きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「春隣」__金曜俳句への投句一覧
(2月25日号掲載=1月31日締切)

「春隣」とは、冬が終わり近くなって、どことなく春の気配が漂いはじめるころです。雪が雨にかわったり、日ざしが強くなりはじめたりしますよね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年2月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
※公式サイトが攻撃を受けていたため、掲載が遅くなったことをお詫びいたします。

【春隣】
鮨の香の明るくなりぬ春隣
スマホからオバーの声や春隣
前髪を眉に揃えて春隣
春隣次第に強く川の音
春隣食べつくされし土手の草
土手に振る渡しの合図春隣
かさぶたの剥がるる気配春隣
あつちからまたこつちから春隣
あくびする日向の猫や春隣
掌に納まる石も春隣
駄菓子屋の当りの増える春隣
納戸から家人の音す春隣
春隣犬に差し出すコッペパン
むくむくと土盛り上がり春隣
百色のソフトパステル春隣
春隣パラボラアンテナの濡れて
春隣路上脱出・ガイド置く
寄付のため伸ばしたる髪春近し
美容師に任せるショート春隣
円周率百四桁目春隣
行員のかざす刺又春隣
忽然と空の色増す春隣
開けられてさみしき封書春隣
腕振りて土手をどこまで春隣
水道の施設予定地春隣
枝々のふくらみの照り春隣
地球儀を手尺で測る春隣
春隣眼鏡の曇りやみにけり
春隣薄きキャラメルマキアート
核兵器禁止条約春隣
歯のぬけてひひひの洞や春隣
ピッケルの石突きに錆春隣
春隣鍵穴めける晴れ間かな
風と押す回転ドアや春隣
海へ打つボールひと箱春隣
松籟に角取れてきて春隣
鉛筆の芯やわらかに春隣
春隣開き窓あるレゴの城
二煎目の静かな緑春隣
受験子の春疑わず春隣
連結の音連なりて春隣
恋文を手渡す勇気春隣
方位計無くても判る春隣
割りばしを割りて光や春隣
雲に陽のめぐりはじめて春隣
反物の柄を合はせる春隣
脚と眼に老いの自覚や春隣
読みかけの聖書開くや春隣
口紅の色を明るく春隣
春隣雪の白より芽の青さ
直立の最敬礼に春隣
猫に吠ゆ声やかましや春隣
鉱物や春隣では無くなりぬ
をさなごはとびはねるもの春隣
うなぎ屋の窓に影入る春隣
木々の声聞きたくなりし春隣
春隣羽音のやうな眼の光
春隣惑う芽の土匂い立ち
乗り継ぎのない旅をして春隣
療養の終はる通知や春隣
墓じまひ済みし山道春隣
蒸し器ふくふく中華街春隣
手枕を逸れたき夜や春隣
茶室より松籟洩るる春隣
ヨガマットに五体を委ね春隣
思ひきや透析永き春隣
無人駅セピアの思ひ出春隣
熱帯魚視線の先に春隣
なにもかも玉子にとじる春隣
連れ立ちてまだぎこちなや春隣
草虫の気配を感じ春隣
胡坐かき咥え煙草や春隣
家籠り模様替えして春隣
家人をらぬ番犬しづか春隣
反り屋根に休む鳩どち春隣
春隣届きし本の匂いかな
スラックスの制服選ぶ春隣
木々の芽のかすかに肥ゆる春隣
春隣ビオフェルミンのほの甘し
悠悠たる猫の背伸びや春隣
板庇わづかに反りぬ春隣
春隣クラウド・ファンド(CrowdFunding)で人助け
ビオラ抱く男の肩の春隣
ビリジャンを画布に重ねる春隣
合わせ目の綺麗に揃ふ春隣
濃き日には猫が占拠し春隣
一日を無為に逃せし春隣
姿見を磨けば今朝の春隣
枝先へ来ては鳴く鳥春隣
春隣シフォンケーキの忘れ物
春隣仲間の鳥が増加中
春隣見えぬ未来へ花を買ふ
雲たちが先を急いで春隣
前庭に黐の木植ゑて春隣
参道は光る海へと春隣
線香のけむり掛け合ふ春隣
陰も陽もどちらも同じ春隣
方言の多き手紙や春隣
教会の木枠の玻璃戸春隣
苦労した思い出過ぎれば春隣
尿漏れのパンツを選ぶ春隣
うすきものイランから来る春隣
挨拶状友息災春隣
逆光に鳥めくがいし春隣
長靴を戸棚に仕舞い春隣
風呂の湯を抜けば流星春隣
春近しスケッチしたる船溜まり
春隣太マジックのレシピかな
春隣広重の雨浮かれおり
若人の声朗らかに春隣
かさぶたの少々剥けて春隣
ちり紙の山を築きて春隣
春隣うなじもまろき風を乞う
字余りに共鳴の声春隣
華僑らの灯すランタン春隣
水彩の空の濃淡春隣
春隣シャンパングラス鳴る音に
鳥の名をひとつ覚えて春隣
灰色の街を朱の差す春隣
カステラの薄紙剥がし春隣
雲水の読経はれやか春近し
ワンサイズ小さなリュック春隣
花時計しづかに進む春隣
春隣義足の孫を祖父支え
雨樋に小鳥の群なす春隣
春隣むかしのフォーク歌い出す
隣からリフオームの音春隣
防災とボランティアの日春隣
亡き人の指輪を母指に春隣
春隣ただしく生きて惑ひけり
地形図をひろげて探す春隣
ロッカーの鍵のきんぎん春隣
春隣明るき色の和菓子選る
ドロップス缶のカラコロ春隣
春隣みづの匂ひの風ぬけて
ほら来たぞクシュン鼻水春隣
熱帯魚と見つめ合ふ午後春隣
鉛筆の線のゆらぎや春隣
春隣赤福茶屋の金の釜
春隣やや甘やかす仕事の手
砂粒に春隣だと足を入れ
硝子戸へもたれかかれば春隣
春隣足の保温は忘れずに
木蓮の蕾み膨らむ春隣
空振は頬杖に似て春隣
停車場の音も解けゆく春隣
宮中の披講の長なが春隣
春隣妻にやさしく叱られて
上澄みのごとく夜きて春隣
春隣すきまのロックミュージック
着々と上向く木々や春隣
すれ違ふ人のハミング春隣
着信音多しうるさし春隣
柔らかき芯選びたる春隣
春隣犬一匹に小屋ふたつ
春隣正しく怖がつてください
春隣換気を忘れぬ我である
パティシエの匠の業や春隣
春近しあの頃へ行く切符買ふ
東京湾きらめき初めし春隣
土佐犬に追はれし道や春隣
香水の爽やかなりし春隣
春隣浮かれる街に独りいぬ
エレベーター勝手に止まり春隣
春隣なんか言ふてる魔法瓶
春隣前髪少し横に分け
一時間かけ焼く肉や春隣
遮断機の向かふに来てる春隣
春近しスウィングジャズに揺れながら
春隣明神さんのそば処
病床に日差し眩しき春隣
窓換気急いで閉める春隣
体制側にべつたりの春隣
春隣裏庭に猫集合す
かりんたうの蜜のつやめき春隣
山体のところどころに春隣
羊水の適温なりて春隣
簡単な足し算ひとつ春隣
離乳期の嬰の前歯や春隣る
鼓笛隊マスクをはづし春隣
子の訛りこの地に馴染み春隣
春近し涙もろくもなる日暮
青き山旅立ちの時春隣
春隣ひとのさざめく中華街