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猪瀬直樹・前東京都知事と、その代理人に対する公開質問状への回答がないことについて

猪瀬直樹・前東京都知事とその代理人に公開質問状を出して約2週間が経過しました。公開質問状では、質問状が届いてから48時間以内の回答を求めています。

書簡は4月25日に配達したとの「配達証明書」が日本郵便株式会社から届いています。大型連休中でもあったことから、回答をしばらく待っておりましたが、5月8日現在、両氏いずれからの回答も編集部に届いておりません。

東京都を代表する公職に就いていたノンフィクションライターとその代理人として、きわめて不誠実な態度だと考えます。

公開質問状を出す契機となった佐藤優さん(作家)にこの経緯を説明したところ、佐藤優さんは「今後とも猪瀬直樹氏をめぐる問題については考えていきたいと思います。なんらかのアクションを取ろうと考えています」とのことでした。

小誌編集部としましても、猪瀬直樹氏をめぐる問題について、今後もこのHPなどを活用して読者のみなさまに事実を伝えていく所存です。

2014年5月9日
週刊金曜日編集部
伊田浩之

猪瀬直樹氏への公開質問状について

4月24日付で猪瀬直樹氏に出した公開質問状を公開します。
(なお、元の質問状にある猪瀬事務所の住所は省きました。また、読みやすいように改行を入れてあります)

週刊金曜日編集部
伊田浩之

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2014年4月24日

前東京都知事
猪瀬直樹様

東京都千代田区神田神保町2-23
アセンド神保町3階
週刊金曜日編集部
伊田浩之

猪瀬直樹氏への公開質問状

 前略
先日のインタビュー依頼に対し、猪瀬直樹氏の代理人と名乗る安福謙二弁護士から回答が届きました。インタビューを申し込んだ佐藤優氏に回答文を渡したところ、下記の点について確認してほしいと依頼されました。ご多忙中恐縮ですが、この質問状が届いてから48時間以内の回答を求めます。なお、このやりとりは前回のインタビュー申込書や回答を含め公開させていただきます。             不一

1)安福謙二弁護士はあなたの代理人として回答したことに間違いございませんか。

2)安福氏の回答は、あなたの意向に完全にそったものですか。

3)今後、あなたは、安福氏を通じてしか回答しないのですか。

4)今回の対応は、ノンフィクションライターとして多くの人々に直接取材を申し込んできたあなたのこれまでの生き方と矛盾しませんか。

5)あなたは4月15日に開かれた田原総一朗氏の誕生会に出席しましたか。

6)その記念写真のツイートを、あなたの公式ツイッターはリツイートしましたか。

7)あなたは3月28日の刑事処分後もメールマガジンを発行していますか。

8)3月28日以後もメールマガジンの発行をあなたの公式ツイッターで拡散したことがありますか。

9)あなたの公式ツイッターは、あなた以外があなたの意向に従わずにツイートすることがありますか。

10)インターネット上のあなたの公式サイトは3月28日後も更新を続けていますか。

11)あなたは〈3月28日に刑事処分を受けた後も引き続き謹慎して〉いるそうですが、あなたの言動を見る限り、謹慎しているとは到底思えません。何をもって謹慎しているというのでしょうか。

12)安福氏は、あなたが〈記憶違いによって結果的に事実と齟齬する説明をしてしまったこと、関係者に対する真義等もあって一部の事実を伏せたことはありましたが、殊更に虚偽の説明をしたとは言えないと理解して〉いるそうですね。では都議会での答弁や記者会見においてどの部分が記憶違いによる齟齬の部分であったかを一覧表で提示ください。

13)都議会の委員会であなたが提示した5000万円の借用証は本物の借用書ですか。

猪瀬直樹氏の代理人への公開質問状について

4月24日付で猪瀬直樹氏の代理人に出した公開質問状を公開します。
(なお、元の質問状にある代理人の住所は省きました。また、読みやすいように改行を入れてあります)

週刊金曜日編集部
伊田浩之

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2014年4月24日

猪瀬直樹氏代理人
弁護士 安福謙二様

東京都千代田区神田神保町2-23
アセンド神保町3階
週刊金曜日編集部
伊田浩之

公開質問状

前略
猪瀬直樹氏の代理人としての回答ありがとうございます。インタビューを申し込んだ佐藤優氏に回答文を渡したところ、下記の点について確認してほしいと依頼されました。ご多忙中恐縮ですが、この質問状が届いてから48時間以内の回答を求めます。なお、このやりとりは前回のインタビュー申込書や回答とともに公開させていただきます。  不一

