きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「種物、花種」 金曜俳句への投句一覧(2月22日号掲載=1月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2月22日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

(当季雑詠は募集しておりませんが、ここにまとめて掲載します)

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【種物、花種】
花種に空あり水の声のあり
種物や君は地の精として生れ
種袋振つて赤子をあやしけり
花種や花咲く頃の日を想ふ
柏手を打ちて取り出す種袋
花種を撒いて一族勢ぞろひ
種物を選び始める雪見鶏
種袋パン屋の隅に並びをり
物種の中に今年の志
日に透かしなかなか開かぬ種袋
玩ぶ花種袋稚き児
日和よし少し買い足す花の種
種物よ大きく育てと名付け親
花の種息ひそめたる色種々
病みし子の手のひらにこそ物の種
老嬢の呉し物種蒔きてみる
花種を掌にのせ眺めをり
種袋調子優しき説明文
買物の食ふ物減らし花の種
花種を買ふ新しく住む町に
花種や色とりどりの夢描く
花種の眠気が泥として残る
鍵盤に花種蒔いてみたし宵
花種を選びまどいて日の暮れる
訳もなく振つて買いをり種袋
掌の窪みに落とし花の種
花種や心地良き夢見て目覚む
花の種忍ばせてゐるエアメール
走る足種物めいて止まりがち
花種を我は地に撒く使徒となる
花種買ふ体の具合好き午後に
花種を分けてくれろと徹夜する
花種を選ぶ京都の粋な花舗
雲の尾はみな北向きぬ花の種
特価札赤字で大書種物屋
花種も咲かねばならぬ恋しぐれ
花種や太陽光も手の平に
種を蒔く花飾りたき通勤路
種袋祖母の遺言のごと懸かる
政権にあればこそ成る花の種
おもふ人ゐて紫蘇種を蒔く日陰
種物や男一匹半世紀
花種の片仮名の名は憶えざり
種袋吾の恋文実に地味
文藝の袋小路へ花の種
国益の種こそ仕込む喜びが
物種を蒔く周囲三百六十度
引出しに恋文のごと花の種
カタログに並ぶ花種嬉しき子
種袋振るや誰とも話さぬ日
苜蓿播かるる先の異国かな
花種を収めて固し紙袋
花種を蒔き終へ午后のお茶をする
花種が並ぶ棚横パンジー苗
花種のビニールハウスラジオ鳴る
花種は春を托して蒔かれけり
家を買ふローン結びて花の種
種袋振ればまだまだ眠さうな
馴染みなき花種の名は忘れけり
教科書のページの隙間花の種
夜半の納屋種物さざめゐてをりぬ
キリストを種物なりと達観す
陽の温み待つや袋の花の種
踏み出して足は種物未来へと
種物に女房一匹みつけたり
抽斗のなかに去年の花の種
民主主義これが惑わす種袋
掌のひらにまずは広げて花の種
看板に「種」と一文字過疎のまち
花種を選る恋人を選るやうに
花種を壜につめたる唐変木
マラカスとして振られたる種袋
花種や大地は我に会釈する
蒔き時はほのかに温し花の種
武蔵野に住み花種の形見分け
花種の中の大物俺のもの
長靴を履いて花種買ひにゆく
種物屋値札の墨字にじみたる
印刷の花は可憐や種を買ふ
ティッシュかともらつてみれば花の種
花種の息を感じて耳澄ます
畝々に種物のつぶぽつぽつと
物種の一段二段みな野菜
薬屋のおまけに貰ふ種袋
種物も外国生れ帰国子女
向き合ふより並んで行かん花の種
望郷や牛の膝とふ葱の種