きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

チュニジア、エジプト――「世界同時革命」で日本はどうなる?

<北村肇の「多角多面」(18)>

「ムバラク大統領辞任」のニュースを聞き、『東京新聞』の記事を思い浮かべた。2月3日朝刊「こちら特報部」の「デスクメモ」だ。

<「二十年前のこと。PKO派遣で反対デモがあった。取材に行く後輩記者「デモって違法行為ですよね」。当時のデスク「えっ(絶句)……憲法上の権利だ!」>

 エジプトのデモを特集したその記事では、「なぜ日本では起きないのか」についても触れていた。新聞記者が「違法」と考えているようでは、この国で、デモが市民権を得ないのは当然と言えば当然か。だが、事態の変化はありうる。

 何と言ったって、いまの状況はある種の「世界同時革命」だ。エジプトの政変はチュニジアの「革命」がきっかけだし、そもそも欧州で頻発していたデモがアラブ各地に飛び火したものでもある。

 こうした21世紀の「同時革命」をもたらしたのは、イデオロギーでも宗教でもない。キーワードは「格差」と「インターネット」だ。チュニジアの反政府デモに火がついたきっかけは、青果の行商をしていた青年の焼身自殺だった。無許可営業を理由に商品を没収され、抗議も受け入れられなかったことに絶望したという。青年への共感は、ツイッターなどを通じて、またたくまに広がった。ベン・アリ大統領とその一族や取り巻きが巨万の富を蓄積する一方で、市民の困窮度は高まるばかり。そのことへの怒りが爆発したのだ。

 昨年5月には、ギリシャで公務員の賃金削減や増税に反対する数万人規模のデモが起きた。9月にはフランスで、年金制度「改悪」に異議を申し立てるデモが発生。これらに共通するのも、「貧困」と「格差」に対する市民の憤懣である。

 新自由主義が世界を席巻し、一部の大企業経営者や株主、IT長者に巨額なマネーが入り込み、市民はその「おこぼれ」に預かるだけ。一方で、統治権力者は財閥と手を組み、独裁政権をつくりあげ、市民の“反乱”を押さえ込む。世界は新しい封建主義の毒に侵され、忍耐の限界を超えた市民の憎悪が破裂。そしてそれは、フェイスブックやツイッターという“武器”により、あっという間に巨大な炎と化した。
 
 同様のことが日本で起きても何ら不思議はない。そのときは、「デモは違法」と評するようなマスコミも石礫(いしつぶて)の対象になるのだろう。(2011/2/18)