きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

岡田外相の記者会見申し込み顛末

記者会見、記者クラブのあり方が、話題になっています。

2010年1月7日、記者会見への参加者拡大を表明する岡田克也・外務大臣。

2010年1月8日、記者会見への参加者拡大を表明する岡田克也・外務大臣。

ツイッター上などでも、『週刊金曜日』の取り組みが話題になっていますので、2010年1月22日号に掲載した記事をブログに再録します。

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記者会見はどう変わる?
――外相会見申し込み顛末
                        伊田浩之

 民主連立政権は、知る権利に応え、説明責任を果たすことに熱心だ。なかでも、自民政権下で外務省が否定し続けた「日米密約」の調査を進める岡田克也外相はその筆頭といえる。

 その岡田氏が、外務省では大臣や副大臣などの記者会見を「全てのメディアに公開する」と発表した。昨年9月29日だった。ただ、参加できるのは日本新聞協会会員など六類型に限るという(注)。日本雑誌協会(雑協)や、雑協加盟誌に書くフリーランスが参加できることは画期的だが、雑協に加盟していない『週刊金曜日』は参加できない。

 そこで10月13日、ガイドラインに基づいて参加要望を電子メールで送信。2時間も経たないうちに返信があったので、ただちに氏名など登録に必要な情報をメールで送った。これに外務省から返信が来ない。

『週刊金曜日』は、平和憲法護持を掲げる。平和を守るためには外交が重要だ。だが、外務省は実際に何をしているのか。その監視・批判が弱かったのではないか、との反省が筆者にある。だから、官庁のなかでも外相会見への出席にこだわる。

 10月16日、外務省にメールで返信を催促、同27日に2度目の催促メールを送ったが、返信はない。それではと、11月13日、外務省報道課にファクスで質問状を送った。全文は、『週刊金曜日』ホームページの編集ブログに掲載してある。主要部分として(1)外務省における「メディア」の定義を問い、(2)『週刊金曜日』がメディアかどうかを判断の理由・根拠とともに尋ね、(3)参加を前述の六類型に限っている理由を聞いた。外務省報道課から、期日(同16日)までの回答は困難だと電話があった。期日を過ぎても待つと答えたが、なかなか回答はない。

 次の一手として12月2日、岡田外相の衆議院事務所に質問状をファクスした。「『週刊金曜日』の質問に回答しない外務省報道課の姿勢は妥当と考えますか」「『週刊金曜日』の会見出席要請について、どう考えますか」。岡田事務所の対応は素早かった。すぐに外務省報道課から、「回答するのでしばらく待ってほしい」と連絡があった。

 回答がファクスで届いたのは、12月25日午後10時すぎ。〈外務省は、一般的に「メディア」を定義したり、個々の媒体が「メディア」に該当するか否かを判断する立場にありません〉〈貴誌のように、6類型に該当しない媒体であっても、右類型に準ずる媒体については、会見に参加していただけるよう、基準を見直したいと考えています〉〈(会見参加の審査に)時間を要していることについては、率直にお詫び申し上げます〉

 年が明けた1月7日午後8時過ぎ、外務省報道課から電話が入った。上層部の決済に時間を要したことを謝り、明日(8日)の外相会見から出席できるという。当然申し込んだ。

 岡田外相は会見で、今までの基準のいずれかに準ずると認めうる者などに会見を開放すると発表。「『週刊金曜日』がひとつの具体例だ」と言明した。外務省が回答に時間を要したのは、岡田外相の判断を仰いだからと考えてよさそうだ。

(注) 6類型は(1)日本新聞協会会員、(2)日本民間放送連盟会員、(3)日本雑誌協会会員、(4)日本インターネット報道協会会員、(5)日本外国特派員協会(FCCJ)会員及び外国記者登録証保持者、(6)上記メディアが発行する媒体に定期的に記事等を提供する者(いわゆるフリーランス)。