きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「夾竹桃」__金曜俳句への投句一覧
(6月30日号掲載=2017年5月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2017年6月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【夾竹桃】
手をつなぎ赤白ならぶ夾竹桃
夾竹桃ムンバイ発の手紙来ぬ
夾竹桃歩いて五分の中心街
廃校の雲湧く屋根や夾竹桃
吹く風に熱を孕ませ夾竹桃
散歩仲間との立話夾竹桃
ポスト行き夾竹桃撮る昼間かな
手折りたり夾竹桃と知りながら
天上にビルの高さや夾竹桃
暮れてゆく空に声上ぐ夾竹桃
助手席の窓中過ぎし夾竹桃
墓場まで持てゆく秘密夾竹桃
錆びしきる放置自転車夾竹桃
広場には夾竹桃と老犬と
公園の夾竹桃は憩ひの場
風と遊ぶからす見てをり夾竹桃
病室の外に今年の夾竹桃
団地発バス待つ人や夾竹桃
夾竹桃ぐるり砂場へ三輪車
夾竹桃放言札と獏さんと
空き缶が夾竹桃を見てをりぬ
駐車場増ゆる街なり夾竹桃
その下に無辜の屍や夾竹桃
夾竹桃縁切り寺の雨ふいに
よくもまあ繁りに繁る夾竹桃
青空に花染み入るや夾竹桃
夾竹桃真日より強し花も葉も
高速の窓独り占め夾竹桃
ひと夏を咲き通すかよ夾竹桃
公園の横に交番夾竹桃
ガチャ万の機屋の廃れ夾竹桃
紙芝居来るや夾竹桃の影
坂に住む女夾竹桃を嗅ぐ
駅弁大学てふ駅前の夾竹桃
井戸端の愚痴爆ぜにけり夾竹桃
公園のいぢめ現場の夾竹桃
突くやうに夾竹桃の葉の立ちぬ
夾竹桃日は燦燦とふりやまず
銭湯へ夾竹桃の角曲がる
回送のバスを迎へる夾竹桃
百十四銀行脇の夾竹桃
振り返らず白日向くや夾竹桃
白堊なるビルの前衛夾竹桃
薬局を出た目の前夾竹桃
対岸もこちらも紅き夾竹桃
饒舌な夾竹桃も睡る刻
夾竹桃憧憬という高さかな
降る雨にジャズが流れて夾竹桃
キノコ雲白も赤染め夾竹桃
夾竹桃雨葬列を過ぎゆけり
夾竹桃ハノイはオートバイの波
江戸の橋遺すは名のみ夾竹桃
夾竹桃の道を通りて馬券買ふ
サングラス越に夾竹桃の花
夾竹桃けふも笑顔で案内する
夾竹桃コロセオの猫ひと慣れて
淫らにも咲くときのあり夾竹桃
府中まで夾竹桃の壁伝い
圧力は無いと圧力夾竹桃
暮るる日や哀しみ果てず夾竹桃
微妙とも絶妙ともいふ夾竹桃
海青く外人墓地の夾竹桃
夾竹桃ありて踏み出す焦土かな
軍歌割れ夾竹桃のパチンコ屋
きょうちくとう蔵のまわりで話しこむ
戦争も平和も知ってる夾竹桃
工場のパイプがあらわ夾竹桃
夕映えの夾竹桃の家路かな
自らの毒の在処や夾竹桃
喫煙所は裏手夾竹桃の先
夾竹桃人は過ち繰り返す
夾竹桃日照りの夏が大好きです
プレス機のとよむ葛飾夾竹桃
夾竹桃花にわづかな影のあり
妹は兄より元気夾竹桃
街路樹や目を奪われし夾竹桃
夾竹桃フェンスを越せば異国なり
夾竹桃銅山は山地ぞをかす
泣くような夾竹桃のピザがない
夾竹桃ちよいとそこまで行けません
都会での暮らし三年夾竹桃
夾竹桃兄嫁の子を叱る声
陸上部夾竹桃を折り返す
富士山の見える町なり夾竹桃
夾竹桃厳しき暑さに負けられぬ
犬の糞お断りです夾竹桃
夾竹桃公園にある低き山
乱れ咲く夾竹桃の葉の尖り
夾竹桃ひと雨欲しや砂乾く
夾竹桃となりは魚醤搾る小屋
路地抜けば八百屋さかな屋夾竹桃
ゴミ袋結ぶ女性に夾竹桃
赤あかと夾竹桃の咲く街路
工場の道真直ぐや夾竹桃
列になる長距離バスと夾竹桃
真剣な話夾竹桃は咲き
胸を射る激しき言葉夾竹桃
川べりに落っこちそうな夾竹桃
列なして駅に急ぐや夾竹桃
夾竹桃残す古民家カフェルーム
夾竹桃縄で括りし豆腐買ふ
死なうかと夾竹桃に尋ねけり
夾竹桃見回り猫の帰り来て
神々の島に舟来る夾竹桃
夾竹桃猫は孤独死選びをり
道乾く夾竹桃の濡れしまま
いち早く焦土に咲けり夾竹桃
鈍む日のキューポラと夾竹桃と
たそがれの車窓に白き夾竹桃
赤信号夾竹桃の陰に待つ
絵手紙の朱の落款や夾竹桃
夾竹桃名のみ残りし職人町
列挙する離婚の理由夾竹桃
まっすぐに伸びぬ枝有り夾竹桃
平和への祈りと勇気夾竹桃
降りるたび空き家の街や夾竹桃
自転車のための良き道夾竹桃
確実にどこでもいいの夾竹桃
夾竹桃夾竹桃たる覚悟
夾竹桃正しき日本の夏が来る
香ばしき屋台ずらりと夾竹桃
夾竹桃右に曲がればスタジアム
夾竹桃のうへに二階の窓ならぶ
夾竹桃大学通りは真つ直ぐに
エレベーターガールの帽子夾竹桃
高速路埃たかきの夾竹桃
ラッパの音夾竹桃に浴びせたる
虹の里改めみいる夾竹桃
夾竹桃その一身に毒持てり
子の真似る二礼二拍手夾竹桃
浮浪者の屋根より高き夾竹桃
水にごる麻布の橋や夾竹桃
労働者の匂いいつぱい夾竹桃
道分けし夾竹桃の直方体
きょうちくとう毒をたたんで揺れてをり
夾竹桃や銀の箸研ぐ白い腕
煙突は嶺を凌駕し夾竹桃
かいまからピンク顔出す夾竹桃
夾竹桃なぜ埃多い所に立つ
夾竹桃の垣根明るき町に住む
わが心確かに夾竹桃の赤
悲劇の地まず咲きしてふ夾竹桃
バイパスの通り忘らる夾竹桃
夾竹桃中華街にもあるカレー
天を突く夾竹桃となりにけり
夾竹桃白きを辿る隠れ宿

【昼顔】=兼題ではありません
昼顔咲く午後の路上に再会す
昼顔や流木はまた海に出る
昼顔を揺らすバイクの排気音