1)貴職は〈刑事事件の弁護人を務め、捜査の経過等も知り得る立場〉にいたそうですが、猪瀬氏を代行して今後はあなたがすべての質問に答えるのですか。

2)猪瀬氏は4月15日に開かれた田原総一朗氏の誕生会に出席しましたか。

3)その記念写真のツイートを、猪瀬氏の公式ツイッターはリツイートしましたか。

4)猪瀬氏は3月28日の刑事処分後もメールマガジンを発行していますか。

5)3月28日以後もメールマガジンの発行を猪瀬氏の公式ツイッターで拡散したことがありますか。

6)猪瀬氏の公式ツイッターは、猪瀬氏以外が猪瀬氏の意向に従わずにツイートすることがありますか。

7)インターネット上の猪瀬氏の公式サイトは3月28日後も更新を続けていますか。

8)貴職からの回答には猪瀬氏は〈3月28日に刑事処分を受けた後も引き続き謹慎しており〉とありますが、猪瀬氏の言動を見る限り、謹慎しているとは到底思えません。何をもって謹慎しているというのでしょうか。

9)貴職によると、猪瀬氏は〈記憶違いによって結果的に事実と齟齬する説明をしてしまったこと、関係者に対する真義等もあって一部の事実を伏せたことはありましたが、殊更に虚偽の説明をしたとは言えないと理解して〉いるそうですが、では都議会での答弁や記者会見においてどの部分が記憶違いによる齟齬の部分であったかを一覧表で提示ください。

10)都議会の委員会で猪瀬氏が提示した5000万円の借用証は本物の借用書ですか。

11)貴職からの回答には矛盾が多く、代理人として、法曹以前に人間として不誠実と考えますが、どうお考えになりますか。

猪瀬直樹氏の代理人からの回答について

4月7日付で出した猪瀬直樹氏への「インタビュー依頼書」に対して、4月14日付で代理人の弁護士から回答がありました。回答を公開いたします。
(なお、弁護士の住所は消しました)

週刊金曜日編集部
伊田浩之

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佐藤優氏による猪瀬直樹氏へのインタビュー依頼について

『週刊金曜日』誌上(2013年1月18日「本物のニセモノがやってきた」)で、作家の佐藤優氏は猪瀬直樹都知事(当時)の尖閣政策を強く批判しました。猪瀬氏が無自覚のまま日中戦争の引き金を引きかねないとの危機意識からでした。

 その佐藤優氏から、猪瀬直樹氏の今回の辞任と略式起訴の経緯について疑問があるため編集部からインタビューを申し入れてほしいとの依頼があり、4月7日付でインタビューを申し込みました。

 4月14日付で、猪瀬氏の代理人名で返答がありました。佐藤氏と回答を検討したところ、不誠実な回答であると判断。「公開質問状」を出すとともに、一連の経緯についても公開していくことにしました。

 まず、最初の「インタビュー依頼書」を公開します。
(なお、元の文書にある猪瀬事務所の住所と小誌編集部の電話番号、編集者のメールアドレスは省きました。また、読みやすいように改行を入れてあります)

週刊金曜日編集部
伊田浩之

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2014年4月7日

 前東京都知事
猪瀬直樹様

東京都千代田区神田神保町2-23
アセンド神保町3階
週刊金曜日編集部
伊田浩之

インタビュー依頼書

 前略 猪瀬直樹さんへのインタビューを作家の佐藤優さんが希望されていますので、ご連絡を差し上げます。インタビュー内容は小誌で掲載させていただきます。

 あなたの公式ホームページによると、3月28日の記者会見の冒頭であなたは次のように発言しています。〈昨年の都議会の答弁や記者会見では、自分の認識に正直に答えたつもりでしたが、記憶があいまいなまま十分に事実を確認せずにお答えをして、皆様に不信感を持たれてしまいました。今回、あらためて時間をかけて事実の経緯を確認していくなかで、自分の認識に正確でなかった点があると理解するに至りました〉
 佐藤優さんのインタビュー希望理由をお伝えします。

