きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「春ショール」__金曜俳句への投句一覧<
(2月28日号掲載=1月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

みなさんは「マフラー」「ストール」「ショール」「スカーフ」の違いがわかりますか。「ショール」は大判サイズの布のことで、肩掛けとして使われます。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2020年2月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【春ショール】
春ショール店(員)〈みせ〉の愛想が面映ゆい
襟首に風入れふわり春ショール
春ショール揺れてつなぐ手煉瓦路
安売りの値札を見れば春ショール
荷物多き女いづこへ春ショール
すれ違ひざまの黙契春ショール
春ショールはピンクランチは空の下
東京へ発つ友送る春ショール
春ショール看護部長の膝の上
颯爽と働く母や春ショール
春ショール色とりどりに娘たち
解剖学実習了えし春ショール
手に持ちて鳥になりたる春ショール
マダムから違ふ匂ひや春ショール
抱擁はシャネルの香り春ショール
信じたら春ショールにも神宿る
春ショール遠慮会釈もなく叱る
ネクタイより長き髪結ひ春ショール
カーディガンしまってときめく春ショール
春ショール憂ひを払ふ鮮やかさ
「お早う」が出なくてたたむ春ショール
春ショールフランスパンを脇抱へ
二次会は一斤染の春ショール
春ショール微か樟脳香りけり
近頃は男もすなり春ショール
片恋の鼓動を隠す春ショール
線香の煙の先に春ショール
年旧りて春ショールなお段重ね
踊り場にビーズ落とせり春ショール
置き去りのままの花束春ショール
駆け足で打ち消す迷い春ショール
春の海吹く風かわす春ショール
街をゆく暖色系や春ショール
春ショール波打つ肩のピアノ弾き
今生で縁なき人や春ショール
肩巻けば首に光の春ショール
春ショール近づく気配無言館
ゴミの日にサンダルつっかけ春ショール
春ショール風になびかせ和光前
艶やかに紅にほふ春ショール
撫で肩と怒り肩あり春ショール
かな文字の余白に倣ひ春ショール
春ショール選ぶ四十路に入る覚悟
春ショール結び直して風の道
誰ゐなき海を見てゐる春ショール
春ショール思ひもかけぬ便り来る
春ショール小さき愛を消さぬやう
胸元を少しのぞかせ春ショール
春ショール三人寄れば華やかに
エンドロールの崖の女優の春ショール
やるせぬ世けふは快晴春ショール
春ショール新人さんの名札かな
自転車の翔びたちそうな春ショール
花嫁は背割れドレスに春ショール
心許なき包み解き春ショール
ため息のまだ垢抜けず春ショール
自信なき恋の香少し春ショール
姿ない寒さを閉じる春ショール
ふんわりと顔がかわりて春ショール
花束を包み込みかに春ショール
目覚めれば母の色なる春ショール
編目より透くる胸ぬち春ショール
母の十八番のなれそめの春ショール
ゆるやかなカールの栗毛春ショール
再会後見送る汽車の春ショール
健さんを語る三人春ショール
無人駅春のショールと文庫本
春ショール風を去なして宵の街
散歩道口笛吹いて春ショール
黄昏の卵は重し春ショール
春ショール江戸の名残の傘かしげ
鏡見る母の匂ひの春ショール
絶頂の女優のごとき春ショール
片恋を楽しみをりて春ショール
春ショール意味があろうとなかろうと
春ショール夢の記憶に眠らせて
情熱と冷静の間の春ショール
つかのまを主婦を忘れて春ショール
妻纏う母の形見の春ショール
句会果て椅子に忘らる春ショール
春ショール髪を包みてロシア風
廃校の雲梯朽ちし春ショール
黄昏の帰路遠ければ春ショール
夜の窓マネキンは解く春ショール
手触りを確かめながら春ショール
灰色の人波に映ゆ春ショール
春ショール急ぐ用ではないらしき
春ショール小悪魔が息づいてゐる
麺麭屋から香りを連れて春ショール
春ショール好きにさせてといふ態に
シースルーエレベーターを春ショール
春ショール汁粉をすする膝の上
いやになるほど掛けなほす春ショール
還暦の母に色づく春ショール
春ショール攫われ風のリボンかな
春ショールぬいでワインの栓を抜く
普段着にさつと紅引き春ショール
国境の旗ひらめいて春ショール
薄きこと淡雪のごと春ショール
駆け抜けし乙女なびかす春ショール
シースルーのエレベーターや春ショール
背に立ち春のショールを掛けらるる
色とりどり花のモチーフ春ショール
春ショールふんわりと巻き謝恩会
たわむれに子猫にかぶせる春ショール
春ショール薄紅の似合ふ人の笑み
春ショールふわり心はやや重し
春ショール風にただよう色淡し
すれ違ふ風のよく見え春ショール
春ショール君が土産のタイシルク
春ショールスイートピーのピンク色
春ショール翼のやうに駆けて来る
春ショール埃やフケを掃除する
春ショール笑みとも怯えともつかず
春ショール巻かれて神の子となりぬ
病室のカーテンそよぐ春ショール
春ショール緩めて入れるメトロの風
春ショール無防備に寝る銀座線
春ショール衿元押さえ風の街
春ショール風に吹かれて香りけり
巻き方は風に任せて春ショール
春ショール纏える君は飛天なり
左手に残る温もり春ショール
鮮やかに暖かきより春ショール
たんぽぽの絮で紡ぐや春ショール
春ショール十年前の君を巻く
春ショール飛べない鳥の脚太し
白髪の母へ萌葱の春ショール
街路樹を魚のごとく春ショール
パドックを見にゆくといふ春ショール
春ショールそっと仕舞うて息ひとつ
幾たびも肩すべり落ち春ショール
退院の胸元支ふ春ショール
春ショール小さく畳み会葬す
制服を着替へて春のショールかな
春ショール何を気取っているのやら
大丈夫春のショールは風を受け
竹色の経縞(たてじま)きりり春ショール
教会の重き扉や春ショール
畦道を真つ直ぐ跳ねる春ショール
末の子を見送りし駅春ショール
春ショールバイセクシャルを隠さない
突進の風をかわした春ショール
春ショール鏡の中にポーズの吾
春ショール巻き直し待つ恋ごころ
供花そえて立ち去る墓や春ショール
カクテルはスノースタイル春ショール
そこここに寒のありかや春ショール
レンタルで生身を包み春ショール
春ショールきっとアルトでおおらかで
女の一字纏ふ職業春ショール
江戸小紋粋に羽織し春ショール
春ショール残像暫し闇にあり
朝晩は少しきつめに春ショール
抱きたる尹東柱の詩春ショール
点滴は音なく落ちて春ショール
春ショール銀座のかぜの海のいろ
胸の内隠してをりぬ春ショール
春ショール舗道の硬さ心地よし
妹は練り切りに似て春ショール
春ショール聞く耳持たぬ女かな
春ショール背中に結ぶビュッフェかな
春ショール跪くモスクの女
春ショール目立つセンスに君を待つ
双肩の底意を隠す春ショール
コンサート寄る彩りや春ショール
信号のごと三姉妹春ショール
春ショールいつしか母と同い年
春ショール翻へす風華やぎて
君の手の温もり伝う春ショール
円熟の肩にかむさる春ショール
走り書き残る玄関春ショール
再会に彩り褒めし春ショール
春ショール歩幅大きく過ぎ行けり
春ショール其れらしきこと云ひ逃げる
窓際の席五号車の春ショール
春ショールの端がときどき触るる仲
窓の外ばかり見てゐる春ショール