きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「毛皮」__金曜俳句への投句一覧
(12月22日号掲載=11月30日締切))

毛皮とは、毛の付いた獣皮をなめしたものです。襟巻や外套に仕立てたり、襟や袖口につけたりしますね。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年12月22日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【毛皮】
コレクション新作の毛皮はフェイク
毛皮着てなまめく頬の女かな
箪笥には冷たき毛皮眠り居る
巻き髪のほつれる真夜や毛皮脱ぐ
裘ヒールの音も乾きたる
純白は二十歳の晴れ着ファーショール
堂々の毛皮のコート選手団
毛皮見て着るか着ないか迷い出す
年一度自分に言って着る毛皮
毛皮着るわたし動物愛護派です
虎の顔嬰児と眠る毛皮敷
ブリジット某毛皮引き倒す
毛皮着て噛みつくやうな言発す
人気無き毛皮売場を横に見て
買ふあてもなく素通りの毛皮店
注目はロシアの男毛皮帽
貴婦人のまず毛皮脱ぐ桟敷席
群狼の遠吠え纏ふ毛皮かな
首にやさし狐の毛皮道ずれに
抱擁に毛皮の帽子転がりぬ
狸よすまんヤッケの下の毛皮にすまん
毛皮にも奮い立てよと息を吐く
毛皮着て短き爪を恥じにけり
映画館から銀色の毛皮出づ
憧れと羞恥で見るや毛皮の値
毛皮からはみ出る素足思い湧く
毛皮なめすタンパク質を化学して
毛皮着て財布を持たぬ社交界
誰も去り骨と毛皮の痕残る
野仏へお辞儀の深きコートかな
くま汁とそば屋に掛かる毛皮かな
街頭に毛皮のマリーらしき人
毛皮手に劇場に入る女どち
原宿や毛皮に最早におひ無し
回覧板を毛皮夫人に手渡しす
遺産分け誰も要らない毛皮かな
二人目の恋人へ買う毛皮かな
何を見て毛皮よ今に生きるのか
コーヒーと紅茶の比較毛皮かな
もこもこの毛皮にも似た対ミトン
毛並みよしキムンカムイの毛皮かな
革ジャンを羽織りし男交差点
毛皮巻く成人といふ顔をして
茶碗にも毛皮を着せて違い棚
毛皮もてかくす素肌と熱欲と
毛皮着て迎への車歩かせず
化粧して毛皮のような猛き顔
クロークに並ぶ毛皮やディナーショウ
欧米に向かうにあたり毛皮着る
衛兵の毛皮の帽子重き空
一枚の毛皮いただく形見分け
静かなる熊の毛皮の奥座敷
乙女座の友の遺せし毛皮かな
ゲイバーの壁に見事なフェイクファー
毛皮買ふジンクス勘の見極めよ
裏通り選んで歩く毛皮かな
思つたより癖のすくなき毛皮かな
けものの眼以ちて毛皮の歩きたる
泣いてゐる色かもしれず毛皮かな
毛皮のガンマン撃つ二挺拳銃
毛皮まで凍りつくよな夜の霧
毛皮巻き猟銃すっと身に馴染む
身支度の最後は毛皮猪撃ち等
毛皮以ち女盛りの身を包む
明日死ぬと敷皮に脚伸ばしたる
毛皮着て怨霊纏ふ女豹かな
毛皮着て上から目線になりにけり
毛皮着て日向目指して走りけり
みちのくの通り雨濃き毛皮かな
軍服と毛皮落ち合ふリヨン駅
交番に座る毛皮の猫背見ゆ
人の目を気にしながらも毛皮着る
銃弾の穴に毛皮の微熱かな
深夜過ぎショーウインドの毛皮かな
噂たつ狐の毛皮巻く夫人
その昔巨泉の店で毛皮買う
病んでゐし筈の夫人の毛皮かな
毛皮着て中身を食べに料理屋へ
毛皮着て二足歩行のヒト行けり
毛皮脱ぎおもむろに恋語る女
毛皮巻き猟銃馴染む掌となれり
