、連合の顔色をうかがうことはあっても、自民党、官僚、電力会社の三位一体の癒着ぶりを追及したはずだ。そこに世論の力が加われば、自民党もおいそれと再稼働には踏み切れなかっただろう。

 この際、反増税、脱原発の議員は民主党を脱党し新党をつくるべきだ。そうすれば自民党も割れるかもしれない。このままでは、この国は窒息してしまう。(2012/6/22)

[この国のゆくえ24……完璧に「自民党的政党」になった民主党]

<北村肇の「多角多面」(45)>

 民主党は「自民党的政党」になった。ほぼ完璧に。「自民党的」とは何か。基本となる性格を並べてみる。

・ 政策立案は官僚に任せる
・ 「政権を野党に譲らない」の一点で挙党態勢をとる
・ 党代表(総裁)の最大の役割は派閥均衡を図ること

 野田佳彦首相は「財務省の傀儡」と言われる。過去の言動をみれば、否定のしようがないだろう。財務省の狙いは、増税により「自由になるカネ」を集め、政策立案のフリーハンドをさらに強化することにある。「福祉のための増税」は薄っぺらな看板にすぎない。にもかかわらず、自分勝手な財務省の思惑をつぶす気概は野田首相にはない。歴代の自民党首相が大蔵省のいいなりだったことと何ら変わりないのだ。

 民主党政権発足時の「政治主導」はどこにいったのか。跡形もない。「どうせできっこない」と高をくくっていた自民と、結果的には「同じ穴の狢」に成り下がった。これでは、公務員改革など、何一つ展望が見えない。官僚の力は高まるばかりだ。

 二番目の、政権を渡さないという強い意志だけは、党員にしっかりと根付いた。今回の代表選がそのことを明確に示した。そもそも、なぜ簡単にマニフェストを反故にしたのか。菅直人前首相が解散に踏み切るのではないかと恐れた党の有力者が、野党にすりよったからにほかならない。有権者への公約より政権維持のほうが重要というわけだ。同じような光景は自民党政権時代、何度も見られた。予算編成を経て、民主党は政権党の旨みを知ったのだ。

 野田内閣の顔触れを見て、その派閥均衡ぶりに唖然とした。表向き「適材適所」、実態は派閥優先の構図――そのまんま自民党だ。党三役の顔触れといい、野田首相の人事は、55年体制以降、永田町で連綿として続いた自民党の伝統をしっかりと守っている。

 かように民主党が自民党的政党に堕落したことで、皮肉にも「二大政党時代」が幕を開けた。“実力”が拮抗したからだ。むろん、市民にとってそれは吉報ではない。政争に明け暮れ、霞ヶ関に“おんぶにだっこ”の自民党政権はもう嫌だ、そう思った有権者が民主党政権を生んだのである。どじょうのように、にょろにょろとしてつかみにくい野田首相に、竹下登元首相を重ね合わせ、ぞっとしたのは私だけではあるまい。(2011/9/9)

[この国のゆくえ2…「小泉・竹中政権」の亡霊が菅政権にとりつく]

<北村肇の「多角多面」(21)>

 早春は嗅覚の季節。どこからともなく届く沈丁花の香りが鼻腔をくすぐり、白梅を見かけると、つい顔を近付けたくなる。だが、この人にはそんな余裕はない。菅直人首相の視線は、前原誠司外相がさっさと「泥舟」から逃走したことで、一層、さまよいの度を増している。本人には「しがみつく」という意識はないのだろう。「コロコロ首相を変えて日本はどうなるのか。とにかく任期中はやらせてくれ」がホンネのようだ。その意味で、菅氏は私利私欲の人間ではない。だが、そこまでの器であり、理解力が乏しすぎる。

 そもそもわかっていないのは「政権交代を成し遂げたのは民主党ではなく、自民党に『ノー』を突きつけた有権者である」という事実だ。多くの市民は「自民党がしてこなかった」あるいは「できなかった」政策の進展を期待した。これを受け、鳩山由紀夫政権は、曲がりなりにも「コンクリートから人へ(とらえようによっては反新自由主義)」や「日米関係の対等性」など、自民党時代とは大きく異なる方針を出した。しかし、皮肉なことに、「政治とカネ」という、いかにも自民党的なスキャンダルで鳩山氏は失脚、同様に小沢一郎氏も代表を降りた。ここで菅氏は「カネの問題で毅然とすれば政権は安定軌道に乗る」と考え、反小沢路線を貫いた。救いようのない勘違い――。

 とりあえず支持率が回復したのは、「自民党よりはまし」という消極的支持者が瞬間的に戻ったからにすぎない。ところが、それに気づかない首相は、消費税率アップ、武器輸出三原則の見直し、法人税率5%下げ、TPP推進と、矢継ぎ早に「とんでも政策」を打ち出した。これまた皮肉にも、「自民党がしてこなかった」あるいは「できなかった」ことばかり。ただし、自民党が避けてきた理由は、野党や世論の反発に対する危惧だ。「プチ自民党」と揶揄される民主党は、ある部分では自民党以上の自民党に変質したのである。

 これでは、「自民党政権に戻るよりはいい」と考えていた有権者が、「民主党政権のほうが悪いかもしれない」と腰を引き始めるのは当然だ。「とにかくしばらくやらせてみよう」と長い目で見ていた支持者の離反である。このことに対する菅氏の感度が鈍すぎる。

 自民党政権をぶっ壊した有権者が目指したのは茫漠とした閉塞感の破壊であり、その内奥にあるのは、「住む場所も仕事も食べる物もなくなったとき国は頼りにならない」ということだった。言い換えれば、米国や財界の思惑を重視し市民を踏みつけにした「自己責任論」への不満である。だから、民主党政権になりかえって強化された「小泉路線」への強い怒りがたまってきたのだ。「小泉・竹中政権」が亡霊となって菅政権にとりつく、しかもそれを国会もマスコミも取り上げない――この国の現実である。(2011/3/10)

