きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

郵便局が銀行のように手数料をよこせと言い出した

昔、小学校で「10円くれええ」と同級生の間を歩き回って、なんとなく、300円ほどの金を稼いだこどもがいた。
そんな悪賢いヤツはどこの学校にもいたはずだ。
かくいう、私も「日本の人口は1億人だから、だれでも気にせずくれるだろう1円を集めれば1億円になる!」などと馬鹿なことを考えたこともある。
まあ、最近は落ちている100円は拾うなという本もあるらしく、馬鹿げた考えではあると思うが・・・・・・。

10月1日から小泉純一郎が渇望した郵政民営化が始まり、株式会社ゆうちょ銀行(西川善文総裁、元三井住友銀行会長)が誕生する。これまでの郵便貯金は民営金融機関になる。
貧しい人でも低価格で受けられるようなサービスが、民間銀行並へと引き上げられる。
その最たるものが手数料である。

今まで郵便為替による振り込みは10万円未満が200円だったが、今後は3万円未満が420円、3万円以上が630円になる。倍以上の値上げだ。
「週刊金曜日」の定期購読料金は1年分で2万3000円、2年で4万3200円である。この3万円のボーダーラインにひっかかる。

ちなみに、500円、1000円など額面が決まっている定額小為替の手数料は1枚10円から1枚100円へと10倍に値上げされる。
利用度は低そうだが、一応50円や100円の小為替もあり、これで振り込むと50円を送るのに100円かかることになる。つまりは、この制度はもう使うなってメッセージだ。

これで連想したのが、JRグループの切符の払い戻しである。JRの切符を間違えて買ってしまった場合、窓口で返金してくれることが多いが実は無料ではない。手数料として一枚210円かかるのがJRルールだ。以前下関駅で160円の切符を買って、不要になったので別の駅で払い戻しをしようとしたら駅員に210円請求されて。思わず「はあ?」と声を上げてしまった。160円の切符を払い戻してもらうには50円損しなければならないからである。あほくさいから、払い戻しは受けなかった。

脱線したので、話を手数料値上げに戻そう。

Aさんの振替口座に窓口に3万円の現金を振り込む場合、これまでの手数料は150円だったが、今後は330円になる。ATMを使って振り込む場合は、210円が290円へと値上げになる。

個人的になじみは薄いが、「電信現金払い」といって、郵便局に口座を持っている人が送金し、相手が直営店か郵便局で受け取るサービスは1万円までが180円から630円に値上げされる。世の中には銀行口座も郵便局の口座も持たない人はいるわけだが、それらの存在はゆうちょ銀行にとっては好ましくないようだ。

もう、ともかく基本的に値上げなのである。

公共料金の支払い手数料も値上げされる。3万円以上の公共料金の振り込み手数料が30円が240円に値上げされるのだ。一般の家庭で3万円以上を現金で振り込みすることは少ないだろう。3万円未満は30円だから、個人的には大丈夫。
ともかく、公共料金だろうが、NHK受信料だろうが、新聞購読料だろうが、今後はどこかに口座を持って自動引き落としにしないと損をすることになるのである。

所詮、10円、100円の話だろうなんて、これら金融機関の手数料をあなどってはいけない。100円×月数×東京都民などと、かけ算してほしい。あっという間に莫大な金になるだろう。金の計算はかけ算と割り算だとどこかの本に書いてあったし・・・・・・・。

冒頭の話の続きである。
このこどもは300円という結構な小遣いを稼いだ。
小学生にとっては一日100円の小遣いでも大きい。
ぼくは月500円だったと記憶している。
しかし、この手は何度も使えるものではない。理由もなくお金をあげるのは1円でも不快なものだ。その後、教室というコミュニティでは、この作戦が成功することはなかった。

しかし、金融機関はうま~く大人の理屈をつけ、日常的に「小金」を稼いでいる。
なぜ「株は儲かりますよ」と勧める人間が、本人では株式投資を専門にせずに、証券会社を起業するのだろうか。
もちろん、自社に口座を持っている投資家が勝っても負けても手数料が入ると方が手堅い商売だからだ。

世の中の(悪)賢いヤツ、いやゼニをもっているヤツは、庶民が支払う手数料で稼いでいる。
その最たるものが手数料と金利で食っており、日本ではけっして潰れないメガバンクなのではないだろうか。ゆうちょ銀行もその仲間入りをした。
(平井康嗣)

●ゆうちょ銀行と郵政公社手数料比較
http://www.japanpost.jp/pressrelease/japanese/kawase/070622j301.html