きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

前原外相、蓮舫行政刷新相、仙谷官房長官、小沢元民主党代表、みんなガキ大将か

<北村肇の多角多面4>

 ガキ大将かい、あんたは。前原誠司外相の記者会見を見ていると、ついそんなヤジを飛ばしたくなる。人を見下したような目線、皮肉っぽく曲げた唇、何よりも発言が一々、偉そうだ。一連の尖閣諸島(中国名・鈞魚台列島)問題に関する会見からは、「中国は何様のつもりだ。オレに楯突くなんて」という態度がありありだった。これでは中国が憤慨するのも当たり前。外交は単なるケンカではない。意味もなく怒らせてどうする。相手は相当にしたたかだ。老獪に立ち回らなくては優位に立てるはずもない。

 菅直人政権18人の閣僚で、40歳代は3人。最年少の蓮舫行政刷新相は42歳、玄葉光一郎国家戦略相が46歳、そして前原氏は48歳。3人に共通しているのは「オレがオレが、私が私が」のオーラだ。大体、若いといっても40代。もう不惑に達している。腕力と勢いだけのガキ大将はとっくに卒業していなくてはおかしい。なのに、何とも子どもっぽい。

 もっとも、60代の仙谷由人官房長官や小沢一郎元民主党代表も、どちらかといえばガキ大将の面影が消え去らない。会見で不愉快なことを聞かれたり、国会で追及されたときの仏頂面など二人はよく似ている。先輩がこれでは、その背中を見て育つ若手議員が大人になりきれないのは致し方ないかもしれない。

 ガキ大将には二種類ある。力の強さだけを武器に、我が物顔に振る舞う嫌われ者。情に厚く、弱い者いじめは許さず、仲間の面倒はどこまでもみる親分肌のタイプ。後者が歳を重ねたとき、そこに、包容力にあふれ正義漢をもった真の大物が誕生することもある。

 ルーペを使い、くまなく探してみても、永田町にはそれに値する国会議員が見あたらない。一方、前者のガキ大将やスネ夫型はごろごろいる。これは相当にやばい。米国や中国に一目置かせる議員がいないということは、外交で常に後手を踏むということでもある。国益より民益を優先すべきと思う。しかし、民益のためには、ある程度、国益を目指すのも避けられない。

 さらに不安なのは、閉塞状況の中で、腕力と口先だけのガキ大将が民衆に持ち上げられてしまうことだ。性格を悪くしたジャイアンのような人間が国のリーダーになったらどうなるのか。真の大物はいないとあきらめきったとき、カッコだけの強者に従う者が大量に生まれても不思議ではない。(2010/10/29)