きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

悪法区議会 世田谷区の安心の胡散臭さ~「世田谷区安全安心まちづくり条例」の巻

国会だけなく、悪法は市町村レベルでも作られているものだ。

東京都世田谷区では、上祖師谷一家4人強盗殺人事件、三軒茶屋の警察官殺傷事件、オウム真理教(アレフ)の南烏山“進出”が相次いで“発生”。住民たちの不安は高まったらしい。そこで今、世田谷区は「世田谷区安全安心まちづくり条例」(以下、安心条例)をつくろうとしている。

ところが、なんと安心条例の第5条で、「第2の破防法」と批判された「団体規制法」(注)が準用されているというのだ。

団体規制法立法は、破防法が事実上封印された“法務省の盲腸”公安調査庁の生き残りのための苦肉の策と言われた。憲法が保障する集会結社の自由を著しく制約するもとして批判を浴びた悪法である。もともとは、暴力団対策法と同じでアレフのためだけというピンポイント目的で作られた、立法趣旨からしていい加減な法律だ。

安心条例では、この団体規制法の対象となった団体(アレフしかないのだが……)に対し、区が税金を

支出して一部の住民と行政が監視、規制していけるようにする。

これまで法的根拠が無いため税金の支出もなく、住民の自発的な意思に左右されていた監視行為の基礎固めを行なうわけだ。全国に先駆けた実験的な条例だと言えるだろう。住民は法的に公安警備活動に関与するのである。監視行為を日常化することで、住民の不安が取り除けるのだろうか。不安を固定化するだけの気がする。背景には一連の反テロを受けた“悪法バブル”があるだろう。

世田谷区議会では拙速審議で7月1日頃には成立・施行する見込みだ。

注 正式名称は「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」

悪法国会  防衛庁リスト流出事件~行政個人情報保護法に違反しても罰則なし

防衛庁が情報公開法にもとづいて合法的に資料請求をした人物のリストを作っていたことが『毎日新聞』の調査報道で明らかになった。

これでは個人情報保護法もないわけだ。

その、142人の防衛庁のリストに名前が載っていた1人、長谷川順一さんに話を聞いた。

長谷川さんは、共産党員として新宿区議会議員をリタイアした

後、現在は長谷川オフィスを開き新宿の戦争遺跡平和ガイドをしている。

「私は市ヶ谷台ツアーで年間、どれくらいの小中学生が防衛庁を見学しているのかを情報公開請求をしてみました。自分でも情報公開の勉強だと思い、300円の証紙を貼ってね。子どもたちが若いうちから防衛庁の一方的なPRを受けているとしたら、それは問題ですからね。

情報請求するためには住所・電話番号・職業を書かなければなりません。そのときは「新宿平和委員会 代表者名 長谷川順一」と書きました。しかし、毎日新聞から取材されたときにリストに載っていたのは<長谷川オフィス>と記されていたそうです。防衛庁は、調べてはいけないことを調べたわけですよ。

市ヶ谷はもと陸軍省があり、憲兵隊本部や情報機関があったところ。今も情報機関があるし、「先祖帰り」しているんじゃないの。

自分の家族も含めて調べられたわけでしょ。ぞっとしましたよ。『毎日新聞』の報道で日本中にリストのことが知られたわけだけど、やっぱり一般の人は、こういうことをされていると思ったら萎縮して情報公開請求をしにくくなりますよね」
(平井康嗣)