兼題「残暑」__金曜俳句への投句一覧
(9月18・25日合併号掲載=8月31日締切)
2026年9月18日11:09PM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
立秋をすぎてもまだまだ暑いですね。真夏の暑さとはまた違う暑さです。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年9月18・25日合併号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【残暑】
残暑の日汗をぬぐいて帰り道
残暑かな地図から消えたバス停に
吸入器一呑みにして秋暑し
敗戦の背番号「1」残暑光
シーサーも首うなだるる残暑かな
パスワード忘れ残暑の旅なりき
秋暑く日本列島反つてをり
πのまだ続く残暑の汀かな
残暑かな面会室に誕生日
ステテコのゴムくたびれて残暑かな
甲斐荘のをんな揺らめく残暑かな
寝返りをどちらに打てど残暑かな
被災地も容赦はしない残暑かな
冠水の泥の匂ひし残暑かな
髪結び残暑のフライ揚げにけり
リモコンの行方捜さず残暑行く
神の名に蛍光ペンをひく残暑
残暑光閉店の札裏返す
残暑の自販機てこずる車椅子
ちいかわの不条理映す街残暑
洗い髪乾かぬうちに秋暑し
ポスティング残暑の町をひた歩く
列㠀殘暑戰爭のノック音
組む筏直せぬままに残暑来る
泣く僕の真上真横の残暑邪魔
湿りたる重き喪服の残暑かな
秋暑し膝はときどき逆に曲がる
這う蜘蛛に見上げられたる残暑かな
残暑光アルファベットを刻む墓
アウトロが長い残暑のアンコール
城下町盆地に残暑溜めしまま
残暑かな喪服の内に保冷剤
仁川なほ残暑十一レース待つ
日めくりにぶらさがりゐる残暑かな
沖縄が燃えるだけとや基地残暑
ブレハブの部室にふたり残暑かな
普天間に止まぬ爆音残暑かな
残暑かな自販機だけが喋りをり
手に取りて古書即売会秋暑し
秋暑し名を消されゆく台地かな
残暑なお集落ひとつ人知れず
残暑の夜枕を裏返へすの事
残暑にもいいところあり子がはずむ
残暑とは遺して要らぬ家のこと
秋暑しやけに首振る親子鹿
書き添ふる「海へ散骨」秋暑し
少しだけ色褪せている残暑かな
青空のいのち明滅残暑かな
残暑でも虐待の記憶は薄れない
秋暑し人喰い波を語れる日
バイパスは残暑の街を射抜きけり
残暑とはこんな感じじゃないはずが
光差すポテンヒットや秋暑し
残暑なり工事現場の杭打ち機
草野球走塁ころぶ残暑かな
自販機も熱中症になる残暑
まだ残暑口に出すまい残暑まだ
ひとり逝き一人は施設残暑かな
経済と言えばこと済む秋暑し
四つ角へ残暑居すわるビンゴかな
さてもさて残暑をどこに捨てやうか
バテ犬のスタンプ届く残暑かな
激情の恋は疲れてゆく残暑
救急車残暑のサイレン潜もりて
トンネルのような残暑のいつ果てる
ノストラダムスの予言はホント残暑続く
公園に子どもを見ない街残暑
桶の箍ゆるみそめたる残暑かな
狂おしく寝乱れ残暑Fall in love
ピクルスを丸かじりする残暑かな
まだ残暑まだまだ残暑まだ残暑
愚妻として手紙書きをり残暑の夜
秋暑煽りたるや長き付け睫毛
エスカレーター前から後ろから残暑
段取りの通りにゆかぬ残暑かな
ヤケクソの残暑の南インドカレー
秋暑し素焼きの壺の底湿り
耳鳴りの音を聴いてる夜の残暑
最序盤暫定一位残暑哉
パンの耳も残暑も残さず合掌
指を指たらしむ火傷秋暑し
残暑や父の時計を巻き直す
四桁を記憶の底に置く残暑
手首まで入るる残暑の吊革に
どこまでも戦後は続く残暑かな
ふるさとは熱にまみれてゐて残暑
残暑よりサイレン震るる高架橋
初孫の歩幅に合わせ残暑かな
秋暑し見えるけれども行けぬ島
チンドン屋でてくる町の残暑かな
残暑なほ手配写真の顔褪せゆく
神様も叩いて直す残暑かな
