きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「膝掛」__金曜俳句への投句一覧
(11月30日号掲載=10月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

朝夕はめっきり冷え込んで「膝掛」が恋しい季節となりました。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2018年11月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【膝掛】
膝掛をして迷宮に入りゆけり
気に入りの膝掛猫と私の
膝掛の残り香主忘くなりて
膝掛や軽くて暖かポリエステル
膝掛や少しの疲れ畳み込む
膝掛や君も昔も遠かりき
曽祖母のチョイスピンクのひざ掛けを
膝掛を律儀に畳む経理課長
膝掛にちちふささまざまなやはさ
ゴ~ル!膝掛け落としジェイリーグ
膝掛の下で足組む神父かな
膝掛の優しき人と思ひけり
嵐山や膝掛紅き人力車
膝掛をまたかけ直す読書かな
膝掛や夫は相槌打つばかり
膝掛で間に合う程の寒さかな
膝掛の母の余熱を子に着せり
膝掛が徹夜にエール送りくる
妻とおそろいの膝掛使用不可
膝掛けをかけて落付く受付嬢
膝掛をたぐり寄せたる雌猫かな
ちょっといい?きみのひざ掛け潜り込む
膝掛の温もり安し手のひらに
膝掛の在りかを探す夜寒かな
膝掛のタータンチェック母九十
軽き膝掛配られて落語会
膝掛けに何かが動く黙視する
あくびする猫揺り椅子に膝毛布
膝掛や家の歴史が萎縮する
ひざ掛けを持参し孫を駅で待つ
車椅子に膝掛の人秋の道
膝掛をひろげた花野に夜汽車かな
膝掛の懐かしたばこ屋の婆さん
膝掛に乗せて文読む昼下がり
膝掛や一炊の夢揺漾と
膝掛をたたみて折れ目静かなり
膝掛にチョコレート片隠れけり
膝掛の溶け込む床に映る庭
膝掛に妻の残せし温もりか
膝掛は蓋をする吾を呼び起こす
膝掛に猫の来てより諦める
柿ピーを分けるあなたに膝掛を
膝掛を頭に巻いて孫笑う
膝掛や枯木を描く筆細し
膝掛や母の手製の詩の世界
膝掛や女子大前のラーメン屋
本堂に置かれ膝掛け椅子の上
膝掛が難問を解く足枷に
膝掛やとうとう一人になりにけり
段々と膝掛となる眠る猫
膝掛の妻居眠れりテレビ観て
膝掛の隅にカメムシ寛ぎけり
膝掛や頬杖をつく齢過ぎ
膝掛や包む如くに持つカップ
駄菓子屋の老婆膝掛け舟をこぎ
姉は編む終わりを知らぬ膝掛を
膝掛の染みひとつにも顔があり
膝掛の赤きに照れし人力車
夜間飛行目覚めし膝掛けに付箋
膝掛の少し解けし格子柄
膝掛や母の手製のものがたり
膝掛とする陽だまりの洗濯物
膝掛や母のなじみし車椅子
膝掛や猫と見上ぐる赤き星
ひざ掛けが人肌の温もり保つ
膝掛けの赤きイニシャル車椅子
膝掛や手をも温めつめくる辞書
膝掛や祖母の足踏みミシン駆る
レストラン食後の珈琲膝かけて
膝掛けや闇に離陸の最終便
膝掛をしばらく猫に貸しにけり
膝掛や朝まで読ます本に会ふ
膝掛のなきやうである裏表
膝掛に残り少なき日々がある
ひざ掛けも眼鏡もずれる老婆かな
膝掛に動けぬ足となりにけり
お揃いの膝掛をして観るテレビ
膝掛を忘れて戻る会議室
車椅子ドクロ模様の膝掛けで
初恋の彼は膝掛け車椅子
膝掛に喝を飛ばしてペダル漕ぐ
膝掛を買うて夜すがら墨を磨る
膝掛けや十人ほどの通夜の客
膝掛の亡父の薫りまだ消せぬ
膝掛けをかける斜陽の窓の席
膝掛の畳まれてゐる朝の卓
膝掛や一人物思ふ夜の闇
眠り猫腿にすっぽり膝毛布
この毛糸膝掛け編むと意気こんで
銀行で貰いし膝掛け愛用す
膝掛の落ちて寝室ゆきにけり
膝掛のことばにはまだならぬ声
膝掛を拾ふ路面清掃車
膝掛の君の胎動触れにけり
場所変えて膝掛一緒に持ち歩く
キスの後膝掛戻す彼の指
膝掛を着崩す毛玉取ってをり