 記者会見でのあなたの発言が事実であれば、あなたは記者会見や都議会などの場で国民に嘘をついていたことになります。あなたはノンフィクション作家です。ノンフィクション作家の前提は真実を書くことですが、あなたが公的な場で虚偽説明をしていたとすれば、あなたのこれまで書かれたノンフィクション作品すべてが、本当に事実のみによって書かれているかどうかが問われることになります。

 一方、虚偽説明ではない場合はどうでしょうか。真実の主張を貫き通すと検察に公判請求される恐れがあり、証拠不十分で不起訴となっても検察審査会に申し立てがなされる可能性があるなど、この問題で長期間わずらわされることを避けるために、事実と異なる供述をし罪を被ったとすれば、法秩序を愚弄することになります。

 いずれにせよ看過することはできません。

 佐藤優さんは、あなたが選考委員の一人を務めた大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。今後の佐藤優さんの人生としてもあなたの立ち居振る舞いについてはきちんと説明を求めずにはいられないと考えています。

 つきましてはインタビューの可否につきまして、この依頼書が届きましてから1週間以内にご返信をいただけますようお願いいたします。「言った言わない」の水掛け論を避け、正確を期すために内容証明郵便を使うことをお許し下さい。

鎌田慧さんを招く『日本の司法を正す会』を15日に開きます

 本誌連載のワークショップ「日本の司法を正す会」を特別に”一般公開”して開きます。席に限りがありますので、必ず電話予約(03-3500-2200)のうえ、お越し下さい。

 ゲストは、ルポライターの鎌田慧さん(74歳)です。

 鎌田慧さんは、近著『残夢――大逆事件を生き抜いた坂本清馬の生涯』(金曜日)で、特捜検察の暴走の原点とそれに追随する裁判官、事件を生き延び再審請求を闘った人々を描きました。

 冤罪事件としてはこのほか、『死刑台からの生還』『狭山事件の真実』『弘前大学教授夫人殺人事件』など数多くの事件を取材、執筆しています。多くの冤罪事件の背景になにがあるのか、その豊富な取材経験から裁判官の心理に迫る報告をしていただきます。

【日時】2月15日(金曜日)午後2時から4時ぐらいまで
【会費】無料
【場所】『日本の司法を正す会』事務所(村上正邦事務所)
    千代田区永田町2-9-8
    パレロワイヤル永田町203号室 電話03-3500-2200
【ゲスト】鎌田慧さん
【インタビュー及び進行】青木理さん(ジャーナリスト)

※『日本の司法を正す会』は、「国策」と評された捜査のターゲットとなった人々などを囲み、司法やメディア関係者が論議を交わすことを通じて司法のあり方を考えるワークショップです。

株主代表訴訟、東電「津波、予見できず」と反論

  東京電力福島第一原発事故にかんして歴代の経営陣に計約5兆5000億円を会社に賠償するよう求める株主代表訴訟の第3回口頭弁論が10月16日、東京地裁(垣内正裁判長)であり、訴訟に補助参加している東電が「今回の津波は予見できなかった」と主張しました。(こちらが東電準備書面です)

 10月12日に東電の「原子力改革特別タスクフォース」が発表した見解と矛盾している、として原告側は反発を強めています。タスクフォースの見解では、事前の備えができていなかったことが問題で対処することは可能であった、としています。

 法廷では、原告側の海渡雄一さんがパワーポイントを使って「東京電力の責任」について説明しました。従来の口頭弁論では、書面が行き来するだけで、傍聴しているだけではなにが焦点かわかりにくかったのですが、原告側の努力と裁判所側の理解によって、興味深い弁論が繰り広げられています。

 法廷後、東京地裁・高裁内にある司法記者クラブで開かれた第3回口頭弁論後の原告側記者会見とあわせてご覧いただけると、裁判の現状がよくわかると思います。弁護士2人の掛け合いがまるで漫才のようで、記者達が思わず笑う場面もありました。

 今後の予定は下記の通りです。

第4回 12月13日(木) 10時30分 東京地裁103号
第5回  1月10日(木) 10時30分 東京地裁103号
第6回  2月21日(木) 10時30分 東京地裁103号

