きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「宝船」__金曜俳句への投句一覧(12月25日号掲載=2015年11月30日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年12月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【宝船】
ポルトガル語の帆を立てて宝船
三越に探し求めし宝船
いくたびに海風つよし宝船
宿酔の目覚めやよれし宝船
ひかり秘め子の額広し宝船
宝船敷いて潮騒つのらせる
先頃の夢遠ざけて宝船
父の手の藁編む技や宝船
宝船笑ひ満てる炬燵有り
貧しきがオキュパイドせし宝船
髪結えばぞくりと似合う宝船
あれこれの欲の枕の宝船
かの人に夢で逢ひたや宝船
宝船よだれまみれで加齢臭
滾るごと日の出の帯や宝船
風運ぶ帆あればこそ宝船
宝舟白河の関越えて来し
なかなかに漕ぎ出せぬも宝船
船酔のやうな酔あり宝船
宝船貧乏神ものせて欲し
さてどんな夢を見るやら宝船
宙を飛ぶ宙宙戦艦宝船
工事中宝船にも後光差し
引揚げや裸一貫宝船
宝船名前わからぬ神二人
寄港地を間違へるなよ宝船
宝船水をかぶつて目覚めけり
寶船少し巨きい方求む
帆柱に頭をのせて宝船
七神のひしめきあうて宝船
孤老なる身に賑やかや宝船
大海を行くに小さき宝舟
吉夢とて夢は夢なり宝船
濤音は夢の中なる宝船
宝船掛軸昇る茶室かな
懐かしき夢こそ見たし宝船
宝船火の粉のなかに燃え上がる
惜しいところ夜間頻尿宝船
宝船猫に踏まれてしまひけり
光成す航跡真直ぐ宝船
領海は枕の下や宝船
我が未来地球の未来宝船
宝船七福神を乗せ忘れ
君欲す(ほっす)誰の枕か宝船
オリジナルアロマを振りて宝船
宝船夢を聞かれし祖母は今
宝船写す水面は夜も光る
何せんと二人暮らしの宝船
客室に人数分の宝船
いつの日か世界一周宝船
漂着の神もおはすや宝船
戦雲の覆いし海へ宝船
神棚に恭しくも宝船
申年の海おだやかに宝船
荒海に乗り出す年の宝船
宝船渡来の神の笑顔よき
床の間の小さき森や宝船
宝舟もう波音の届きをり
宝船一攫千金夢に見る
君の住む街で求めた宝船
この子には佳き夢願ふ宝船
ボロボロの折り目正しき宝船
宝船今年こそはと床につく
寝入り端波音聞こえ宝舟
宝船の行方見守る添い寝かな
這ひ疲れ座布団下の宝船
乗り継ぎて白河夜船宝船
宝船見てきたやうな法螺を吹く
航く先は言霊の指す宝船
見る夢も程々でよし宝船
弁天の腕を枕に宝船
孫一人絶滅のがれ宝船
夢の中アラーイエス乗る宝船
布袋やや遅れてきたる宝船
ひととせを旅して来たり宝船
部屋飼ひのインコ降りくる宝船
余生にも行先のあり宝船
金比羅の大き朱印の宝船
宝船で逢ひにゆきたき人あまた
しずしずと宝船敷く祖母有りて
宝船父は気合いで買いにけり
宝船おやじの声にほだされて
目覚むれば頭は海に宝船
移り住む船入町の宝船
水没の宝船なる悪夢かな
宝船笑ひの種や食卓に
セミダブルベッドに二人宝舟
早々と夢のほどけし宝船
宝船肥満におわす七福神
嫁にゆく春画と宝舟持ちて
宝船その賑やかさ夢のよう
寿ぎに鶴飛んできし宝船
宝船巨き頭を積みかねる
はらからは一男六女宝舟
祈り込め枕辺に敷く宝船
独身の婦長にもらふ宝船
描かれて可愛き神や宝船
内緒です枕の下の宝船
我らには夢見るだけか宝船
箱入りの七神宝船を恋ふ
宝船抱えた子供肩車
添い寝して共に乗り込む宝船
艦隊の宝船こそ恐ろしき
寝まる子に神も席詰め宝船
役終えてただひたすらに宝船
怒り肩土佐の漁師の宝船
宝船無くし七神箱に入り
宝船棘ある言葉励まされ
まあまあのこんなものです宝船
初孫のハイハイの背に宝船
近ごろの眠りは浅し宝船
米俵積みて傾く宝船