きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

最近読んだ本を少々

友人が都議選に突如立候補したのだが、なんと奇跡の当選。ともかくリスクをとった姿勢には感銘したが、勝つとはさらにスゴイ。追い風感があるなあ。
さて、ネタがどうしてもプライベートな行動に突っ込んでしまいそうで書きづらい。ちょっと最近の読書遍歴にしてみました。

『キイチ』1~6巻 新井英樹、小学館
どこかの媒体で書評を読んで早速マンキツへ。新井英樹には『宮本君からきみへ』の宮本の壊れぶりに戦慄し、『ワールド・オブ・マイン』で壊れたを超え、暴走する主人公モンちゃんに恐怖した。これらの過程で何かを掴んだのだろうか。『キイチ』では前人未踏のカリスマ小学生を描くことに成功している。文学的であり、漫画的であり、詩的である。ほめすぎかな。6巻まで勢いを保ち続けている。読後には、目つきがキイチになっていた。

『石油の終焉』 ポール・ロバーツ、光文社
立教大学助教授のアンドリュー・デウィットさんが、「知ってますかー、油田見つかっていないんだよー、驚きますねー」と、いつものユーモアたっぷりの熱いテンションで教えてくれて以来、オイルピーク問題は気になっていたので手に取った。
本誌編集委員である筑紫哲也氏の三大悪が確か「タバコ」「マアジャン」「酒?」だったが、ぼくは「オートバイ」「酒」くらいか。
そんなぼくの関心の一点は、「いつまでガソリンを使ったバイクでぶっ飛ばせるのか」。その一念がないと、エネルギー問題を中東など現地取材までして徹底的に描いている本誌の膨大な情報は、集中力を維持し続けて咀嚼できないだろう。
リッター5kmのGMのハマーH2などがヒップホップな若造の間で流行っている。政治家アーノルド・シュワルツェネッガーも乗っているはずだが、あんな燃費が悪いSUVは乗らない方が、すべてのガソリンエンジン乗りのためである。カネを出してガソリンを買えばいいってもんじゃないだろう。ダッジ・バイパーなどはリッター3kmだと報告しているサイトもあった。
自戒の念をこめていうが、エンジン乗りは、もっと石油について勉強したほうがいいでしょう。

『日経新聞の黒い霧』 大塚将司、講談社
すべて実名で書かれている問題作。筆者は本誌経済コラム執筆者である。特に、筆者と関わって、うしろめたい身近な人間には痛い作品となっているだろう。前作『スクープ』よりさらに突っ込んだ内容。日常の記者同士の会話も書きこまれており、日経新聞社内では「まじかよお」と問題になっているとか。新聞記者を捨てたジャーナリストの覚悟が、ここまで書かせたのだろうか。

『2050年のわたしから』 金子勝、ヤマザキマリ(イラスト)、講談社
政策提言型経済学者、金子勝の真骨頂か。なんと45年先の日本の姿を提示した。漫画を使ってわかりやすく書かれているが、風刺的テイストは金子調。金子さんは6月、7月に3冊も本を出版している。相変わらず超人的な活躍ぶりである。

『天使と悪魔』上下 ダン・ブラウン、角川書店
『ダビンチコード』の筆者が『ダビンチ』以前に書いた作品。ハードボイルドに強い読書家の親友、F澤が「『ダビンチ』より面白い」と貸してくれた。ガリレオに、フリーメーソンに、バチカン市国に暗殺者。もろハリウッドで映画化できるアクション娯楽大作。面白いけど、文学性は低いかな。

長すぎるとしばしばコラム読者から言われるので、とりあえず。
(平井康嗣)