きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「菊膾(きくなます)」__金曜俳句への投句一覧(10月25日号掲載=9月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』10月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【菊膾】
菊膾ほどよく利ける国言葉
けふ富士の雲まとはざる菊膾
父の手の柔らかく揉む菊膾
菊膾供するための父の庭
菊膾小股の切れし女将かな
先付けに旧暦の名や菊膾
山の湯に心馳せあり菊膾
ふるさとになき物も好き菊膾
菊膾声の低きも男振り
独学の女将の琴や菊膾
菊膾まこと黄といふ他はなし
三回忌冗談話し菊膾
夜の更くること惜しみたる菊膾
下町の味濃き母の菊膾
下戸にして銀座三代菊膾
菊膾彩り添えて夕げかな
菊膾一品添えて貪の卓
菊膾ひっそりとある幸福感
散骨の是非が話頭に菊膾
菊膾撫でれば太き猫の頸
味見する手は母に似て菊膾
米寿さへ初の家系や菊膾
菊なます色くたびれて来るなり
菊膾ビールをやめて日本酒に
菊膾想い出すのは妻の声
菊膾女友達料理好き
三つ指でつままれ皿へ菊膾
菊膾食うて夫婦の黙しあふ
なびかせる旦那の器量菊膾
臨月の腹撫でてゐる菊膾
簡明な言葉選びて菊膾
崩れゆく世なれどされど菊膾
歯触りと色を愛でつつ菊膾
山形の小話菊の膾かな
名匠の酒器に酔ひたる菊膾
萩焼の小鉢に映えて菊膾
菊膾茶道部員に勧めらる
世の流れ残されてよし菊膾
勧めらる半身浴と菊膾
小鉢から口までがよし菊膾
覚めぎはの夢に尾のあり菊膾
思はずに真ん中の席菊膾
座敷まで菊煮る匂い菊なます
菊膾ひと口ごとの昼の酒
まずもって目で楽しまん菊膾
あの友もこの友も居て菊膾
遠来は君と星々菊膾
食すという語が似合いけり菊膾
歯ごたへの父の蘊蓄菊なます
黒猫の方が長生き菊膾
菊膾囁きのごと添えられぬ
笊ひとつ茹でて嵩減る菊膾
限定膳ランチタイムの菊膾
百年を経たる漆器の菊膾
菊膾ひと口ごとの遠き峰
菊膾作りて菊組だつたこと
「三杯酢」菊膾では無かったよ
菊膾京の花街石畳
拘りの父の歯ごたへ菊膾
菊膾韓人を祖に伊万里焼
菊膾酸いも苦いも知っている
菊膾知るやしらずや若き嫁
菊膾テレビ鬼平犯科帳
小料理屋女将得意の菊膾
菊膾ビールは駄目酒買いに
やさしさのじわじわと来る菊膾
捨てて来し野の懐かしや菊膾
理解し合ふこと難しき菊膾
縁に出て熱燗もよし菊膾
菊膾一言添えてテーブルへ
菊膾母は酢っぱく姑甘く
菊膾銀座の路地の小料理屋
身を固むことのよしあし菊膾
唇はあれこれ使ひ菊膾
思い出に灯ともる夜や菊膾
菊膾去りゆくものをうべなひて
ここからは交わして小声菊膾
花占い散らし集めて菊膾
菊膾庭に亀ゐる開け座敷
山形の食用菊や菊膾
菊膾メニューに産地書き込まれ
さっきから挨拶続く菊膾