きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「七夕」__金曜俳句への投句一覧
(7月28日号掲載=2017年6月30日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2017年7月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【七夕】
七夕や墨の匂ひが恋語り
七夕や雨のにほひに満る書庫
七夕の竹を切り出す父と子と
七夕の町に夕風立ち初むる
七夕や娘の彼と待ち合わせ
七夕や親孝行は本で知る
七夕や虫籠窓より雨にほふ
七夕の祭り終わりし街を行く
七夕や友禅流しの水の綺羅
七夕の去りて流れる夢重ね
七夕のてるてる坊主雨晒し
七夕や僧自転車で戻りきし
甲板に七夕飾り掲げ航く
七夕竹願いひとつの家族かな
七夕に生まれてわかる孤独かな
星祭鯉になりたき日なりけり
七夕や笹の花見てしまう宵
星の恋静夜を遠く呼び交わす
七夕や佐吉の夢は叶ひけむ
七夕や半纏かがる赤き糸
七夕や土手の石英すきとほり
七夕や歩幅小さく石を蹴る
七夕やをさなの夢はパイロット
単線の仮停留所星迎
七夕に飛ぶ空港の揺れし笹
七夕に夜風渡れば空しさも
ぴちゆぴちゆと七夕汚す涙かな
七夕の夜の賑わいなぜ侘びし
指先に息吹きかけて星祭
牽牛はまた川中を往き倦み
七夕の竹枯れ短冊風に破れ
雨後の七夕を乱れ咲く希望よ
七夕の点呼のひとり足らざりし
一年ぶりメールだけでもいい七夕
犬猿の仲へも来る星今宵
ほんたうの願ひは書かず星の恋
七夕や今朝見し夢はもう忘れ
七夕の色紙に綴る恋綴る
いろかたち願いそれぞれ星祭
七夕や富士山頂に貼る切手
自転車に風を負う七夕の坂
薬包紙で折鶴折りて七夕に
七夕や独眼竜は武を祷る
七夕の思い出数多サラサラと
七夕のどら焼きに毎年火傷
七夕の願ひの語呂のよかりけり
干戈絶えよ願いの糸に今年また
天の川七夕に酔う一人酒
七夕に産まれしをんなナナである
ホームって天の川だね今日七夕
包装紙破らぬやうに星祝
七夕の豪雨雷鳴負けず産む
七夕や雨の匂ひて地の余熱
七夕や開け放たるる骨董屋
星祭る一宇ありけり山迫る
七夕や先生接吻しておりぬ
七夕の飾り賑やか浴衣着て
七夕や赤いダンプが渡り行く
棚ぼたはないと思うけど七夕
声高に七夕竹の願ひ読む
寝返りをうちたくなくて星祭
七夕や良縁も早や星たのみ
昨日こそ七夕なりし吾と猫の
ティファニーにすれ違ひたる星祭
七夕や銀河横切る宇宙船
七夕や確かあの夜分かれし子
七夕や今もどこかに戦あり
芋の葉の露に託せし平和かな
七夕や銀河は見えず人流る
笹もてる老女の帰宅星祭
七夕や先生講義に鴉鳴き
波近き宿の露天や星今宵
短冊の掠れをなぞる秋七日
滝行のごとき七夕飾かな
七夕や髪軽く編み舟の上
旅の宿偶然出合ひ星祭
おさな子の七夕笹のへいわの字
思いのたけ七十路筆は七夕に
七夕竹日に日に乾く音のして
七夕や拙き文字の願い事
七夕やLINEとやらの今むかし
願ひごとひとつずつ消え星祭
七夕の闇にをんなの香りかな
七夕や人身御供を知りました
今年から自分で書くと星祭
七夕の飾り疎らな老いの家
七夕やティッシュの玉の二つ三つ
七夕や父に似る背を追ひかけて
袖振るるほどの七夕竹の音
七夕に期限チェックの非常食
天蓋の筋を七夕祭かな
七夕や右足のゆび考に似て
七夕の竹に絡みし峯の風
織姫のひと夜の夢の重きこと
七夕や一年に一度帰る父
少年に変声期あり星祭
そういえば七夕だったね消灯す
短冊の文字の幼き星祭
七夕や遥かプラカの空明かる
夜の雲に都会の明かり星祭
平和願いし七夕やいくたびも
百人の願い吊るして星祭
七夕の笹に潜りて未だ仕事
七夕や恋の訴へ五千葉
シングルの理由を七夕生まれとす
七夕や今夜は星を数えよう
雨がちに七夕の日の少女かな
七夕の豪雨の夜に産まれし子
七夕に上を向きたる歩みかな
七夕の竹切り出して孫を待つ
星合の夜は長々し一人居て
七夕や都会に天の川見えず
ライバルはクリスマスだという七夕
七夕や亡き子のおもちゃ動き出す
七夕や影を開きぬ紙の花
七夕や二人隠れる降る星に
軽トラを七夕竹のはみ出して
操縦桿引いて今夜は星祭
七夕に飲み干してみたし天の川
たまには草の声も聞きたし星の歌
ザワザワと竹踊る空星祭
七夕や風のささやく広瀬川
七夕や夜空に流る星大河
七夕や香り仄かに薄化粧
七夕や闇は色なり光なり
七夕や個人情報消えし笹
原爆を持たぬ願いの糸吊す
知る人のなき人波や星祭
七夕や七十路筆の思いのたけ
しょう油焼く匂いが一番今日七夕
七夕や盥の水に星映し
農協の出口で触れし七夕竹
七夕や夕げも早く外のひと
この地球の裏まで届け星の歌
織姫の袖振る音か笹さやぐ
パン屋には七夕神社が出来上がり
七夕竹願いの重さ程はなく
予備校の七夕竹の太さかな
七夕の夜に身を責める針の雨
七夕竹斬りしチェンソーまだ熱し
ムスリムの児らも合掌星まつり
ハモニカの吸ふ音小さき星祭
七夕や叶へるつもりなき願ひ
予定日を過ぎて七夕生まれの子
七夕や星の声する夜となれり
再会の反故となりけり星今宵
七夕や音無き大河月写す
七夕や色紙重ね人を恋ふ
今更に会いたき人も無き七夕
一年に二度は会いたくない七夕
輝ふや七夕姫もかくやかと
ポン菓子機鳴らすよ星の手向けとて
提灯の列が島へと星祭
七夕に願いを書きし頃豊か
七夕や父の気合の入る紙縒
七夕や熱の残りしにはたづみ
七夕やハングル文字の願い事
七夕や書けぬ想いを祈りけり
家族寄る七夕笹やバーベキュー
七夕や新聞紙だけの竹飾り
幼子の文字たどたどし星祭
父の手に抱かれて飾る星祭
短冊に仲良くの文字星祭り
短冊の金銀色や星祭る
雑居ビル地階に小さき星迎え
七夕に飾るおもちゃのお星さま
七夕の話語りし祖母の墓
禿山へ七夕の風こぞり来る
短冊に夢に会おふと星の恋
吊り革はずっと平行線七夕
明かり消し七夕儀式始めたり
若き日の夫(つま)の香(か)恋し七夕や
七夕のつどひに流す歌うたふ
七夕にミからファとなる最高音
七夕竹伐られ見事な虚ろあり
七夕竹さゆさゆと雨呼びにけり
八ヶ岳眺め七夕飾りかな
七夕や白髪(はくはつ)二つ空見上ぐ
雨上がる仙台の宵星祭
七夕や誰に見せましょ竹飾り
笹竹をもらう時だけ会う七夕
ひたぶるに水浴びる子ら星祭
織姫はどれと聞かれし星の空