金曜俳句への投句一覧(11月末締切、兼題「時雨」)
2010年12月3日9:32PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』12月24日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【時雨】
テーブルの予約の札や夕時雨
大和路を一直線に時雨かな
山田畝ふ人みな老いぬ時雨れけり
時雨来てチョンマゲ寂し映画村
時雨おり山には小さき瓜ん坊
枯れ残るプラタナスの葉時雨打つ
牛濡れてゐるやうでなし片時雨
しぐるるや瑞穂の国の放棄田
時雨るるや円高還元セール中
あれやこれ時雨に去りし日憶ひけり
時雨おり孫に贈らむTHOMASの傘
山茶花のほのかに灯る時雨かな
ひとしぐれありて石庭ざわめきし
山近き海に驚く時雨雲
七五三衣装がなくて時雨ふる
時雨るるや見知らぬ人と軒に入る
父と会ふ楡の並木の時雨かな
時雨中戦利の島は友愛で
稜線を幕引くやうに横時雨
時雨るるや黒板に居るスヌーピー
鳥の声拾ふがに行く朝時雨
赤と黄の巴錦に時雨かな
片時雨馬の背中を光らせて
七十七銀行灯る時雨かな
夕時雨君とのときが濃くなる
今の世も姨捨てられて時雨ふる
軌む骨こつこつ木の実しぐれかな
解体の稚蚕飼育所しぐれけり
大伽藍一気に烟る時雨かな
橡の木の下行く背初時雨
段丘の景を人行く片しぐれ
しぐれ客さえずるやうに売り子たち
存在と時間のあはひ時雨たる
しぐれ虹二度越え来たり夕ひそか
みまかれし人とながめた片時雨
しぐるゝや方程式に解ふたつ
横しぐれ縦に蹴ちらす交差点
荷のひとつ持てぬ手になり秋時雨
野良の猫まなこ光らせ藪時雨
のこり湯に沈めば時雨呼応せり
菩提寺に小さき十字架夕時雨
命日に来て山麓の墓時雨る
四阿の墨痕の香や時雨ふる
音のなき時雨に濡るる京町家
時雨おり明石に泊まるたこフェリー
掛け蕎麦や窓曇らせて時雨れゆく
時雨きてゐるかも知れず右左
時雨来てチョンマゲ曲がる札の辻
しぐるるや土間に古びし甕一つ
嘘つひて逢ふ有楽町夕時雨
千代紙の刺子文様初時雨
時雨くる五百羅漢の禿頭に
しぐるるや日本海までゆく轍
時をりはまだ明るくてしぐれゆく
敵味方祀る祠に夕時雨
時雨るるや人なき駅を過ぎにけり
クレムソンレーキ羽織り時雨に立ちつくす
斑鳩を経めぐり来たる時雨かな
しぐるるや唐松はただ天を指す
ゆくさきのうすうす灯るしぐれかな
横時雨街に段差の見えにけり
時雨きて言問だんごほおばりし
時雨るるや鹿路峠のをちとこち
時雨来て比良も比叡も消えていく
基地いらぬ言っても無駄と時雨ふる
来る来ない少女に帰る時雨心地
本日のオープンなりと時雨窓
時雨るるや尾灯零るる夜光虫
野遊びを散らして追うて時雨れけり