「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』１０月２２日号に掲載します。

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【秋祭】
原発の見えてさみしき秋まつり
街裏に老のはなうた秋祭
煮干しにて御神酒あふれば秋祭
カメラ手に家を飛び出す秋祭り
たてこみて灯明だけの秋祭り
秋の夜提灯までも親密に
秋祭笛仕る三姉妹
笛の音の高く澄みたる秋祭
新調の幟竿の香むらまつり
百年の知己の顔して秋祭
しっかりと秋祭りでもつかみたい
初恋を知りし十五の秋祭
白塗りの少年の声秋祭り
秋祭お面綿飴孫五人
秋祭背丈の低きウルトラマン
制服のままでだらだら祭かな
秋祭り夕闇色の笛の音
夜笛して民話の里の秋まつり
秋祭虫の音熱い合唱
肩触れて君を欲りせし秋祭
お御輿が飾られてをり秋祭
秋祭果て三々五々の星夜
手弱女やあきまつりのみあふれいで
秋まつり黒もんつきのてふきまま
明月を見ながら涼し秋祭
秋祭マルシェとならむ鎮守森
家路にて秋祭かな唄聞こゆ
幼友のまばゆく遠し秋祭
妹は肉食系や秋祭
秋祭り浴衣で行こか迷うてる
波立つや秋祭の夜のスクリーン
秋祭団地の子らの声響く
笛吹きはジャズの名手や秋祭
空見れば風も涼しや秋祭
笛吹きの即興弾み秋祭
まだつゞく動乱蜂の秋祭り
秋祭果てて冷たし水ヨーヨー
廃鉱の街つつましく秋祭
先太き箸たくさんの秋祭
振る舞いの酒をひとくち秋祭
八郎と美智也覚えし秋祭
秋祭り神輿去り行き人ゆるむ
ふるさとの秋祭りいく二人連れ
氏子でなき助人が居て秋祭
居酒屋の常連集ふ秋祭
秋祭明ければ町のしらじらと
文鳥の籠しづかなり秋まつり
目の前の係の人につられおり
男等を酒に攫はる在祭
秋祭幸せだよね自問して
秋祭りしかけはいつも後になる
股引も足袋も眩しき秋祭
蒸し暑く盆踊りとまちがえてる
脱ぎ捨てし足袋片方も秋祭
深爪を持て余しをる秋祭