残暑の日日陰を探す帰り道
秋暑しハンディファンの音怠く
罵らばますます猛る残暑かな
猛残暑ダム湖の水が失せにけり
麓から残暑の絡みつく下山
ノアの方舟荒涼の地の残暑かな
致死量の残暑の匂う上着垂れ
薬局の説明長き残暑かな
残暑かな救急車より影降りる
燃えさうな道路残暑の靴の底
残暑バテしてないつもり長い暑気
献血の躊躇う針の残暑かな
十字架のごとき残暑の重さかな
残暑なり斬首されつつ何か言ふ
ラッキーカラーブルーだなんて秋暑し
木も草も人も静止をせし残暑
残暑光腕にたっぷり化粧水
残暑とは酷い暑さぞ残酷暑
立ち尽くす枯れ向日葵の残暑かな
カーテンのそよぎに残暑動きけり
むらさきを始発残暑の上野駅
塹壕の鳥に怯える残暑かな
やすやすと信じ残暑の駅で待つ
癌寛解母は自由に残暑かな
消毒液匂ふ残暑の検疫所
ふるさとに置いてきた影残る暑さ
色付きの筆ペン残暑見舞い来る
賭事や残る暑さに負けがこむ
街残暑ミートローフに活断層
筋トレのつぎは残暑といふマシン
あをあをと残暑の空でありにけり
脳内を蠅飛んでゐる残暑かな
秋暑し鍋底にゐる交差点
平置きの東野圭吾撫で残暑
平積みの書籍棚上げ秋暑し
父親が独裁者気取る残暑かな
草原に牛が肘つく残暑かな
あちこちの痒くて痒くて残暑かな
残暑まだまだまだ残暑まだ残暑
残暑濃し母を殴つた手で折鶴
アディショナルタイム残暑の笛を吹く
残暑とは絞り果てたる歯磨き粉
めりめりと音たててゐる残暑かな
姑の話かぶせて残暑なほ
残暑耐え釣糸引けばバス踊る
パスワード忘れて初期化する残暑
もうむりと口に出すまいこの残暑
残暑です今年も残りあとわずか
まだ残暑まだまだ残暑残暑まだ
秋暑し雲にムンクの叫ぶ顔
残暑の日水筒の水飲み干して
残暑光ペイチャンネルの砂嵐
暑いけど今年も笑顔で乗り切ろう
服5枚アイロンがけの残暑かな
くず餅のきな粉どろりと垂れ残暑
東入ル上ル下ルや京残暑
神父らの懺悔を聞くや残暑なる
小銭出し数え始めるレジ残暑
アスファルト残る暑さのぶり返す
夕刻を待ち望んでる残暑かな
残暑より恐ろしいもの数多あり
返納を済ませ残暑のアスファルト
出戻りの父が怒号の残暑かな
死化粧を覗く残暑のコルセット
九連宝燈上がった夜は残暑かな
列島を鷲掴みせし残暑かな
子ら去りて家がらんどう残暑充つ
住み込みの食堂裏の残暑かな
五人目の受胎告げらる残暑かな
ひとと逢ふ度の残暑の焔かな
思い出を巡り巡らす残暑かな
握る句帳に汗乾く間も無き残暑
交番前は横断禁止秋暑し
放牧をしつくして残暑おわりけり
秋暑し遠き封書にさくら印
念力も気力も失せて残暑かな
身分証持たずに戻り来し秋暑
同じ海同じ残暑の国境
べとべとの残暑の床や町中華
坂道をゆつくり登る残暑かな
残暑かな昼のワイドシヨーダラダラと
前略さへ省きたくなる残暑かな
秋暑し猫の水のむ手水鉢
残暑誰にも喜ばれない菜作り
曇天の野池に釣り糸残暑かな
秋暑の翳ロールシャッハテストめく
残暑なほ人の匂わぬ面会室
トニー谷ざんしょざんしょをくり返す
残暑の日夕焼け空に通り風
圏外の文字のあらはる残暑かな
スッパイマンのパワーアップよ秋暑し
鴉らの声もかれゆく残暑なり
御先祖に守られたる日震える残暑
残暑光モッシュピットの水たまり
冷し中華終わらぬままの残暑かな
復興の足音遠き残暑かな
退院すウィッグの妻残暑なほ
残暑なほ耐へに耐へをる百葉箱
大津絵の鬼の笑いも秋暑し
残暑かな閉鎖病棟のケーキ切る
午後二時で止まる残暑の置時計
阿修羅像臍窪昏し秋暑光
少年に残暑のころの火傷痕
船も出て大桟橋の残暑かな
痴話喧嘩息吹き返す残暑かな
いつまでも追い打ちかける残暑かな
愛妻に叱られてゐる残暑かな
事故処理のやうなる残る暑さかな
刈る草の匂ひむつとす残暑かな
苦しきは夕べのゆめの残暑かな
沸点の残暑ここまであっぱっぱ
自治会だより三十年の残暑かな
