きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「雲の峰」__金曜俳句への投句一覧
(7月25日号掲載=6月30日締切)

雲の峰とは、入道雲とも呼ばれる積乱雲のことです。せりあがるさまを山にたとえて、このように呼びます。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2025年7月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【雲の峰】
雲の峰富士の高嶺と背比べ
骨壺が孵らぬやうに雲の峰
安達太良にほんとの空や雲の峰
雲の峰湖畔に開く電子地図
人体の観察日記雲の峰
勢ひで助手席にゐて雲の峰
雲の峰海から上がる目安なり
雲の峰有象無象を放りだして
親子にも相性ありて雲の峰
雲の峰各地に潜む太郎の名
雲の峰新幹線の鼻長し
縦走の三山に湧く雲の峰
動乱を見下ろしてをり雲の峰
夏フェスの拳突き上げ雲の峰
雲の峰そんなに群れてなにをする
パソコンの電源落とす雲の峰
旅立ちはいつも突然雲の峰
雲の峰支う山並癌手術
峰雲や虎口入り組む妻籠宿
満ち潮に生命燃え尽き雲の峰
雲の峰カーラジオからアラビア語
確かなる飛行物体雲の峰
雲の峰火葬場までを徒歩でゆく
砲の無き砲台に立ち雲の峰
眼を洗ふ蛇口は嫌ひ雲の峰
人生は五合目辺り雲の峰
尾根道の雲の峰まで続きけり
埼玉に市町六十雲の峰
父さんの夢を叶える雲の峰
雷雲やゴジラのごとくせまりくる
雲の峰歩荷の荷物膨れたる
雲の峰こども相撲の大一番
胸を突く杉の高さや雲の峰
サーファーの後ろ姿追ふ雲の峰
雲の峰なほ育ちゆく力満つ
スヌーピー似の駐在さんや雲の峰
憧れし女子部キャプテン雲の峰
雲の峰航海好きな博士たち
長崎の迫る斜面や雲の峰
雲の峰裾の畑うつ父の老い
雲の峰棒から落ちるアイスかな
むかしから集団嫌ひ雲の峰
登坂のペダルきゆうきゆう雲の峰
海道をゆく牽引車雲の峰
法螺話得意だつた師雲の峰
雲の峰撮る間もなしに崩れゆく
砲撃の須臾の間已みし雲の峰
峰雲や子を抱くように米袋
飛騨美濃の分水嶺や雲の峰
雲の峰天辺に刺すウエハース
中天に獅子吼ゆるごと雲の峰
洋上に魔王のごとき雲の峰
料理酒は御神酒の残り雲の峰
雲の峰抜けた途端に滑走路
雲の峰高き見守る今日の試歩
鎖場を超え痩せ尾根や雲の峰
雲の峰コインが決めた街にいる
師の大志次々生まれ雲の峰
団子屋が向ひ合せて積乱雲
雲の峰優先順位ある悩み
充血の眼球乾く雲の峰
寝台の母には見えぬ雲の峰
雲の峰遠くて近き未来あり
辿り来し嶺のはるかに雲の峰
雲の峰棒高跳びのポニーテール
雲の峰都会のビルの背負ふもの
雲の峰ロイド眼鏡にレンズ無く
ハンマーの軽くなる音雲の峰
喘ぎつついよいよ高し雲の峰
給水車来る被災地雲の峰
積ん読を減らせないまま雲の峰
連山のまさに山の字雲の峰
これやこの入道雲と田子の浦
みんな泣くお別れパンダ雲の峰
風起こり積乱雲の育ちけり
雲の峰消えて平たき雨の粒
雲の峰ここより始む歌のサビ
敗戦を知るや知らずや雲の峰
若き日の志雲の峰が知る
坂をまた豆腐屋くだる雲の峰
雲の峰腕白どもの草相撲
雲が雲脱ぎちらかして雲の峰
参道に踊り場はなし雲の峰
遍路旅白装束追ふ雲の峰
峰雲の白き扉に迎へらる
少年の走り続けて雲の峰
まつすぐに雲の峰へと商店街
旅立ちは雲の峰へと突き進み
ドローンの着地もどかし雲の峰
昨日より近き双塔雲の峰
雲の峰墓石のごとし高層ビル
八ヶ岳八つ包めず雲の峰
雲の峰不可視の穴から次々と
放浪記閉ぢて眺むる雲の峰
砂塵巻いて俄かに翳る雲の峰
昼休み終る校庭雲の峰
責任は誰が取るのか雲の峰
雲の峰螺旋階段中に在り
大河口沖にむくりと雲の峰
雲の峰太鼓一打の組体操
湖上から見上げる伊吹雲の峰
一艘も海にはをらず雲の峰
胸反らす球児絶唱雲の峰
潮干きし弁天島へ雲の峰
雲の峰くろくひしやげて嵐かな
雲の峰狙ふ槍投げ太き腕
峰雲へ紙飛行機の一直線
雲の峰くづれて白き雨となる
雲の峰自分専用マヨネーズ
漣に崩れゆきけり雲の峰
雲の峰子供ひとりも見かけぬ日
峰雲の真下にゐると思ひけり
声援のスコアボードに雲の峰
考は越へられぬ壁なり雲の峰
相模湾囲みて不動雲の峰
遠浅の白波囃す雲の峰
栄冠は吾にも輝く雲の峰
本日より無為徒食なり雲の峰
雲の峰お別れパンダが乗っている
峰雲の湧きつぐ沖や希望あり
峰雲や橋に屈める石敢当
遙かなれヒロシマ・ナガサキ雲の峰
雲の峰鉄塔幾つ山渡る
雲の峰手ぶらで化石探しをり
雲の峰裾に新宿歌舞伎町
若き日の八ヶ岳(やつ)の縦走雲の峰
雲の峰葬礼状の鄭重語
改札を出るや峰雲のしかかる
駅前の高層マンション雲の峰
雲の峰あまた眠れる海の色
峰雲の足湯や車中泊の旅