きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「サンドレス」__金曜俳句への投句一覧
(7月28日号掲載=6月30日締切)

「サンドレス」は、「夏服」の傍題です。「夏服」自体が主に洋服を指しますが、「サンドレス」だと、より洋装感が増しますね。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか?

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年7月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

電子版も発行しています

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【サンドレス】
をみなごの手足伸びやかサンドレス
仕舞皺何度も伸ばしサンドレス
はろかなる紺と黄の吾のサンドレス
二の腕に小さき傷跡サンドレス
ハワイアン柔らかに揺れサンドレス
なで肩の妻引き上げしサンドレス
モヒートを先ずはひとくちサンドレス
終戦日蝉と経読むサンドレス
回転ドア出て金髪のサンドレス
こわいのは女友達サンドレス
色違ひなるサンドレス吾は長女
まこと我が妻かと思ふサンドレス
サンドレス着て父ほどの年齢差
サンドレス風に視線にさらされて
髪下ろす昼の女将のサンドレス
客船は海の社交場サンドレス
サンドレス袖を開いて風を呼ぶ
サンドレスは何色モノクロの母
明日という言葉育くむサンドレス
サンドレスかぶって走り出す妹
原色の花の香りやサンドレス
汚染水永久固化ねとサンドレス
サンドレスの端切れ着せるお人形
サンドレスサッカーファンはサドンレス
サンドレスオスの目線を一点に
悪戯な風の小道具サンドレス
見るからにハワイの香りサンドレス
引潮や波打ち際のサンドレス
自宅より下駄履き十歩サンドレス
サンドレス妻の両腕頼もしき
まばたきは眼鏡の向かうサンドレス
サンドレス「痩せたわねえ」と言われたし
ジュラルミンの機体にふはりサンドレス
角打ちといふオアシスやサンドレス
二の腕の疲れし母のサンドレス
膨らめば仄かに香りサンドレス
型紙を大きく刳れりサンドレス
サンドレス見事加はる踊の輪
雨上がれ若やぐ母のサンドレス
サンドレス着て落ちつかぬ膝小僧
ウエストのリボンするりとサンドレス
サンドレス回転ドアに漂かれ
サンドレスアンモナイトの巻が逆
畳み皺に去年潜ませてサンドレス
サンドレス高原の日日惜しみけり
夏服の向かふひ白き風の吹く
サンドレスバトン受け継ぐ多喜二の志
髪切った乙女真白のサンドレス
突然の雨に駆けだすサンドレス
とつぱなから覗く荒波サンドレス
虹色の沖縄愛のサンドレス
指先に外国煙草サンドレス
長男に似合う長女のサンドレス
往にし方の熱海の写真サンドレス
肌色の口紅塗ってサンドレス
背骨まで漲る自信サンドレス
サンドレス星の水面にふれて去る
サンドレス腕より細き母の脚
バックレスの背なか饒舌サンドレス
サンドレスほつれたるをもデザインと
花柄をその身に咲かせサンドレス
寄せる波からより逃げるサンドレス
脱ぐために着る愉しさよサンドレス
抱つこする二の腕豊かサンドレス
手放しで泣いてみたいなサンドレス
母の手や布が一夜でサンドレス
PFASに苦悩深めるサンドレス
漆黒の肌を包みてサンドレス
笑ひ合ひ体形隠すサンドレス
控えめに足を組む癖サンドレス
からうじてサンドレスといふ境あり
老母との介護着と化すサンドレス
あどけなさ残る背中のサンドレス
アルバムに白無垢姿とサンドレス
サンドレス最前列のイルカショー
襟元のファスナーはずしサンドレス
予定日に反発をするサンドレス
波際の貝殻ひろふサンドレス
祖母纏うサンドレスだけ派手にして
アメリカから独立したいサンドレス
ものすべて遠くに揺らぐサンドレス
お揃いの母姉妹サンドレス
髪だけを風に抑えてサンドレス
ピンク色ふわりと透けてサンドレス
サンドレス小さくみ畳み旅鞄
使はれぬサマードレスのほつれかな
なにかしら悋気の燃ゆるサンドレス
白樺の風に帆のごとサンドレス
家庭科の教材安しサンドレス
とてもとてもやさしく匂ふサンドレス
サンドレスぶかぶかどこにでも行ける
勾欄に受くる潮風サンドレス
美しき鎖骨の翳りサンドレス
サンドレス柄は昭和のレトロ感
客船の舷の暗がりサンドレス
サンドレス庭に焼く豚肩ロース
