きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「針供養」__金曜俳句への投句一覧
(1月29日号掲載=1月5日締切)

針供養は関西では12月8日に行なうところが多く、この場合は冬の季語です。

関東や和歌山市の淡島神社では2月8日で、春の季語となります。少しややこしいですね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2021年1月29日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【針供養】
川向きに昼を開いて針祭る
針休み退屈な日を持て余す
針供養針の穴から比叡見ん
一生を針一筋に針供養
セルロイド欠けた針入れ針供養
舌のごときもの華やかに針供養
中学の裁縫セット針供養
厚物に挑みし針の針供養
針供養豆腐に花を咲かせませう
武の神の末社賑はひ針供養
針供養帰りは供物貰いけり
飾り糸あざやかなりし針供養
針供養あはれよ届け女工にも
針山のやうな白雲針祀る
鍼灸師多き街なり針供養
性格の映れる針を納めけり
針供養明治の母はそこに居る
人形の髪の重たし針供養
娘らの鬢の香りや針供養
手仕事は人の幸い針供養
溜め込みし釦の数や針供養
手枕に波の音して針供養
ほぼほぼの会話を交はす針供養
針供養印鑑箱に針二本
布巾一枚縫はぬままにて針供養
西東重ね重ねの針供養
階段のうらがは母の針供養
針供養やさしきこゝろ集ひをり
まち針の美しき一列針供養
針供養つまむ娘はみな小指立て
針糸を通す目も老い針供養
母の手のやわらかくなり針供養
袖口に糸くずつけて針供養
一年に一度の逢瀬針供養
一反を仕上げる母の針供養
節くれの指に指貫針供養
針胼胝は祖母の勲章針供養
日に芯のごときものあり針供養
百枚のマスク縫ひけり針供養
ひと縫いに込めた思いを針供養
針箱に薬の残り針供養
太針の色糸選りて針供養
そんなにも密集するか供養針
吾の歩み身から出た錆針供養
雑巾を縫ふだけの針祭りけり
ていねいに十指揉みけり針供養
針供養ときに少女に還る妻
ベトナムのお針子想ふ針供養
繕へば靴下馴染む針供養
開戦日レノン忌にして針供養
親方のこだはり豆腐針供養
運針の真直ぐに縫えぬ針納
男らの準備貰ひて針供養
雲のごと柔き(やおき)豆腐や針供養
軽傷のズボンは薄し針供養
戦場へ送る教へ子針供養
針供養ネイルアートの長い爪
針供養つれづれなる胼胝なでる
家の針供養するほど働かず
令和まで折れずに母の針供養
畳屋の父子で参る針供養
境内に男の居りて針供養
母縫ひし小紋携へ針供養
針供養一句一歌に風起こる
針供養ボタンを繕ふ母と姉
針供養髪結終えて寺の前
針供養子を授からぬことに慣れ
針供養譲らぬ姉の母譲り
針供養家政学部の紺袴
針供養母はおりんを二度鳴らす
鴉あつまりてざはりと針供養
針供養いつでも揺れる町灯
懐かしき寺に詣でて針供養
母よりも多く恋して針供養
背を丸め繕ふ母の針供養
さりげなく言葉紡がむ針供養
針供養母の名付けし針坊主
祖母と母かつて使ひし針供養
ひやかしに来る客もなし針供養
不器用の男の眼にも針供養
前列に和服の人たち針供養
水仕事代はる人無し針供養
針供養ラヂオは今日もたずねびと
針供養豆腐こんにゃくいつ供養
指先に血をにじませて針供養
ほんたうの姫に成り得ず針供養
若き日の母の過ち針供養
針供養豆腐の側に立ってみな
針箱を持たぬ娘(こ)の居て針供養
かつてこの着物縫ひしぞ針供養
繕いは夜なべ仕事に針供養
今年は三本布に納めし針供養
針山に隠れし針も針納
残りたる反物ひとつ針供養
若き日を忍ぶ縁の針供養
通り抜け天満宮へ針供養
曲がりもの二三探して針納
針供養針に込めたる想いあり
針供養墓標のごとく立てにけり
針供養嘘をついたら蒟蒻に
家庭科も男女共修針供養
大川の流れひと筋針供養
だめ亭主嘆きし母や針供養
たをやめのこゝろくだきて針供養
仕事ではなくて趣味です針供養
なぜ人は泣くのだらうか針供養
針供養済ませミックスナッツ買ふ
針供養待ち針の頭は印象派
腰まがる母は仕立屋針供養
運針は人の営み針供養
私よりミシン休ませ針供養
気が付けば背中丸まり針供養
嘘つきの針も一本針供養
常世への穴並びゐし針供養
針供養樹齢不明の御神木
針供養手仕事はげみ家籠り
この年を終ひとやせむ針供養
針供養祇園の舞妓二三人
針供養和針に添へて指貫も
手仕事の多き年なり針供養
針供養石段蜘蛛の糸めきぬ
小さき(ちさき)皿小さきお豆腐針供養
布の海泳いだ果ての針供養
針山に別れてもなお針供養
をさな子の不思議な世界納め針
誤字多き長い手紙や針供養
裁縫箱母亡きあとの針供養
お針娘の縁談進み針供養
母からのまち針並ぶ針供養
注射針供養せむとや如何にせむ
ほんのたまに若い男や針供養
正午はや森なす豆腐針供養
針仕事好きな方です針供養
針供養千人針の甲斐もなく
また戻り来てくださいと針供養
大吉を結ぶ指さき針供養
針供養をへて向かふは南禅寺
住職のウインク躱し針供養
コロナ禍や手縫いのマスク針供養
姉さまの器量越えたし針供養
針供養豆腐の角に刺す介助
針供養女系家族に針千本
奉公の日々懐かしき針供養
針供養豆腐の白に溺れ死
針供養豆腐こんにやく何の科
針供養ゴスロリ娘霜焼けす
彦ちやんは加太の友なり針供養
針供養包容力の豆腐かな
針供養折れたり曲がりくねったり
針供養道の真中に座る猫
千本に千の魂針供養
針供養花嫁衣装縫いしこと
繕ひはいつも夜更し針供養
針山の残り少なし針供養
どの針もまつすぐ刺さる針供養
いもうとの爪あでやかに針供養
針供養昼から加太の友ヶ島
千人に使われし針供養せり
あの老婆や針の供養の子沢山
針山の中に謎あり針供養
針箱の蓋に旧姓針供養
針供養老いも若きも法輪寺
まばたきがつくる暗がり針納
麻の葉の模様の布巾針供養
親指の絆創膏隠し針供養
針持てば精神集中針祭り
亡き母を偲ぶ天国の針供養
針供養子は毬栗の栗坊主
針供養まだ使はれし鯨尺
絡まりし糸も含めて針供養
ミシン踏むこともなくなり針供養
針供養覚ゆ異国の研修生
歌ふかに足踏みミシン針供養
寺の中針供養して談笑し
蒟蒻の痛みあふるる針供養
確執の姉と妹針供養
蒟蒻に雪の荘厳針供養
着し物は母縫ひし物針供養
針知らぬ娘まじへし針供養