岡田外相の記者会見申し込み顛末

記者会見、記者クラブのあり方が、話題になっています。

2010年1月7日、記者会見への参加者拡大を表明する岡田克也・外務大臣。

2010年1月8日、記者会見への参加者拡大を表明する岡田克也・外務大臣。

ツイッター上などでも、『週刊金曜日』の取り組みが話題になっていますので、2010年1月22日号に掲載した記事をブログに再録します。

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【医療現場危機】民主党の「コンクリートから人へ」の正体

4月2日、病院に行ったら診療報酬明細書をもらいました。細かく点数なども書いてあります。

そういえば、この「診療報酬明細書」について、web告発あてに問題提起をする投稿が2月中旬にありましたので、遅ればせながらご紹介させていただきます。内容を拝見しますと、医療現場からの意見のようです。太字がありますが、これは私があえて太字にしたものです。

以下。 (さらに…)

便利なはずの出産一時金の直接支払制度導入によって産科医療機関がピンチ?!

出産一時金の直接支払制度で被保険者は便利になったと思っているが、視点を変えれば問題ありありだという。誰がどのような目的でこの制度を導入したのかを、確認すれば政府のめざす国の姿が見えるかもしれない。

今、こどもを生むと医療機関に分娩費用を約40万円ほど支払わなければならない。結構な金額である。

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前田日明氏参院選公認外しの真相

格闘家の前田日明氏が、3月3日に発表された民主党の参議院選挙候補の第一次公認内定から外れたということがニュースになった。

いくつかの理由があるらしいが、『週刊金曜日』2月26日号で前田氏が在日外国人参政権に反対だと発言したことが、大きな原因のひとつという憶測が飛び交っている。

さて真相は・・・・・・。

(さらに…)

「日本を何とかしよう」対談第5弾

縦横無尽に政界の現状を語る渡部恒三さん。(衆議院第2議員会館の事務所)

縦横無尽に政界の現状を語る渡部恒三さん。(衆議院第2議員会館の事務所)

 好評連載中の佐高信編集委員対談「日本を何とかしよう」、12月18日発売号掲載の第5弾では、渡部恒三・民主党前最高顧問に登場していただきます。

 政治活動50年の経験を誇り、「落選と首相以外はすべて経験した」と語る政界ご意見番は、いまの連立政権の現状をどう考えているのか。普天間飛行場移設問題は? 八ッ場ダムの中止の是非は? 早稲田大学在学中に石橋湛山の選挙を手伝った秘話をはじめ、縦横無尽に政界を語る、渡部「黄門様」にご期待ください。

 12月18日の発売を楽しみにしていただければ幸いです。 

公文書管理法と自民下野前夜のただならぬ関係?!

公文書管理法というなんとも地味な名前の法律が6月24日、参院本会議で全会一致で成立した。

 

ところが、この法律の持つ意味はとても大きいので、要チェケです。

先日、お会いした民主党の逢坂誠二衆院議員(注)などは同法案の強力な推進者だったそうですが、議員が口を酸っぱくしていっていたことが、「情報は民主主義の酸素」。

まさにそのとおりですね。

情報という酸素が切れれば民主主義は死んでしまう。憲法における表現の自由も、民主主義実現のために情報が広く市場を流通することを前提としている。だから知る権利が発生する。

ところが日本政府の情報非公開・隠滅ぶりがひどいものだ。

これまで何人の議員、記者、NGO、学者などがそのことに時間を費やしてきたことか。

情報公開法にしろ成、裏をかえせば何年経てば情報を廃棄していよいという情報非公開法である。おかげで過去の資料がみられなくなった。

公文書管理のずさんなものとして年金記録など最たるものだろう。今回の法律は先般の不祥事が後押しして成立したのであろう。

さて、民主党の政権交代で一番何が変わるのか。高速道路が無料化するからか。そうしたらETCも売れなくなるから、今買う必要はなくなるから迷ういます? いやいや何人かの永田町関係者に話を聞き、自分でも納得するのは個別具体的な政策の違いではありません。

情報開示である。

つまり、政策の前提となる情報を省庁が手放すということだろう。

自民党や官庁は予算や金の流れの情報を非公開することによって権力を維持してきた。

情報が権力の源泉なのである。

国会の与野党の攻防も資料を出す出さないので審議の大部分が費やされるのだから、民主党にはぜひとも斬り込んでもらいたいものだ。というか、本来なら当たり前のことなのだから、やらなければ政権交代する意味はないでしょう。

自民党議員も、もっぱら政権交代を前提に補正予算で10兆円もの借金をしているとも言われている。

今回の公文書管理法も自分らが野党に下ることを前提にしているから(与党・民主党を追及する資料を得るために)成立したのかな? なんてうがった見方もしてしまいました。

盗人の心理は盗人が一番わかるのでしょうからね。

(注)

逢坂議員は、twitterを利用している数少ない国会議員。カネのかからない選挙活動をするために、twitterやブログでの発言が挙活動に当たるかどうか総務省に問い合わせたそうだが、「当たる」ということで選挙期間中はお休みするらしいロイターやBBCからこの点についても議員のネット活動について取材を受けたそうだ。不思議な国ニッポンというこなんでしょうね。

http://twitter.com/seiji_ohsaka

実はぼくもtwitterを一年前からやっています。といっても更新は一年くらいしていませんでしたが。あくまでもぼくのつぶやきなので、アドレスは内緒ですが。