大飯原発再稼働に関する政治的責任に関する質問主意書と答弁

 関西電力大飯原子力発電所3、4号炉(福井県おおい町)の運転再開について、野田佳彦首相は「最終的には総理大臣である私の責任で判断を行いたいと思います」と5月30日に述べている。この「責任の範囲と内容」について政府は6月29日、「政治的判断を必要とする国政上の重要な問題であり、内閣の首長である野田内閣総理大臣がこれに関与し責任を持って判断を行うという趣旨で述べた」との答弁を閣議決定した。

 一方、事故発生時の賠償については「原子力事業者がその損害を賠償する責めを負う」などと従来の枠組みの説明にとどまっており、過酷事故が起こった場合でも野田首相個人が再稼働の責任を取る気がないことがあらためて浮き彫りになった。福島みずほ参議院議員(社民)の質問主意書に答えた。

 また、野田首相は「あのような事故を防止できる対策と体制は整っております」と断言したが、同答弁では事故原因は「津波」であるとし、「地震動」による主要機器の破損については認めなかった。国会事故調では「地震動」による主要機器破損の可能性について重大な関心を持っているほか、大飯原発の防潮堤はまだ完成しておらず、不誠実きわまりない。

 さらに6月8日の記者会見で、野田首相は「豊かで人間らしい暮らしを送るために、安価で安定した電気の存在は欠かせません」としたが、同答弁では「コストの試算においては、電源ごとの発電単価ではなく、火力及び原子力の燃料費のみにより計算した単価を用いている」とした。燃料費のみの比較で原発が安価だというのでは、野田首相は大ウソつき、との批判を免れないだろう。

 大飯原発3号炉が7月1日夜にも起動すると報道されるなか、野田首相の無責任ぶりがあらためて浮かび上がった。質問と答弁を以下に全文紹介する。
(なお、テキストでは読みやすいように質問と答弁を交互に掲載する)

大飯原発再稼働に関する政治的責任に関する質問主意書

大飯原発再稼働に関する政治的責任に関する質問に対する答弁書

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     大飯原発再稼働に関する政治的責任に関する質問主意書

 関西電力大飯原発三、四号機の再稼働について、政府は最終判断を下した。この間、社民党は原発の再稼働に反対する申入れを繰り返し行ってきたところである。しかし、それに対する政府の回答は、「おおむね原発の安全性は様々な知見から科学的に原子力安全・保安院や原子力安全委員会が確認している。その上で、政治家が様々な意見を聞いて総合的に判断し、安心の部分を国民の皆さんに示す必要がある。」旨であった。

 今回の再稼働決定について、野田首相が「私の責任で判断して」と発言したことについて、重要性と責任の範囲と内容を確認するために、以下質問する。

一 二〇一二年五月三十日、野田首相は首相官邸で、第七回となる原子力発電所に関する四大臣会合を開催し、「大飯発電所三、四号機の再起動について、関西広域連合からは、原子力規制庁等の政府機関が発足していない中で、政府の安全判断が暫定的であることを踏まえた適切な判断を求めると声明をいただきました。関係自治体の一定のご理解が得られつつあると認識しております。政府は今回の事故を踏まえた、専門家の意見に基づき、安全性を慎重に確認してまいりました。(中略)立地自治体のご判断が得られれば、それをもって最終的にはこの四大臣会合でしっかりと議論をし、最終的には総理大臣である私の責任で判断を行いたいと思います。」(首相官邸ホームページ)と発言している。
この中で、野田首相は「責任」と発言しているが、その「責任」とはどのような意味として使っているのか。「責任」の内容を具体的に示されたい。

二 この「責任」に関する発言について、原発の再稼働の是非を最終的に判断するのは首相の責任なのかどうか、その法的根拠を含め、具体的に示されたい。

三 「私の責任で再稼働を判断した」原発が事故を起こした場合、「事故を起こした責任を野田首相が負う」と理解してよいか。その場合、東京電力福島原発事故で明らかなように、国家社会に与える被害は莫大になることも想定すべきだが、首相としてどのように責任を取るのかをその賠償方法を含め、具体的に説明されたい。また、「責任」の意味するところが、「事故を起こした責任を負う」とは違う場合は、どのような意味か具体的かつ詳細に説明されたい。

