きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

死にゆく人々

 1月11日号では、フォトジャーナリスト広河隆一さんのアフガニスタン報告を10ページにわたって掲載しました。写真をたっぷり大きめに使った異例の長さの写真ルポです。じっくり見ていただければ、と思います。私自身、極限状況におかれたときに人はこんな表情になるのかと、衝撃を受けました。

 タイトルとして「アフガニスタン 死にゆく人々」を提案したとき、編集部内でも「少しきつい。扇動的ではないか」との声が出ました。大マスコミが流し続ける「カブールが解放されて平和が戻った」という報道に影響されたためです。実際は、広河さんの報告にあるとおり、いま、この瞬間にも多くの命が失われているのです。

 広河さんは「ジャーナリストの姿勢が、湾岸戦争の時よりひどくなっている」と、憤っています。多くの記者や報道写真家が、米軍や北部同盟の従軍記者となっていて、米国に都合の良い報道しか流さないからです。

「ベトナム戦争の時は、従軍記者が米兵の残虐な行為や、虐殺される民衆の姿などを報道していた。湾岸戦争では、米国の徹底した報道管制で自由な報道が難しかった。しかし今回のアフガニスタンでは、自由に取材できるにもかかわらず、難民キャンプの報道があまりにも少ない」「インターネットの発達など通信環境が変化し、資金が乏しいフリージャーナリストでも前線から実況報告ができるようになった。その結果、ほとんどのジャーナリストがミニCNN化してしまった。つまり、最前線からの報告にだけ熱中し、戦争の本質を伝える作業を忘れている」(広河さん)

 常に現場を重んじる広河さんの記事と写真は、1月11日号のほか、下記の『週刊金曜日』バックナンバーで読むことができます。(中東、アフガニスタン問題関連のみ)

「アフガン難民キャンプの子どもたち」        390号〔2001年11月30日〕

「軍事報復の背後で 暴走するイスラエル」      386号〔2001年11月2日〕

「“難破”するイスラエル シャロン、戦争への道」  365号〔2001年6月1日〕

「出口なき中東和平 イスラエルの誤算」       338号〔2000年11月3日〕