きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「茸狩」 金曜俳句への投句一覧(11月23日号掲載=10月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』11月23日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【茸狩】
肩車してもむなしき茸狩
茸狩のすでにレシピを言ひあへり
茸狩輪廻のここは吾が人
放射能たくわえ易い茸狩
毒づきは華やぎに似て茸狩
菌狩まだまだと言ふ眼のくばり
茸狩姿は見えずカーラジオ
定年はまだ先のこと茸狩
茸狩の一目散に撤収す
高きより鴉の視線茸狩
ボス猿に射竦められる茸狩
茸狩終えて囲むやタジン鍋
茸狩の眼差しのまま街に帰す
茸狩や森の滴に洗はれる
エプロンのまま裏山へ茸狩
腰籠から床に並らべり茸狩
木漏れ日の中の一日茸狩
知り尽くし森持て余す茸狩
かそけさの姿求めて菌狩
名人にいちいち見せて茸狩
菌狩変りそめたる山の色
茸狩魚影きらめく渓越えて
茸狩り茸の伸びる音を聞く
蕎麦打の手も借り出して茸狩
野仏を片手で拝み菌狩
跳ぶ谷も這う岩も経るきのこ狩
殿が煙に巻かれて茸狩
茸狩初陣ゆえに寝不足や
大蛸のごとき手足よ菌狩
廃村の土台またぎて狩るきのこ
茸狩平らな駅へ帰り来ぬ
見上げれば熊棚あまた茸狩
茸狩終へて軍手の馴染みけり
さまよへば木ねずみ駆ける茸狩
走り根の太きに下ろす茸籠
村雨や無念の中止茸狩
結界のぎやうぎやうしきも茸山
茸狩帰りはほんまえびす顔
茸狩景色を愛でし帰り道
籠の中無口同志の菌狩
父祖よりも古き林や茸狩
茸狩や見るとも無しに見ることを
茸狩深まる野山もの静か
茸狩やバスは一日二回来る
茸狩鍋鎌肉の持ち帰り
茸狩縄文人の血を引くや
庭先の茸狩して夕餉かな
茸狩成果見せ合う昼餉かな
ぶだう・くり・どんぐり・くるみ・茸狩
茸狩湯宿の膳も茸飯
引かれたる手のそぞろなる茸狩
冒険をする子も連れしきのこ狩
腐葉土の匂ひ立つ森茸狩
幼くて兄の尻追ふ茸狩
山並の色づきに見蕩る茸狩
茸狩の母の阿修羅のごとき貌
茸籠に敷く地方紙の尋ね人
茸狩警戒区域進入中
菌狩ときにあやふきがれ場越し
先着のキセルくゆらす茸狩
風渡る橅の梢や茸狩
山の気やとちぬも悔ひず茸狩
茸狩われら後期の高齢者
二つ三つけものみちすぎ菌狩
奥深く林道見事きのこ狩
真ん前に嬶の尻や茸狩
茸狩原木の家探し当て
菌狩案内の人の口重く
木漏れ日を背に蓄へ茸狩
葉を落とし木々清々し茸狩
足もとにあるよと言はれ菌狩
リス駆ける朝露分けて茸狩
鳥海に日矢差し込みぬ茸狩
里の児を師として今日の茸狩り
茸狩元気一杯やや遠く
置賜の茸山にぞ通ふべし
駆け引きは相場師さながら茸狩
松茸のありどは言はずうそぶけり
こゑかけて兎も角出づる茸狩
列なして浅瀬を渡る菌狩