一から三までについて
御指摘の野田内閣総理大臣の発言は、定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開については、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)等に基づき経済産業大臣が所掌していることを前提として、関西電力株式会社大飯発電所第三号機及び第四号機(以下「大飯発電所三・四号機」という。)の運転の再開の可否については、政治的判断を必要とする国政上の重要な問題であり、内閣の首長である野田内閣総理大臣がこれに関与し責任を持って判断を行うという趣旨で述べたものである。
 なお、原子力損害の賠償については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)において、原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものである場合を除き、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めを負うこととされている。また、原子力損害賠償支援機構法(平成二十三年法律第九十四号)においては、国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、原子力損害賠償支援機構を通じて、原子力損害の賠償が適切かつ迅速に実施されるよう、万全の措置を講ずるものとされている。

四 前記一のホームページの中で、野田首相は「あのような事故を防止できる対策と体制は整っております」と断言している。「あのような事故」の内容と事故原因を明確に説明されたい。

四について
お尋ねの「あのような事故」とは、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)を指す。これまでの調査等によれば、本件事故においては、平成二十三年三月十一日の東北地方太平洋沖地震により、同発電所において、外部電源を喪失した後、非常用ディーゼル発電機が正常に起動し、安全上重要な設備・機器がその安全機能を保持できる状態にあったと考えられるが、その後の津波の到達により、非常用ディーゼル発電機の機能を喪失し、第一号機から第四号機までの各号機において、全交流電源を喪失した結果、第一号機から第三号機までの燃料が損傷し、大量の放射性物質が環境中に放出されたものと考えられている。また、原子炉で発生した水素が原因となって、第一号機、第三号機及び第四号機において爆発が生じ、それぞれの原子炉建屋が損傷したと考えられている。

五 二〇一二年六月八日の記者会見で、野田首相は「四月から私を含む四大臣で議論を続け、関係自治体の御理解を得るべく取り組んでまいりました。(中略)これにより、さきの事故で問題となった指揮命令系統を明確化し、万が一の際にも私自身の指揮の下、政府と関西電力双方が現場で的確な判断ができる責任者を配置いたします。」と発言しているが、この意味するところは、東京電力福島原発事故当時、指揮命令系統が明確でなかったと政府が認識していると理解して良いか。

六 前記五において、野田首相は「問題となった指揮命令系統」と発言しているが、その原因はどこにあったのか具体的に示されたい。さらに、現在、指揮命令系統を明確化するために行われている対策、今後予定されている対策などを具体的に説明されたい。

 また、「的確な判断ができる責任者」の配置は既に行われているか。行われている場合、その責任者の氏名と経歴を明らかにし、「的確な判断ができる」とする根拠を示されたい。配置が行われていない場合は、いつ配置される予定か、その時期と配置予定責任者の氏名と経歴を明らかにされたい。

五及び六について
御指摘の指揮命令系統に関しては、「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書―東京電力福島原子力発電所の事故について―」(平成二十三年六月原子力災害対策本部決定)において「政府と東京電力との関係、東京電力本店と現場の原子力発電所との関係、政府内部の役割分担などにおいて、責任と権限の体制が不明確な面があった。特に、事故当初においては、政府と東京電力との間の意思疎通が十分ではなかった。」としている。これを踏まえ、総理大臣官邸(以下「官邸」という。)、原子力災害対策本部事務局が置かれる経済産業省緊急時対応センター、原子力発電所、電力会社の本店等との間をつなぐテレビ会議システムを整備した上で、緊急時には電力会社の本店等に政府と電力会社との連絡調整拠点を確保し、同省の責任者を派遣することにより、官邸の指示や連絡調整が迅速に行われるよう、体制の整備等に取り組んでいるところである。今後は、第百八十回国会で成立した原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)の規定を踏まえ、原子力災害対策本部を始めとする関係機関等における責任や役割分担等が制度上においても明確になるよう、同法の施行に合わせて、関係法令や「防災基本計画」(平成二十三年十二月二十七日中央防災会議決定)、「原子力災害対策マニュアル」(平成十二年八月二十九日原子力災害危機管理関係省庁会議)等を改定することとしている。
大飯発電所三・四号機については、本件事故の後、初の再起動となることを踏まえ、万が一事故が発生した場合の緊急対応に万全を期すため、常時監視・緊急対応体制を整備しているところであり、当該体制の責任者として、牧野経済産業副大臣を大飯発電所三・四号機の再起動前に派遣することとしている。同副大臣は、万が一事故が発生した場合には、現行の原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)に基づき、原子力災害現地対策本部長となる予定であり、その経歴については、同省のホームページで公表しているところである。