玄関に毛皮を敷きて秘湯宿
買ひ与へられし毛皮を抱き抗議
風呂の後毛皮を羽織り糊貼りす
尻あては熊の毛皮か阿仁マタギ
体力を重き毛皮の試したる
そのうえの毛皮のコート優男
友の家毛皮敷かれし暖炉前
敷皮に妻の凹みのありにけり
毛皮からはづれ馬券の束三つ
猫二匹毛皮の上にまた毛皮
抱え持つ毛皮のバッグの暖かさ
水のごとく毛皮あふるる夜の棺
耳あての毛皮温くしや母の手や
毛皮婦人になれない妻の化粧水
毛皮着てけものを意識したりけり
獣性を覚ます毛皮とルージュにて
屋台更く毛皮の裾の脹脛
漆黒のマタギの背の毛皮かな
毛皮買はずに糟糠の妻逝けり
生き死にの顛末を聞き買ふ毛皮
偶然にあらぬ再会も毛皮着る
裘纏い戦闘態勢へ
毛皮着て魔法の森の番人よ
手は汚れ毛皮積み込む外国船
息絶えて首に巻かれる毛皮かな
一日が毛皮着る時着ない時
赤い眼のウサギ襟巻き母の香や
リアルはフェイクに豹変毛皮店
祖父からの仕舞ひしままの毛皮帽
星の夜の毛皮ひらけばまた獣
いくつかの毛皮茶色に決定す
塗りたてのマニキュアお下がりの毛皮
クロークに預けし毛皮吾を待つ
堂々と毛皮の外套壁の花
買ふあてもなく値切る癖毛皮市
血の匂ひ下流に流し毛皮干す
富籤や当たりや犬にも毛皮やる
朝早き鏡脅かす毛皮かな
ナフタリン纏ふていたる毛皮かな
球場の夜に毛皮がよくなじむ
娼館のあるじ毛皮を纏ひたる
夕映えに毛皮のやはらかき重さ
毛皮着て句作意欲を喚起する
反時代毛皮のコート胸張って
王よりの虎の毛皮の上に寝る
耳あてて毛皮の息を聞きゐたる
毛皮夫人世間を知らぬ獣の目
角打ちや毛皮のままで一二杯
一枚の毛皮に寄り添う夫婦あり
毛皮着て尚も冷たき胸のうち
今はもう毛皮のコート箪笥奥
樺太の暮らしを偲ぶ毛皮かな
似合わないミンクの毛皮だと言うが
通過駅窓に毛皮が流れゆく
硝子の目むらさき色に毛皮かな
毛皮にも露骨な序列ありにけり
毛皮とは銀幕にあり昭和の子
ベジタリアン毛皮離れの娘たち
毛皮なめす皮が革に変はるまで
毛布干す頬ずりしている吾子笑ふ
毛皮着て舞踏会へと誘はるる
毛皮着て目つき変はりし女かな
月の夜に毛皮張り付くアスファルト
クロークに預かる毛皮また毛皮
タイガに生きタイガに死せり裘
ネオン受けマネキンの着る毛皮かな
尾を噛みし毛皮に首を巻かれけり
シヤネルの香曲がる路地より毛皮来る
毛皮着て武装準備の整ひぬ
貧相な骨格膨ます毛皮
空いている地下鉄に立つ毛皮かな
行くあてのない終電や毛皮着る
毛皮着てプラットホーム行き戻り
軽やかに毛皮を脱ぐやランウエイ
銀色の毛皮よ丸きわが指よ
猟銃と共に生きたる毛皮敷く
毛皮巻き身を隠したる猪撃ち等
細くして毛皮の重き体躯なり
脱毛皮ミンク農場廃業す
毛皮着て魚河岸で買ふ卵焼
終電の人目憚る毛皮かな
出勤す毛皮のママや八丁目
漆黒の素肌へと毛皮をまとふ
毛皮着て動く歩道を走る人
漆黒の毛皮に浮かぶ星座かな
毛皮手に値段のゼロを数えけり
今どきは着られぬ毛皮撫でてみる
黒服の着せる毛皮や赤い爪
毛皮着て見得を切るよな場所ななし
すれ違う毛皮の男サングラス
猪撃ちの腰の毛皮は猪の皮
ステータスシンボル毛皮消え失せる
ユーミンの歌口ずさみ毛皮纏う
もう逢へぬ人よ毛皮の静電気
帰りしな毛皮丸める背中かな

【檸檬】
レモン噛む身縮めして顔しかむ
初成りの庭の檸檬を慈しむ
【冬支度】
移り行く野山色変ふ冬支度
せかせかと頭の中だけ冬支度