きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

黒イチゴの花

「摩天楼より新緑がパセリほど 鷹羽狩行」――この句は1969年、米・ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルの屋上から見下ろして作った作品だという。新緑の美しい樹木が、まるで一片のパセリのように見えたそうだ。

 私の部屋のベランダにはいま、樹木ではなく本物のパセリが育っている。プランターで育てていても株の根本から次々と新芽が出てきて、淡く透き通るような黄緑が美しい。もちろん観賞だけではなく、サラダやパスタなどの料理に活躍してもらっている。

 初夏にはハーブの苗を買う。今年は、パセリのほかにラベンダーとシソを植えた。バジルは昨年取れた種をまいたら4株ほど芽生えた。冬の間、裸木だった山椒はすでに多くの葉を茂らせている。レモンバームやタイム、カモミールは先週、種から育てはじめた。

 緑が増えていくベランダを見るのは楽しい。ただ、イモムシやアオムシたちによる食害もやはり始まった。真っ先にやられたのがパセリだ。せっかく自分で育てているのだから、農薬は使わない。水やりのときなどに丹念に見て、4日前ようやく1匹、割り箸で取り除いた。だが、2匹目以降がなかなか見つからない。一昨年は、ほぼ数日で山椒が丸裸にされてしまった。油断はできないのだ。

 タイトルに書いた黒イチゴ(ブラックベリー)は6月2日に買った。「黒イチゴの花(ブラックベリー・ブロッサム)」という曲が好きで、前々から関心があった。花屋の店頭で鉢植えを見つけたときはうれしく、「病気や害虫の被害がほとんどありません」という説明も気に入った。

 ところが、知り合いのイラストレーターによると、黒イチゴの実はカラスが狙うそうだ。少しならカラスにわけてあげていいけど、全部は嫌だなぁ。そういうわけで、私のベランダでは、虫たちにくわえカラスとの闘いもはじまりそうな気配なのである。