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金曜俳句の投句一覧(7月末締切、兼題「帰省」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧

選句結果と選評は『週刊金曜日』8月27日号に掲載します。

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【帰省】
やわらかなゴッホの雲に帰省する
帰省には東海道線乗り継いで
山河のありて友なき帰省かな
お国訛早聞こえし帰省バス
帰省菓子今年は誰におくろうか
番組のチャンネル違ふ帰省かな
帰省子はまず仏壇に冷酒酌む
改札を風と帰省の子通り抜け
苦学せしことを帰省子黙すのみ
楽しみにした帰省元気な両親の頃
帰省の途隣に広がる友達の輪
帰省の子女友だち連れて来る
帰省子に見合の水を向けてみる
平磯の灯台目指して帰省かな
帰省子の箒持つ手の美しく
帰省して従兄とケンカ楽しめり
仏壇に写真の増ゆる帰省かな
帰省子はやたらにかける黒電話
茅葺を八重雨包む帰省かな
初孫とウォーキングする帰省かな
帰省して小学生に帰省する
母ばかり話して笑ふ帰省かな
起き上がり最中と叔母が帰省する
一葉の写真となりて帰省せる
帰省して三日経ったらタダの人
孫の顔脳裏に描き帰省待つ
帰省して時の止まった部屋で寝る
ゆっくりと家の影踏む帰省かな
出る杭を打たずに送る帰省の子
無人駅また無人駅帰省かな
帰省するマンモス団地3DK
都会での水に溺れて帰省せず
帰省して棚田に鹿の親子あり
帰省して自動切替関西弁
帰省して風のたよりの縁かな
帰省子やけふは休みと母の背
帰省子のやぶ蚊も待てり墓詣
東京の土産は何だ帰省する
帰省するたびに見上ぐる写真かな
帰省して常より思う君のこと
着くまでの一人旅うれし帰省かな
帰省してひそかな夜の雨のおと
帰省して同い年の桐を見る
帰省して旧友の老いた父に会う
一本松弓張月の帰省かな
父母の訃報以来の帰省かな
今年また帰省できたり父母元気
UK TOKYO HIROSHIMAの子らが集まる帰省かな
帰省子の黙し語らず寝一途
帰省とは魯迅の作の「故郷」かな
帰省子の麻雀仲間直ぐに来る
無事としか言はぬ父母へと帰省かな
帰省した子らと咲かすや情報の花
帰省子に三個を割りて卵焼く
茅葺の主たずねし帰省かな
帰省子は国の手形を置いてきし
インパール祖父の香かぐ帰省かな
帰省して父の香かぐ一周忌
親なくも山河微笑む帰省かな
帰省して介護に追われる日々となり
帰省子の土間に揃へし破れ靴
帰省子にかもめ腹見せ飛び去れり
みそはぎのみだれし小川帰省かな
亡き親と昭和に生きる帰省かな
老いて尚墓参帰省に孫連れて
帰省を待った両親はかなし
一本の木の下通る帰省かな
帰省する小遣いの土産栄太楼
別れても又一つなり帰省の子
残業で夜中に予約帰省バス