きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

[この国のゆくえ6…「挙国一致」の「大連立」は危険。目指すのは「挙民一致」だ]

<北村肇の「多角多面」(25)>

 にわかに「大連立」の動きが高まっている。歴史を変える大災害だ。与野党が、目先の下らない政争に血道をあげている場合ではない。だからといって、「大連立」に双手を挙げて賛成するわけにはいかない。相当な歯止めをかけなくては、危険性が大きすぎる。

「大連立」に向けて、いち早く動いたのは菅直人首相。自民党の谷垣禎一総裁に対し、直接、電話で入閣要請をする“禁じ手”を早々に繰り出した。一旦、断った谷垣総裁は3月31日、「常に360度を見渡して進んでいく」と含みをもたせた発言を記者団に披露。もともと森喜朗元首相や古賀誠元幹事長は積極的で、古賀氏は「『えいやっと方向を決めてほしい』と決断を求めている」(『東京新聞』4月4日朝刊)という。一瞬、自民党の流れも決まったかに見えた。だが、反対を表明する小泉純一郎元首相に会った谷垣氏は「今まで連立したいとは一言も言ったことはない」と、またもや軌道修正。民主党内にもさまざまな声があり、当分、右に左に揺れそうだ。ただし、火種が消えることはない。

 与野党協力に関しては、私も早急な実行を求めてきた。これだけの事態となれば、あらゆる知恵と力を結集するのは当然だ。しかし、「大連立」が持つ負の面もしっかりと見据えなければならない。かつて、戦争や大震災といった非常事態は「挙国一致内閣」につながってきた。それは、「国難を前に、国の指示・命令には絶対服従」という社会の出現でもある。「非国民」という概念が生じるこのような国家が、いかに破局の道を歩むかは、いまさら指摘するまでもない。

 仮に「大連立」を実行に移すなら、「挙国一致内閣」ではなく、「挙民一致内閣」でなければならない。それを担保するには、「時限的」はもちろんのこと、すべての政党参加が必須となる。具体的には、共産党、社民党からも閣僚を出すということだ。そして、各党とも、党是は一旦、棚上げにし、とにかく被災者の救援、原発事故対策に一致協力する。

 だが、それだけではこと足りない。民主・自民連合が数を背景に強硬な姿勢をみせれば、「少数閣僚」の声が押しつぶされてしまうことは十分、予測される。そこで、連立政府が暴走しないように監視・検証する第三者機関の設立が重要だ。ここには学者のほかNGO、NPOが加わり、市民目線でのチェックを行なう。そして、問題のある場合は、政府に勧告するとともに、その旨を広く市民に伝える。

 上記のようなことが実現するならば、これをきっかけに、新しい「政治のあり方」が見えてくるかもしれない。(2011/4/8)