つましくが口癖の母サンドレス
笑ひつつ君に追いつくサンドレス
アイロンの熱さに我慢サンドレス
几帳面な性格なりしサンドレス
ワクチンのし易き腕サンドレス
皆不容無一物がいいサマードレス
サンドレス近似値求める事に飽き
着はじめの肌の気になるサンドレス
訳ありの砂丘の駱駝サンドレス
裾に入る風も許さじサンドレス
サンドレス鎖骨の窪みまだ白く
サンドレス木綿の香りの風が吹く
サンドレス想えば旅路妻のロス
柄合せも大雑把なりサンドレス
サンドレス身振り手振りで好きと言う
サンドレスひらひらスキップは苦手
サンドレスの美しき鎖骨に出会ひけり
ひざの傷ほぼ消えかけてサンドレス
龍一のエナジーフローをサンドレス
大の字の癖を見られてサンドレス
サンドレスあの子はきつと元不良
サンドレス携帯ラジオより英語
サンドレスあばらを一部抜き取って
太陽の追撃かわすサンドレス
シトラスの香りを残しサンドレス
日本国憲法を読むサンドレス
サンドレス水差しの水かがよへる
サンドレス透けては見えぬ胸の内
やゝ白い胸から腰にあっぱっぱ
サンドレス白き肌見せ畏まり
たくましき母の二の腕サンドレス
サンドレスはたいて砂も指跡も
サンドレスやがて夜明くる新宿の
恋人をあやす未明のサンドレス
姫様と呼べば撲たれぬサンドレス
手間をかけすそあげをせしサンドレス
一湾を見下ろす岬サンドレス
サンドレス自転車海へ風はらみ
動くたびサンドレスから微風来る
子供用サンドレス着るてふ自慢
サマードレス身体の中を風が往く
浜風に裾膨らませサンドレス
瘡蓋を隠す仕草やサンドレス
ホワイエのカルメンめけるサンドレス
一度着て納戸に戻すサンドレス
胡坐かき算盤弾くサンドレス
気の抜けたシャンパン甘くサンドレス
四国行きフェリー乗り場のサンドレス
ナフタリン臭きさがりのサンドレス
サンドレス着たから若くわったでしょ
星砂は虫よサンドレスは風よ
サンドレスギリシャの白と青い海
サンドレスかぶって空が疾走す
サンドレス色で呼ばるる商店街
サンドレス原色好きの母八十路
飛び石にすれ違ひたるサンドレス
賞味期限の切れそうなサンドレス
満州の亡父(ちち)の無念やサンドレス
少女めく君の瞳やサンドレス
サンドレスさらさら刻む砂時計
サンドレス眩いほどの若さかな
胎児ごと包むサンドレスの豊か
車椅子を押すサンドレス足細し
温泉の帰りと判るサンドレス
サンドレス意外に多い人だかり
体型の変化問いくるサンドレス
サンドレス似合ふ痩躯の竹婦人
サンドレス映へさせ朝の雨あがる
妖精に似て幼子のサンドレス
香水の風上に舞うサンドレス
肩と背を見せて眩しきサンドレス
サンドレス風をはらんで颯爽と
金色の和毛ほのかにサンドレス
風もまた装ひとしてサンドレス
ユニクロやユニセックスなサンドレス
真っ白なサンドレス真っ青な湖
気の強い女同士やサンドレス
サンドレス三角の帆道行けり
海ゆれてサマードレスの袖を折る
サンドレス去年のはもう着れぬ子や
サンドレス十九は四肢を持て余す
南国の港に集いサンドレス
那覇からの最終便やサンドレス
翻すやうに歩くやサンドレス
落日を纏ひカンガのサンドレス
とび石はうしろ手に跳びサンドレス
チェロ弾きの腕しなやかにサンドレス
サンドレスちょっとモデルになる気分
夜を徹し母の創りしサンドレス
サンドレス連絡船に待ち合はす
汗滲むサンドレス脱ぐワンルーム
象の背に揺られ揃ひのサンドレス
サンドレス空(くう)を掴むや君の肌
帰宅して鏡見直すサンドレス
サンドレス護憲派母の手縫かな
サンドレス子の声消えれば鳥の声
細らかな指のマネキンサンドレス
水たまり物怖じしないサンドレス
砂浜を駆ける真白きサンドレス
サンドレスいつも笑はぬ写真あり
膝小僧すり切れたままサンドレス
サンドレス洗つて干して着て洗ふ
二の腕や白くたくましサンドレス
サンドレス腕を流るる雨雫
フラの師は原色づくしサンドレス
吟行のためにリハビリサンドレス
丘に木が馬にサンドレスが据わる
サンドレス移動動物園来訪日
サンドレス眩しスパゲティ硬め
星の砂空へかざしてサンドレス
片脚の浮いた長椅子サンドレス
右肩の傷跡隠しサンドレス
重力を忘れてをりぬサンドレス
厳格な教官美しきサンドレス
仲見世や格子戸頒つサンドレス
サンドレス庭に鴉の落とし物
サンドレスこの海岸は砂だらけ
富士の水両手に掬ふサンドレス
なにげなく姉妹揃ひのサンドレス
花柄は母親に似るサンドレス
サンドレス余白のやうな襟の影
真っ白な光きらめくサンドレス