きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

「総理の器」は、米国の扱いやすい政治家。「ポスト菅」は前原外相だろう。

<北村肇の「多角多面」(16)>

 菅直人氏が「総理の器」でないことは、永田町、霞ヶ関ではいまや「常識」。通常国会が始まり、多くの市民も痛感したのではないか。だが、肝心なのはその原因。言い換えれば、「個人の資質を問うべきか否か」ということだ。結論を言ってしまえば、本来、首相になるべきではない人がその席についてしまうのは、構造的な問題である。

 1月20日付『東京新聞』の「こちら特報部」に、内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が昨年末に公開した米外交文書の特集が掲載された。昨年2月3日、ソウルでキャンベル米国務次官補と金星煥(キム・ソン・ファン)外交安保主席秘書官が会談。その内容について在韓米大使館が本国に送った公電に関する記事だ。

<「両者(キャンベル、キム)は、民主党と自民党は『全く異なる』という認識で一致。北朝鮮との交渉で民主党が米韓と協調する重要性も確認した。また、金氏が北朝鮮が『複数のチャンネル』で民主党と接触していることは明らかと説明。キャンベル氏は、岡田克也外相と菅直人首相と直接、話し合うことの重要性を指摘した」
 この公電の意味を読み解くポイントは、米国が交渉の相手として当時の鳩山由紀夫首相ではなく、岡田、菅両氏を名指ししたことにある。>
 
 鳩山政権に反発した米国が、鳩山首相を無視して岡田、菅両氏を交渉相手にしていた、それが「菅政権への布石」になったのではないかという見立てだ。私も複数の永田町関係者から「『日米の対等な関係』と言い出した鳩山氏を苦々しく思った米国が、菅政権成立に向けて動いた」と聞かされていた。だから、昨年の早い段階で「次期首相は菅直人。理由は米国が扱いやすいからだ」と公言していた。
 
 思い出すのが、旧ソ連との関係改善を図った鳩山一郎氏、中国との国交回復を果たした田中角栄氏を批判した米国公電だ。いずれも米国ではすでに公開されている。さらには、東アジアとの協調を打ち出した細川護煕氏の退陣についても、「米国仕掛け説」が取り沙汰されてきた。
 
 米国の思惑、それを最も重視する官僚、そして日米同盟基軸を平然と打ち出すマスコミ、彼らにとって望ましい首相とは「扱いやすい操り人形」にほかならない。つまり、「宰相の器」から最も遠い人間こそが、総理大臣にふさわしいのだ。この構造を打ち崩さない限り、「真の首相」の登場は夢物語でしかない。「ポスト菅」は、米国の覚え目出度い前原誠司外相と予言しておこう。(2011/2/4)