七 前記五における記者会見で野田首相は「国民生活を守ることの第二の意味、それは計画停電や電力料金の大幅な高騰といった日常生活への悪影響をできるだけ避けるということであります。豊かで人間らしい暮らしを送るために、安価で安定した電気の存在は欠かせません。」と発言しているが、原発が安価な電力である根拠について、他の発電方式と比較した具体的な単価を含めて示されたい。また、その価格は各発電所の稼働率をどの程度と想定した上で計算しているか。さらに、想定した稼働率は、実際の各発電所の稼働率と一致しているか。加えて、「安価」とする原発の発電価格には、使用済み核燃料の再処理やバックエンドのコストを含んでいるか。これらの条件を含めて「安価」とする根拠を示されたい。

七について
御指摘の野田内閣総理大臣の発言は、エネルギー・環境会議及び電力需給に関する検討会合の下に開催した需給検証委員会の報告書において、仮に、国内の全原子力発電所が稼働を停止し、火力発電で代替した場合には、燃料コストが大幅に増加すると試算されていること等を踏まえ、いずれ電気料金が上昇することは避けられないとの趣旨で述べたものである。なお、当該コストの試算においては、電源ごとの発電単価ではなく、火力及び原子力の燃料費のみにより計算した単価を用いている。

原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問主意書と答弁

 政府は6月15日、東京電力福島原発事件をふまえ、「シビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要である」との答弁を閣議決定した。その一方で、原子力災害対策特別措置法の改正案は今国会に提出しているものの成立しておらず、同施行令や同施行規則・防災基本計画・原子力災害対策マニュアルの改定については「現在検討中である」と、事故前となんら変わっていないことも認めた。福島みずほ参議院議員(社民)の質問主意書に答えた。

 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の運転再開について、野田佳彦首相が16日にも最終決定する方針を固めたと報道されているなか、法律面での事故対策がまったく進んでいない実態が明らかになった。危険な事態なので、質問と答弁を以下に全文紹介する。(なお、テキストでは読みやすいように質問と答弁を交互に掲載する)

原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問主意書

原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問に対する答弁書

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原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問主意書

 原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)は、その第一条(目的)において、「この法律は、原子力災害の特殊性にかんがみ、原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務等、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特別の措置を定めることにより、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)その他原子力災害の防止に関する法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。」と定めている。
 原災法が適用されている東京電力福島原子力発電所事故における原子力災害において、災害発生当時に原子力災害対策本部長を務めた菅前首相が本年五月二十八日、「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(以下「国会事故調」という。)で重要な発言を行っている。日本政府が、原発の再稼働を検討しているところ、過酷事故への対応体制は極めて重要である。
 よって、以下質問する。

一 菅前首相は、国会事故調で東京電力福島原子力発電所事故の責任について「国策として続けられてきた原発によって引き起こされたもので、最大の責任は国にある。国の責任者としておわび申し上げたい」と証言している。この認識を野田内閣も引き継いでいるか明らかにされたい。

一について
菅前内閣総理大臣の辞職後の個別の発言に係るお尋ねについては、政府としてお答えすることは差し控えたいが、国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っており、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)への対応についても、その責任を踏まえて行われるべきものと考えている。

 

二 菅前首相は国会事故調で「原子力事故にあたってどのような権限が首相、本部長としてあるのか、詳しい説明を聞いたことは覚えている限りない」と述べている。野田首相は、原子力事故にあたってどのような権限が首相、本部長としてあるのか、詳しい説明を受けているか。説明を受けた日時と説明を受けた合計時間を具体的に示されたい。

三 野田首相は、原発事故を想定した訓練に首相として参加したことがあるか。ある場合は、その日時と場所を示されたい。ない場合は、参加する防災訓練が具体的に予定されているか。予定されている場合は計画の日時とその場所を示されたい。

二及び三について
野田内閣総理大臣は、平成二十三年九月二日に内閣総理大臣に就任して以降、本件事故に係る原子力災害対策本部長としての職務を遂行しており、必要に応じて、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)等に関する説明を受けている。現在、本件事故の教訓を踏まえ、原子力防災対策の見直しを行っているところであり、国が地方自治体及び原子力事業者等と共同して行うこととしている原子力防災訓練については、本件事故の発生以降行われていないが、今後、当該見直しを踏まえ、実施時期や内容等に係る検討を行うこととしている。

