きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(4月27日号掲載=3月末締切、兼題「蛙」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』4月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【蛙】
半眼に葉擦れの中の蛙かな
昼蛙目が合っちゃてはっけよい
鳴き交す蛙の声や恋の闇
国会の殿様蛙といはれをり
目を細め恋のさなかの蛙かな
鳴き交す蛙の数だけ恋のある
初蛙開け広げたき扉あり
神さまに尻むけてをり牛蛙
あと何年今の健康蛙鳴く
親蛙子を託したる轍かな
畦を行く子らの足どり初蛙
廃校の眠り時計や昼蛙
遠蛙湯上りの爪ととのえる
切岸の海に聞こゆる蛙かな
干からびた蛙の脇に轍かな
夕蛙風の下りゆく棚田かな
城内の蛙合戦闇のなか
井戸端に砥石ころがる昼蛙
跳ねる子のリズム蛙と合ひ過ぎて
初蛙捕へることの易きかな
この家も人住まぬ家遠蛙
弘法の池の殿様蛙かな
田に満ちる蛙の声や世の無情
蛙ゐて貌真新し厚かまし
情事終へ蛙の啼くを聞いてゐる
ひとり寝を賑はしてゐる遠蛙
蛙の背眺めるだけの大人猫
跳び乗りて葉蘭揺らせり雨蛙
ハモニカのおさらひに和し初蛙
蛙はや厨に下宿してゐたり
蛙鳴く草を束ねて掃く箒
二組の湯治客あり遠蛙
青き田に棲む声太き牛蛙
愛の巣も女が背負う蛙かな
遠くから鳴き声合せ初蛙
田が畑に変はりてもなほ蛙啼く
いま気づく星の大きさ遠蛙
蛙さえ住めぬ世となり高層化
モーリスと名付け蛙を家族にす
夕日浴びはねて踊るや蛙なり
古池や宅地に変わり蛙消え
点滴の一滴ことに遠蛙
夕蛙耳は胎児のかたちして
蛙避け下ろした鍬に身を預け
おしまひのページめくりて遠蛙
蛙聞き童育ち遠きかな
蛙鳴く夫の寝息の静かなる
田が汚れ蛙受難の年となる
植物園池に蛙と掲示せり
蛙みな平泳ぎにて逃げにけり
分かれ道蛙道無き方へ跳ぶ
青む蛙放射能降る草のうへ
朝ぼらけ静もる蛙首尾いかん
跳び方に思ふ蛙の子は蛙
ばうばうと捨田の蛙なればこそ
遠蛙よりも遠くに遠蛙
お散歩の兎おどかす蛙かな
夕蛙ふと思い出す故人の名
遠蛙宿の下駄履きこなせずに
比良の山モリアオガエルの白き泡
青む蛙思ふ壺より這ひ出せる
みちのくをなきつくしたる蛙かな
やせ蛙はねてようやく日のぬくみ
さはあれど蛙の鳴きて日本かな
悪童や蛙の貌によく似たり
叱られて口をきかぬ子遠蛙
枕べで聴くや蛙の歌の声
石段に腰かけ蛙と並ぶ孫
鳴くときぞ独りは寂し蛙かな
遠蛙契約書類書き終へて
せせらぎの近きやれろとかはづ鳴く
重い重い蛙合戦死むむむむ
蛙めに我どう写る雨もよい
遠蛙これより先に立ち入れず
橋上はいつしか暮色遠蛙
胸張って何か物いふ蛙かな