きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

殺される大統領

最近、二つの大統領暗殺ものの映画を観た。
まずは先日、公開されていた『大統領暗殺』である。
これは2007年10月13日に米国のブッシュ大統領とおぼしき人間が、アンチグローバリゼーション団体のデモ隊が取り囲む中、何者かの手によって暗殺されるという架空の物語である。そもそもの邦題は『ブッシュ暗殺』だったが、映倫を通らず『大統領暗殺』に変更されたという。犯人逮捕をめぐって、黒人やイスラムなど米国特有の人種問題がリアリティをもって浮き彫りにされていく。10月6日よりシャンテシネなどで全国公開予定。

先週は、『ユゴ 大統領有故』だ。これは1979年10月26日に韓国のパク・チョンヒ大統領がKCIAのキム・ジェギュ部長によって暗殺された事件を元に作られた劇映画だ。冒頭に上映削除シーンが続き、映画自体、遺族によって訴えられているという。だが、おそらく、そのよう表現をめぐる問題は監督の意図するところではないだろう。悲劇と喜劇は常に表裏一体で人の中に存在するということを上手に描いているエンターテイメントとして私は観た。12月からシネマアート六本木やシネマアート心斎橋で公開予定だ。

これまでにも大統領暗殺を描いた映画はあったが、今の時代にこれらの映画上映が重なることはなにがしかの意味をもつような気がする。

ちなみに両国大統領を警護・先導するオートバイはハーレーダビッドソンのポリスでした。

一方、日本では天皇が暗殺される物語はタブーと化しているし、首相が暗殺される映画もリアリティを持っていないようで、近年、映画化されていない。
というよりも、その必要ないようだ。
日本の首相は国会開会直後という最悪のタイミングで自ら辞任を表明するという予想外の物語が全国公共放送及び民間放送で公開されたからだ(永田町では麻生に安倍は裏切られたとかいろんな噂が流れているが)。

安全・安心な暮らし、危機管理、テロとの闘いという金科玉条をあっさりと放棄し、首相不在の状態が9月13日から続いている。国家として最悪の状態だ。

『ユゴ』によれば、パク・チョンヒ大統領が暗殺された直後、韓国首脳の間では、このことが知られたら北朝鮮が攻めてくると議論になり、暗殺ではなく「有故」(事故に遭うという意味)にしたという。

一方、日本では、首相代理を定めぬまま、国会も開会せず、ずるずると時間が経っている。

だが、幸運なことに首相不在というこの「好機」に日本でテロが起こる気配はない。

日本の首相が機能せずとも、日本を狙う深刻な危機など存在しないらしい。
これは日本が平和な国であるという証拠なのであろうか。
はたまた官僚さえいれば、政治家など不要だったということなのだろうか。
(平井康嗣)