きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「雷」__金曜俳句への投句一覧(6月27日号掲載=2014年5月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』6月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【雷】
遠雷や言葉少なに友去りぬ
落雷の友の名記す遭難碑
雷は臍盗る神と脅かされ
糠味噌に手を突つ込めばはたた神
雷鳴に犬の遠吠昼暗し
落雷や一村の闇薙ぎ倒す
雷に耳塞ぎ見る母の顔
遠雷やビニルハウスに男女ゐて(映画『遠雷』)
雷や峠の一樹仁王立ち
遠雷や今宵密会ありさうな
濱一つ抱へ込みたるはたた神
無表情なる店員や雷近し
雷雨の夜少し川の字気味の家
エンドロールのシーンいつも雷が
奔放に生きて悔いなしはたた神
諳んずる九九つつかへて雷近し
鳴神やドアの開いてる献血車
雷鳴やくちびる動くさやうなら
雷や子に被さりて遣り過ごす
雷に草野球場熱気おぶ
遠雷を孤りテントに聞く夜かな
雷神にそつと入れ歯を外しけり
雷鳴るやをみなといぬが騒ぎをり
遠雷やコンピューターの機器の数
目を合わせ大雷に座が和む
汝の怯む雷鳴さへも電話かな
店先に小間物踊る雷雨かな
雷の去りゆくほどに人の声
日雷アロワナひらり身を躱す
妻怒る師の雷もかくばかり
雷に撃たれしごとく見初めたり
カーテンの大きく揺れて雷ひとつ
雷や武蔵野の空通りけり
片空の晴れて神雷雨の中
雷に女らしさを見せにけり
頂の県境より雷生まれ
呟くが如くとなりぬ雷の終
雷は母の乳房の形になる
雷さまの落し給ひし闇夜かな
遠雷や契約書にて甲となる
大欅裂かれてゐたる雷のあと
遠雷に応へる雷真上より
肉体の中に白骨はたた神
雷鳴に動じぬ母の深眠り
妻の声忘れていいよ日雷
朝の雷校長室の遺影群
雷の響く幼き日の心
起き抜けの雷に戦く座敷犬
針山に針を刺すたび日雷
早朝に開始合図の雷を打つ
ガラス窓打つ雷の左の手
迅雷や坂東武者の暴れし地
雷に入るアテンダントのほつれ髪
青空に遠雷ひとつ跡もなし
雷を聞く古人と同じ耳をして
雷光に一瞬浮ぶ山昏し
筑波嶺に髭を生やせる雷雨かな
雷雲が怪しお家へ帰ろうか
怖きもの地震雷家事政治
雷神をみれんきけんが羨ましい
雷は厨の奥をさらしけり
雷去りて八手の緑濃かりけり
雷は訪問先を電波傳
雷鳴に蟻の行列事もなし
雷やラジオの音の遠ざかる
雷やギリシヤ喜悲劇幕上がる
日雷昼顔ゆるく開きけり
遠雷はお湿りもなく行き過ぎる
居合はせし人と見上ぐる日雷
落雷や灯りうつすら離れの間
ドラムスに遠雷交じるライヴかな
激雷にクワバラ呪文蚊帳の中
雷や天に張り付く龍の爪
古寺巡る先に雷通しけり
遠雷に欅早くも騒ぎけり
雷鳴にパソコン窮す午前二時
かたかごの眠りをさます霹靂神
遠雷に予言の風の来りけり
日雷鼓舞するごとし草競馬
雷鳴に解散の辞の呆気なき
両毛をかはるがはるに雷打てり
その後は鳥の声してはたたがみ
ひとしきり古代に身を置くはたたがみ
雷がそこまで来てる5番線
雲丹の次雷検定第一問
雷鳴や少女両手で耳塞ぐ
雷や庄屋しづかな太柱
雷に追い返へされしゴルフ場
遠雷や耳三角に眠る猫
産気付く嫁を見送りはたた神
部屋中のささくれだつや日雷
雷はクワバラ避くる理由(わけ)ありと
遠ざかる雷を大きな櫓とおもふ
山々に集雷線と変電所
雷の街掻き分けて落ちにけり
もう忘れてもいいんだよ日雷
雷鳴るや身代仏を直撃す
宗逹の描く雷神臍ありて
一日の決意うながす朝の雷
雷五郎小兵横綱実在し
遠雷に一隅外し蚊帳吊りて
落ちたらず夜半に残る雷一つ
別々の部屋に根づきて夜の雷
遠雷やどの赤子にも蒙古斑
停電の首都乱打するはたた神
雷鳴に立往生の鬼ごつこ
落雷も知らず今宵のカラオケ会
日雷時空超えをり天守閣
雷鳴に人体模型逃げ出しぬ
雷の一閃するや降り始む
忘れじの八月二日の雷雨かな
遠雷を予鈴と思ふゾンビかな
大雷雨みやこの空を斜がけに
雷雨なり源氏鶏太を読んで居る
雷鳴や中央本線山の中
雷に共鳴するやわが庵
吾輩のヒゲをゆさぶる雷が
雷電と企業興して平安に
日雷老婆あわてず鎌かくす
雷はメリハリをつけ迫り来る
雷鳴るや速く去ってくれないか
日雷泰然として老犬は
雷鳴の近きを父と四人部屋
雷や上州米にゴロピカリ
終幕のオペラのごとき雷雨来て
雷や猫の瞳は緑色
鈍色の雲打ち破り雷生るる
遠雷やサイフォンの音リズミカル
雷ときくやシャツ着け蚊帳へ逃げ
竜巻とおやじが組んで雷に
雷鳴のやわな意を叱咤する
図書館の後の雷冪乗根(べきじょうこん)
黙り込み大雷に目を合わす
雷鳴やスカイツリーを揺らすごと
彼の人に雷おつか離れ行く
昼花火とほくで応へ日雷