きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「釣堀」__金曜俳句への投句一覧(6月27日号掲載=2014年5月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』6月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【釣堀】
釣堀の鯉に闘ひ方習ふ
釣堀やフェンスの内の日曜日
釣堀で日中を過ごす憂き身かな
釣り堀のすれっからしに侮らる
釣堀に揚がる魚の傷の数
釣堀の背は暇人か達人か
釣堀の眠たき水に糸垂らす
釣堀や小雨たちまち本降りに
釣堀やどこか貧乏臭い人
釣堀の兄に日の丸弁当を
釣堀の水はゴジラのやうな色
釣堀の真昼スパイの如き美女
釣堀や昨日釣られて今日逃げて
駅ひとつ手前で降りて釣堀に
二十四歳で私は釣堀に
釣堀に子の呼びに来る日曜日
釣堀に座す人影の間合かな
峠より釣堀らしき水の色
釣堀の魚の前世罪深き
釣堀に立位鷺も居て猫も居て
草生しぬ確か此処らに釣堀が
釣堀は小学生まで遡る
午後の日を釣堀にゐて帰社したり
釣堀の水に鼓動のあるごとし
釣堀や隣にはかに動きあり
釣堀に寡黙の影がならびゐる
卓球と釣堀トレード出来るのか
釣堀にあまた人ゐてそれぞれ孤
釣堀の魚のひつぱる異界かな
釣堀の浮きにまつはる過去未来
釣堀や五時を知らせる童歌
釣堀に人居ぬ時間朝明ける
釣堀の影の先より釣りしもの
釣堀として山の池みどり濃し
釣堀をビルの谷間に取り残す
釣堀の老人ざつと五六人
釣堀のバケツの魚に急かさるる
釣堀や尺べらの目のつぶらなる
釣堀に刻堆積し水淀む
釣堀の魚なる心地して睡し
釣堀にホームとアウトありにけり
釣堀は多彩な欠伸展示場
釣堀に水のにほいや夏近し
釣堀やわたぐも水に長居せり
釣堀や糸のたるみも日曜日
釣堀の閑けさのける孫生まる
釣堀の両手むなしき帰り道
昼酒の前釣堀に釣れ過ぎて
釣り堀の呟き会いも技の内
水澱む釣堀の昼浮子静か
青天を写す釣堀番鳥
釣堀に暇を投げ込み日を過ごす
釣堀の浮桟橋に雲走る
釣堀の素性わからぬ人ばかり
釣堀のありそな町にちやんとある
釣堀の魚そく仕出す浜の店
釣堀の隣の水田見てをりぬ
釣堀へ会社と言ひて今日もまた
釣堀の父子勝負の十匹目
釣堀や箱におさまる男たち
釣堀は帽子陳列場に似て
釣堀の沸き立つてゐる股覗き
釣堀や女主人の手に棍棒
釣堀を通勤電車過ぎゆけり
釣堀に恋敵ゐる狭さかな
マンションに変る釣堀川を責め
みちなりにゆけは釣堀あると云ふ
背伸びしてまた釣堀に腰据ゑる
釣堀や猫のかたちの雲が出る
釣堀の席は決まって線路向き
口針の傷癒えずして釣堀魚
風そよと釣堀の客動かざる
釣り堀や張り合って後碁敵に
釣堀の命令形の注意書き
釣堀やそよともせずに小半時
釣堀に働かぬ身と決めし人
釣堀に白昼堂々来りけり
釣堀のなじみの孤老まだ見えぬ
釣堀や常連の居てホッとせり
釣堀やきのうの今日も同じ顔
釣堀の孤影は終日動かざる
釣堀の主と水面と夕暮れぬ
釣堀や辛抱づよき老男女
釣堀や光る親の目子に指南
釣堀と市ヶ谷駅を眺めをり
釣堀に上座下座も無かりしを
釣堀や浮子の水輪も見飽きたり
目を凝らし釣堀の縁父子かな
後ろから強欲マリン釣り堀で
釣堀に響く「母さん、呼んでるよ!」