きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「山葵(わさび)」__金曜俳句への投句一覧
(4月27日号掲載=3月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2018年4月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【山葵】
肌を刺す水の育てる山葵かな
猫舌が茶漬けに啜る山葵かな
山葵田に陽をふくませて水輪かな
安曇野の山葵コロッケ染む眼
山に入り山葵の二三本採りぬ
さらさらと山葵田の水底はつか
わさび買ふ母の気持ちに桜散る
山葵田や分かり易き分水嶺
断乳に乳首の先に山葵塗り
山葵田に千変万化の瀬音かな
水芳し山葵を濯ぐ指もまた
幸せはおそらく闇にある山葵
山裾の山葵田の水音も良し
山葵田の底の小石や汚れなし
どこまでも緑が好きな山葵かな
アルプスの峯なり白きわさび田ぞ
流されず流れは止めず山葵沢
山葵沢宿酔散らす水道水
水の音養分とせし山山葵
行く人に山葵渡しぬ沼津駅
清流の音胸に痛し山葵田に
踊り子の山葵はあまり利かすなと
店頭の試食の皿の山葵かな
水底の荒砂うごき山葵沢
山葵抜くそれほどちから入れず抜く
水引いて山葵育てる尼僧在り
おぞましや流れに育つわさびかな
伏流を負うて誇らしわさび花
山葵田の水清らかに流れをり
名水は加賀へ流れむ山葵生ふ
花山葵ダム予定地の幟朽ち
むつとして掘るやもつこり濡れ山葵
わさび田を歩く新婚一日目
踊り子の影落とし行く谿山葵
山葵つけ思い巡らす休暇旅
山葵田の水冷たさが腕登る
白山は神の山なり山葵生ゆ
山葵田の水の流れてゆくばかり
山葵田の水あふれ来る山路かな
安曇野は晴れて山葵に強き水
願わくはごつごつとした山葵たれ
山葵田や清らかな人ほど病めり
山わさび瘤のかたちのいのちかな
山葵沢こけつまろびつ水ひかる
年輪を皮に刻むか水山葵
細胞を壊して放つ山葵かな
水清き里山薫る山葵かな
道のべの匂ひの渚山葵沢
山葵田に古き指輪の落ちてをり
安曇野は末広がりの山葵沢
山葵田に沿いし小道を滝壺へ
初恋は山葵風味の恋でした
風さへも山葵の香り吾もまた
喧騒と静寂の波山葵沢
覗き込む父の憂鬱わさび無し
山かげの水より生まる山葵かな
安曇野の光集めし山葵かな
わつと手の山葵ぞ鼻ぞ涙せる
山葵田のたゆたふ光かをり立つ
山葵擦る頑固親父の顎の骨
しとしとと雨になりたる山葵沢
藍染の野良着のをうな山葵沢
水のごと山葵の茎の立つてをり
入れ過ぎた山葵に噎る男前
タッパーに振られて辛き山葵かな
山葵沢向かうに白馬ジャンプ場
ギザギザハートの葉の辛さ百合山葵
炭鉱の黒き小川の山葵沢
山葵田の木橋の音を慎めり
山葵田を回り一族信濃そば
透き通る山葵田の水憂い無し
澄みし水山葵の葉陰流れ行く
目に沁むる山葵のみどり朝まだき
さみどりの渦の真中に山葵立つ
安曇野の山葵茂るる水車かな
喧嘩した夫に土産の山葵漬
よき水によき山葵あり沢の澄む
清流の折り重なりて山葵沢
清流のその先訪ね山葵かな
山葵田はそぼ降る雨ともやの中
寒冷紗伸びて山葵田狭きかな
清水にわさびおのれを写し居り
まつしろな切身に透くる山葵かな
山葵田の艶めく風と日の青さ
山葵食い山葵田を見たいと思う
渓流の色持ち帰る山葵漬
山葵すり疲れた頃の酒肴
敷き藁の湿り具合の陸山葵
わさび無き食卓挽歌が流れたり
角皿へ灸据うごとき山葵かな
鮨飯のほどけて香る山葵かな
山葵田を埋むる蒼き葉渡る風
山葵田にゐてよく使う五感かな
死ぬほどの悩みのなけれ山葵噛む
木洩れ日の棚田広がり山葵採り
清冽な水音恋ふか山葵の葉
賑やかな話断ち切る山葵かな
日陰樹のような子ら澄む山葵沢
重き想ひ抱きて巡る山葵沢
山葵田の槍穂(やりほ)高岳震わせ映しけり
おろしがね山葵に添えて活造り
清流に山葵の泥を洗ひたり
ごつごつとみどり無骨な山葵かな
山葵田に唯静かなる雨の音
山山葵育む沢の音となる
摺り下す山葵の香立つ田舎そば
水に立つ山葵の苗の瑞瑞し
裏山の彼方は身延山葵抜く
質素なることの幸ひ山葵丼
朝市や籠に束ねた花山葵
明けやらぬ秘かな沢に山葵生ふ
堰越えし水音まさる山葵沢
人気なき水脈を辿りて山葵採り
我を恥ず山葵田の水清過ぎて
粉挽きし水落ち行けり山葵沢
葉山葵や飾り水車の蕎麦の店
山葵田の底に陶器の一欠片
ひかり揉み合うて流るる山葵沢
山葵田の朝の空気を夕に嗅ぎ
山葵掘きれいなみづは濁らせて
山葵田に流れ着きたるオフェーリア
テスト前眠気覚ましに山葵塗り
山葵生ふ穂高扇状地の要
幽寂な山葵沢かな鳥三羽
わさび取り遠大計画延期する
わさび田はまっ白だけて謳歌され
ズリ山と幼馴染とやま山葵
山葵田のすぐそこといふ遠さかな
水の音水車の音を吸ふ山葵
山葵田の景色となりぬ老農夫
下ろし金極太山葵そばを打つ
タワーマンションの学童のごと山葵生ふ
いま落下せしごとき葉の山葵かな
山葵田に指つけようかつけまいか
山葵田の迷路に寄りし沢の水
やま山葵炭住育ちの友の居り
山葵すり料理と酒の味思う
山葵田の水の音(と)同じ音(おと)はなく
山葵苗呉れてきれいな人帰る
祖父母の漆の盆に山葵いきいき
山葵田の斜に悟空や白い雲
隙の無きお経のごとく山葵生ふ
効き過ぎた山葵に咽ぶ無精ひげ
山葵田のみづはこのあと蛇喰川
水音の淡く弾ける山葵沢
水に水かさなり山葵田のしづか
直売の太き山葵と生枡酒
週刊の表紙を飾る山葵かな
強面の夫が無言で擂る山葵
もののけのゑみたをやかに山葵沢
母かつてふくよかなりき山葵沢
谷筋を雪崩るるごとき山葵沢
山葵掘る水たつぷりと引寄せて