膝掛けを剥ぎ取るやうに愛し合ふ
膝掛が鈍らす筆の進みかな
膝掛けを一枚カバン入れもして
膝掛や愛情つなぐぬくもりよ
膝掛はいかがですかと訛りあり
膝掛のなかに思惑の二つ三つ
膝掛で人魚になりしおばあちゃん
兄弟の合意は紅に膝毛布
したたむる写経の文字に膝掛けす
膝掛の手縫ひの名前海荒るる
膝掛けや机一つを職場とす
膝掛の染みにこぼしてパンの屑
膝掛に椅子の前脚浮かし風
膝掛の毛糸深紅の手編みとか
膝掛の媼ゆるりとココアの日
はす向かいシェヘラザードの膝掛けのきみ
膝掛を借りて窓辺の夜行バス
膝掛の温みに想ふ妣のうた
めげる日は汝が膝掛にやつしたし
膝掛や猫の重みが徐々に増し
膝掛に嫉妬してゐる猫である
膝掛し卓上(ベンチ)旋盤(レース)に今日ひと日
膝掛やおじやの美味い焼き鳥屋
一枚の膝掛温し青き春
膝掛を背もたれにかけ退社せり
膝掛のカチリと我も数えをり
旅行鞄膝掛を四つ折りにして
膝掛を取れば思ひの外細し
膝掛を寝床代わりに猫二匹
眠られぬ夜はあなたをひざ掛けに
膝掛けや第二王妃は格子柄
膝掛けやひとつ残りしケーキかな
膝掛に本を寝かせておりにけり
要介護膝掛そっと掛けてやり
本日休診背もたれの膝掛
膝掛はKOBEタータン海の色
羊毛の膝掛牛紐に縛られ
職人の屑残りたる膝毛布
托鉢僧古き膝掛け肩に巻き
舶来の膝掛祖母の語り種
膝掛の暖気を奪う尿意かな
膝掛やペン先固き万年筆
膝掛の下で手をつなぎけり
膝掛やけふの浅間の紅きこと
膝掛を美しき言葉のごと広ぐ
一寸の隙に膝掛猫のもの
総立ちの膝掛け落とす拍手かな
膝掛けに微睡む妻の下調べ
膝掛に昭和の店の焼魚
膝掛や母の匂ひのまだ抜けず
膝掛のなきごとく立つ受付嬢
膝掛を颯と滑らかせ膝枕
乱気流膝掛ぐつと握りしめ
ひざ掛けの四本足が愛を指揮
跳ね返す光は皆無の膝掛
車椅子に膝掛一つ遺されて
膝掛の落ちしままの恋愛ドラマ
膝掛やギリシャの神を見上げたる
膝掛の端につなぐるゴビ砂漠
膝掛をしてよりいよよ洒落つ気に
膝掛の李賀の夢天に戯れてをり
膝掛をしてコンテナ車見送りぬ
この毛糸膝掛編もふと意気こんで
膝掛けに顔を埋めて泣くをんな
父の椅子父の膝掛そのままに
膝掛や小さく畳まれ司書の席
膝掛にそびら伸ばしてまた曲ぐる
昼下がり膝掛借りるロードショウ
しやつくりの止まず膝掛また足下
異国の地踏むこともなき膝毛布
膝掛に母の温度が残りけり
膝掛をあげちゃ失礼?四十路女史
膝掛に母の匂ひの残りたる
膝掛の上こもれびの揺曳す
話せなきこと膝掛の知つてをり
膝掛や家守ることを子に譲り
膝掛の色を選びて孫四人
膝掛のまどろむ桟敷二楽章
膝掛けに秘密の想い有りにけり
場所変えて膝掛け一緒に動きけり
膝掛を上手にたたむ若社長
膝掛に戦仕掛ける子猫の手
人力車赤い膝掛け二人づれ
膝掛や地を伝ひくる夜の風
膝掛やこの夫(つま)に添ひ四十年
もふもふや膝掛の上猫二匹
膝掛の下の脚組み弛めきぬ
膝掛の少女は少女らしくなり
膝掛を借りたる席や北へ飛ぶ
膝掛を二枚重ねて成層圏
立ち上がる時も離さず膝掛を
くっついて君と膝掛半分こ
美容院の膝掛いつも同じ色
膝掛けを巻きて本読むをんなかな
膝掛の上キジ猫の大欠伸
くつ下に想いを込める膝かけと
膝掛けに温もりだけを残したる
膝掛や定期預金の醒めぬ夢
膝掛や足を崩すといふ言葉
膝掛けはいつも持参す句会場
何年も同じ膝掛飽きもせず
膝掛の夫はソファに埋もれゐる
バス旅や妻の膝掛横に引く
膝掛や歌丸笑ふ一人の夜
膝掛に貼り付いてゐる影もあり
膝掛を一枚カバンに入れ歩く
膝掛や針に通らぬ赤き糸

【不明】
犬先に駆け回りたる草紅葉
眠き眼を擦る子供やどんど焼き
撒き米に群れる冬田の雀かな
苔清水ワインの如き香りかな
子等の背を星ついて来る冬の道
遊ぶ子等さよなら告げる日短し
冬の田や鍬打つ母の背の丸き
左義長や灰降りかかる人の群れ
関ケ原西も東も虫時雨
高千穂のおろし背を抜く下校の子