きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

防衛利権とはなにか あの尾身幸次衆院議員も沖縄に

「防衛利権」とメディアで高飛車な報道が飛んだ挙げ句、結局、守屋武昌事務次官(当時)と日本ミライズの元専務が逮捕されただけで終わった「防衛利権」汚職。その中身もゴルフ接待など矮小な部分だけだった。山田洋行や日本ミライズが商社として兵器を輸入したことに口利きをしたことも曖昧な話となっている。
一体、防衛利権とはなんだったのだろうか。さすがに国策企業である三菱重工には手をつけられなかたのだろう。

その防衛汚職では、永田町関係者、報道関係者はこれまで散々、「久間章生衆議院議員逮捕近し」と叫び続けてきたのに、この有様である。だが、一方の久間氏は秘書が談合などでばちっと逮捕されるわ、やたら豪華な別荘はあるわ、仕手株騒動には登場するわで、うさんくさい疑惑に事欠かない人物。疑惑の目が向くそれなりの合理性はある。

だからと言って、なんでもかんでも事件の背後に久間議員がいると見立てて、一転突破で調査を進めてばかりいると徒労に終わる。

実際、徒労に終わった捜査当局、報道機関も少なくないと聞く。

『週刊金曜日』取材班は、「沖縄のマフィア」と題して、沖縄米軍基地利権という複雑な構造を解体する作業を続けている。すでに連載は4回を終えている。
調査作業では、東京サイドで取り沙汰される久間氏なども視野あったことは事実だが、本誌の視点はこれまでの疑惑ものとはスジが異なっている。久間議員を調査対象から外したかはヒミツである。
取材班は、国会議員では沖縄選出議員の嘉数知賢衆院議員(清和研)、仲村正治衆議院議員、西銘恒三郎衆院議員(ともに平成研)など東京サイドではあまり聞き慣れない議員たちを誌面で触れるに至っている。

その取材を進める中、取材班に飛び込んできたのは尾身幸次衆議院議員(清和研)が2月に沖縄に非公式に入ってきたというニュースである。
尾身議員は沖縄担当大臣を務め、沖縄幸政会という政治団体も持っている北関東の政治家である(沖縄拓政会もあり、これは山崎拓議員の政治団体。山崎氏は福岡県が地盤選)
沖縄の大学院大学に伴って、不明朗な関係が指摘されており、沖縄に利権を持つ議員として常に名前が取り沙汰されてきた人物の一人で東京サイドでも名が通った人物である。
だが、現在は沖縄担当相も外れ、沖縄には縁がないと思われていた。それが、沖縄北部市町村の首長たちと懇談していたというのだった。実際に沖縄入りしていたことは、尾身事務所からの確認もとれたが、“沖縄を想う”尾身議員の今後の動向を注視したいところである。尾身議員の守備範囲で、今年はなにか動きがあるのだろうか。(注)

さて、3月31日には米軍再編交付金の交付先として名護市と宜野座市が防衛省に指定された。米国大好きの小泉元首相と足並みを揃えていた守屋前次官失脚後、米軍再編は新たな動きを見せている。
この金は、米軍施設受け入れの見返りとして支給されるカネである。米軍基地移設の見返りではなく北部振興として名護市ら地元が受け入れてきた北部振興対策費とは性格が異なる(名護市は守屋案の基地移転を拒否してきたため、北部振興費というカネが凍結されていた。それが守屋失脚後に凍結解除され、事業費は担当官庁に配布されている。そのような進展を考えれば、米軍再編交付金の指定も当然の流れだといえよう)。

官邸と地元が足並みを揃え始めている今年は、普天間基地移設がついに現実味を帯びてきた。

新しい米軍基地建設という巨額の公共事業で潤う面々は、祝杯をあげていることだろう。いずれ、ご挨拶にいきます。

(注)新しい動きといえば、小泉元首相が訪れたりした宮古島。なぜかといえば、サトウキビを原料とするバイオマス燃料施設の視察である。最近、環境議連なども立ち上がっているが、税金を自分の財布と勘違いしている利権配分団体の自民党だけに、道路並とは言わないが補助金などの名目をつけて、採算の合わない環境ビジネスを展開していくのだろう。
一方、竹中平蔵氏を筆頭に日の丸SWF(政府系ファンド)で、国有財産を売って資金運用するという議論も便乗的に出てきているが、まずは財政赤字(借金)を返すことをもっと真面目に考えて欲しい。かといって、別に国有財産や米国債を保有している財務省を擁護しているわけではありません。政府系ファンド論争は財務省派とアンチ財務省派の代理戦争的なニュアンスを感じる。
(平井康嗣)