 

四 菅前首相は国会事故調で「原子力災害対策特別措置法はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった」と述べている。現行の原災法は過酷事故に対応できているのかどうか野田内閣の認識を示されたい。対応できていると認識する場合、その理由を示されたい。また、対応できていないと認識する場合、どのように今後対策を立てていくのか、その具体的な方針と計画を示されたい。

四について
原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号。以下「災対法」という。)第四十八条第一項の規定に基づき、原子力事業者を含む災害予防責任者は防災訓練を実施しなければならないとされているが、必ずしも本件事故のようなシビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要であると認識している。このため、原子力事業者に対しては、本件事故のようなシビアアクシデントを想定した原子力防災対策の強化を求めることとし、法令上で明確にするための検討を進めているところである。また、国においては、万一、原子力施設において本件事故のようなシビアアクシデントが発生した場合等に備え、周辺住民の防護措置についての新たな基準や手順の整備等を進めているところである。

 

五 原災法を運用するにあたって、関係法令、マニュアルなど政府が定めているものの名称をすべて挙げられたい。

六 前記五の関係法令・マニュアルなどのうち、今回の東京電力福島原子力発電所事故を受けて、改定されたものはあるか。ある場合は、具体的に改定した関係法令・マニュアルなどの名称と改定内容を示されたい。改定していない場合は、改定の予定の有無、進捗状況等について具体的に示されたい。

五及び六について
政府としては、原災法の円滑な運用を図るため、原子力災害対策特別措置法施行令(平成十二年政令第百九十五号)及び原子力災害対策特別措置法施行規則(平成十二年総理府・通商産業省・運輸省令第二号)を定め、また、原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災対法第三十四条第一項の規定に基づき、防災基本計画を定め、更に当該計画に基づき指定行政機関ごとに防災業務計画を定めている。加えて、お尋ねの「マニュアル」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、これらの計画を運用し、原子力発電所の事故に対応することを目的として先の答弁書(平成二十三年十一月二十二日内閣参質一七九第二一号)一についてでお示ししたとおり、各府省等において規程等を作成している。
 これらのうち、原子力災害対策特別措置法施行令、原子力災害対策特別措置法施行規則、防災基本計画、原子力災害対策マニュアル(平成十二年八月二十九日原子力災害危機管理関係省庁会議)については、今国会に提出している原災法の改正案、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた「中間報告」等を踏まえ改めることとしており、その内容については現在検討中である。また、その他の規程等については、政府全体としての原子力防災対策に係る検討状況を踏まえつつ、個別に検討を進めていくこととしている。なお、原子力防災対策については、常により高い水準を目指して取り組むべきものであり、政府としては、その充実に向け不断に努めているところである。

 

七 東京電力福島第一原子力発電所の事故に政府と東京電力が一体的に対応するため、「福島原子力発電所事故対策統合本部」(以下「統合対策本部」という。)が設置された日時はいつか。統合対策本部の設置は、原災法で想定されているか。この統合対策本部は、どのような法的根拠に基づいて設置されたのか明らかにされたい。

七について
福島原子力発電所事故対策統合本部(当時)については、政府において、東京電力と同じ場所で本件事故の現場の情報を共有しつつ機動的な判断及び指示を行うため、平成二十三年三月十五日に設置した事実上の組織である。

 

八 菅前首相は、東京電力福島第一原子力発電所の吉田昌郎所長(当時)に対して、昨年三月十一日以降、電話で二度話したと証言している。原子力災害対策本部長である首相が原子力発電所の所長と直接話をすることを原災法は想定しているか。原災法が想定していないとすれば、なぜ「想定外」のことが二度も起きたのか、政府の見解を具体的に示されたい。

八について
原子力災害対策本部は、原災法に基づき、原子力防災組織を含む関係機関が実施する緊急事態応急対策の総合調整を行うことをその所掌事務としていることから、原子力災害対策本部長たる内閣総理大臣と福島第一原子力発電所の原子力防災組織を統括する同発電所長とが直接話すことについては、必ずしも、原災法に反するものではないと考えている。

石原都知事の名指し攻撃になぜかおとなしい『朝日新聞』

                                         
 石原慎太郎・東京都知事の記者会見の内容を、東京都のホームページが「正確に反映していない」ことを前回のブログ「石原都知事の発言を正確に伝えない東京都ホームページの不思議」で指摘しました。