父親が少し反省する残暑
秋暑し六日九日十五日
残暑なお骨のひびきのごとき街
ガラポンは末等ばかり秋暑し
残暑なか黒鍵多い曲ばかり
調律のされぬ残暑のオルゴール
扇風機温風機となる残暑かな
秋暑きエントランスに休館日
絵手紙のいろ滲みゆく残暑かな
京洛に蓋の閉まらぬ残暑かな
ぬかるみに墓穴掘りつぐ残暑戦
買物は豆腐にトマト秋暑し
文明の利器ありがたき残暑なり
残暑受け過ぎし日々ほど遠くなり
蛇口よりまづは噯の残暑かな
靖国に遥拝なさる秋暑し
天気予報残暑をキャッチアップせむ
一通に入るや残暑のクラクション
居残りの吾子は残暑と補習受け
ウォールオブサウンド・小さき耳・残暑
残暑では片付けられぬこの日本
孫が来て残暑を恨む日曜日
わだかまり言葉にすれば残暑なほ
酷暑後の残暑に別の名前要る
残暑かな警備員には椅子がない
残暑なほ医院幾つも巡る老い
嵩高の書類に似せて残暑来る
まちうちの完治せぬほど来る残暑
「ああ」とだけ相槌打てる残暑かな
校庭の畝乾びたる残暑かな
粘りつく大阪弁や秋暑し
診察の予約も狂ふ残暑かな
デパートに並ぶ干物や秋暑し
残暑の日伸びたる影を追いかける
バス停の時刻表反る残暑かな
天皇が長押に並ぶ残暑かな
ぐでたまのごとく生きたし秋暑し
絵葉書の遅れて届く残暑かな
モナリザの目じりに影の残暑かな
秋暑し松の枯れたる岬道
残暑かな段ボール箱の底湿り
残暑かな海抜ゼロの保育園
リスクありますね残暑と目論見書
風の香に残暑を抜ける大舵輪
秋暑し視力検査に底ありて
浮き出たる肋骨撫でる残暑かな
震災の瓦礫片付け秋暑し
車脱出ハンマー試す秋暑し
終わりなき閉店セール秋暑し
トランプの妄言ため息の残暑
ポイント分引いて割り勘する残暑
道端の高砂百合の残暑かな
AIに見つからぬやう這ふ残暑
石段の端に腰掛け残暑なほ
残暑にはミストを浴びて旅立つよ
残暑とは似つかぬ今朝の暑さかな
いやな奴に会う予定の残暑かな
停戦の意味の解らず秋暑し
秋暑し鴉なまなましさを翔ぶ
計画の手順の狂ふ残暑かな
かうりやうとひろがるかはき残暑かな
冷蔵庫強冷続く残暑かな
漂ふはとほき残暑の匂ひかな
AIの描く人間秋暑し
弥生式土器に残暑があるものか
掠れたる残暑見舞の筆づかひ
天空の小さき墓列や残暑光
残暑夫の納豆まぜる音煙た
街残暑ムンクの顔の貼りついて
秋暑し逢えない人の好きなもの
秋暑し吊革先に掴まれて
残暑かな父の時計をまだ捨てず
戦争がやうやう終はる残暑もがな
残暑のエレベーターに鏡四枚
秋暑し正解のなき道歩む
デパートのプレバト展を出て残暑
先人が残暑の種を蒔いてゐる
ミネルヴァの梟飛べず秋暑し
Tシャツを5回着替えている残暑
秋暑し河童になってしまいそう
機動隊に護られてデモする残暑
いつまでも名古屋の空気残暑なる
職質の巡査は父似秋暑し
死刑執行速報流る残暑かな
餌やりし野良の子猫や残暑なほ
ポケットの小銭を探る残暑の手
死んだやうにやつと息する残暑なり
エアコンの音なお強し残暑かな
停戦を幾度も経る秋暑し
残暑とふ永き季節の始まりぬ
暑くても温暖化防止節約す
億年の地層の上に残暑かな
残暑光凪の平野を遅めつつ
残暑かな影を引きづる犬の声
子を乗せて片手はスマホ残暑なり
残暑かな釈放の日の爪を切る
見えてきた地球の終わり残暑かな
会釈のみ交すにあらぬ残暑かな
鍋底のごとき残暑のスクランブル
来ぬバスを待ちかねてをり残暑なほ
残暑光カットグラスの七重八重
グールドの孤愁深めし残暑かな
列島も伸びきってをり残暑かな
狛犬の寄り目に残る暑さかな
残暑には肌感覚といふ出逢ひ
避難所の床屋は休み街残暑
影長し畳に差して残暑かな
ひととせの間のごとき残暑かな
こんなはずではないと母残暑なり
足水を子等に占められ残暑とは
残暑かな昼のワイドシヨーダラダラと
夕涼みできる残暑はもう来ぬか
