きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

パイナップルばたけ

 筑紫哲也編集委員が亡くなりましたが、創刊15年の時に、いろいろな思いが駆け巡ります。読者の方から「筑紫さんがお亡くなりになって、、、」とお電話をいただいたことが、「励まし」の言葉のように胸に響きます。同じ気持ちを読者の方と共有できることが、なによりだと思います。

 「ホテル・ハイビスカス」という映画で、主人公の小学生美恵子が父親を探しに、パイナップル畑へバスに乗って出かけるシーンが出てきます。収穫の終わった畑に山と積まれたパイナップル。結局、父親は一足先に自宅へ帰っていたのですが、収穫されたパイナップルを見て、幼い美恵子は父の仕事に満足感を覚えるのです。

 その映画で、美恵子は「キジムナータンメー」と呼ばれる高齢の男性に会い、一晩泊めてもらうのです。タンメーの役をやっていたのが、登川誠仁、沖縄のジミヘンだったのです。不思議なお年より、キジムナータンメーと一緒にすごした美恵子でした。

 タンメー(お年寄り)と言えば、近所の遊歩道を歩いていると、向こうからやってくる東京のオジイに、すれちがいざまに、聞こえるか聞こえない程度のささやきで、侮蔑語を投げつけられることが、ここ何回かありました。傍らにいる子どもに向かって、「こら!」などと声をかけてすれ違っていく、トンデモないオジイにも出会うのです。

 たまたまなのだと思いますが、東京のオジイは寂しいのでしょうか。きっと、ストレスいっぱい、孤独感いっぱいの悲しいオジイになっているのだと思います。

 一方、近所を歩いていると、オバアに声をかけられることがあります。遊歩道で出会う顔なじみのオバアに会えないと、なんだか心配になってきます。いつも会うたびに、「今日は何曜日ですか?」と聞いてこられるオバアもいます。こうやって言葉を交わすオバアたちも1人暮らしの方が多いと思います。にっこりと笑って話しかけてくれるオバアたちに会えるのも、親子で歩く楽しみの一つです。