 南京大虐殺めぐって石原都知事は、「昔、本多勝一ってバカがいたんだよ、『朝日新聞』の」と2月24日の会見で話しているのですが、都のホームページにある「都知事の部屋」(http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/index.htm)では、「昔、本多勝一(ジャーナリスト)というやつがいたんだよ」となっている問題です。

 この発言に続けて石原都知事は次のように話しています。
「結局、彼は最後に修正したけど、南京の占領の間だけで40万の人を殺せるわけがない」

 小誌連載「貧困なる精神――石原慎太郎東京都知事に訂正・謝罪を求める」で本多勝一編集委員が指摘しているように、本多編集委員は『朝日記者』時代もその後も「40万人説」を唱えたことはありません。そして、唱えていないのだから、もちろん「修正した」こともありません。

 では、当の朝日新聞社はこの石原都知事の「ウソ」発言についてどのように考えているのでしょうか。そこで下記の質問状を朝日新聞社に送りました。

(ここから引用)
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「南京大虐殺」について石原都知事が次のような発言をしています。

「昔、本多勝一ってバカがいたんだよ、『朝日新聞』の。結局彼は最後に修正したけどね。あんな南京占領の間に40万人を殺せるわけはないんだ」(2月24日)、
「彼の論では40万人もの虐殺という数字が論拠がないものだからね」、(本多氏は人数を書いていないという指摘に)「『朝日』も書いて、あちこちで書いている」(3月2日)。
 
  そこで次のことをお聞きします。

1)本多勝一氏の記事(見解)、もしくは別の朝日新聞記者の記事(見解)として、いわゆる「南京大虐殺」の死者(犠牲者)が40万人とする記事を掲載したことがありますか。

2)いわゆる「南京大虐殺」の死者数についてはどのような掲載をしていますか。

3)『朝日新聞』が犠牲者数を40万人とする記事を掲載していないとすれば、石原都知事の記者会見での発言は事実と異なると考えてよろしいでしょうか。

4)都知事の記者会見はインターネットやテレビなどで生中継され、また録画視聴が可能です。石原都知事の発言が「虚偽」だとしたら、訂正の申し入れなど貴社としてなんらかの対応を取られるお考えはありますか。また、すでになんらかの対応を取られている場合は、その内容をお教え下さい。
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(引用ここまで)

 続いて朝日新聞社広報部からの回答を掲載します。

(ここから引用)
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 いただいたご質問の「1」から「4」についてまとめてお答えします。

 南京事件での死者数について、朝日新聞はこれまで、様々な説があることを報じてきました。なお、お尋ねの件に限らず、個々の記者会見の内容について、紙面などで報じる以外に論評することは差し控えます。

回答は以上です。よろしくお願いいたします。
                               草々
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(引用ここまで)

 では『朝日新聞』は、今回の石原発言をどのように「紙面などで報じ」ているのでしょうか。私がさがした範囲では2月25日(土)の第3社会面に2段見出しで次のように報道している1本(写真参照)だけでした。河村たかし名古屋市長発言とその波紋については詳報し、3月8日には社説「河村市長発言 日中の大局を忘れるな」を掲載しているのと比べ、極端に扱いが少ないようにみえます。では、その記事の内容を見てみましょう。

(ここから引用)
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河村市長の南京発言、石原都知事「正しい」

 東京都の石原慎太郎知事は24日の会見で、名古屋市の河村たかし市長が南京虐殺を否定する発言をしたことについて「正しい。彼を弁護したい」と述べた。

 石原知事は、南京陥落の数日後に現地に入った評論家らから聞いた話として、「死体はあったけど、山と積むような死体は見たことがなかった」と指摘。「相手も無抵抗に近かっただろうけど、あれだけの(旧日本軍の)装備、期間で40万の人を物理的に絶対殺せっこない」と話した。

 石原知事は衆院議員時代の90年に米誌のインタビューで南京虐殺を「中国人が作り上げたうそだ」と発言している。
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(引用ここまで)

 いやぁ、驚きました。善意に解釈すると「南京大虐殺があったことを前提としているので石原発言の紹介だけでよい」と考えているのかもしれませんが、『朝日新聞』が攻撃されているのに、あまりにも及び腰だと感じるのは私だけでしょうか。