きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

仮性チーマー系芸能人

先日、小学校時代の友人たちのゴリ山、チンパン、ヒヒ川、チョロ松、K林と東京・神楽坂で久々に飲むことになった。小学校時代の同窓たちは、それぞれの道を歩んでおり、しみじみと味わい深いものがあった。それぞれにいろいろな人生があるわけだが、たとえばK林というやつは高校時代にチーマーだった。K林は今はなき渋谷の大バコ・ディスコ「ラ・スカラ」を拠点に、チーマーの走りをやっていたということだった。(「ラ・スカラ」と言えば、筆者も笛を吹いて青臭く踊り狂った記憶があるようなないような)。そうして道玄坂の名物兄弟の「K兄弟」やら大学生と高校生の仁義なき抗争やらチーマー発生史など、いろいろと興味深いK林のやんちゃぶりをいろいろと聞いていた。

そんな中でK林が怒っていたのが、チーマー出身を売りにする芸能人A・Mの話。「渋谷でケンカに明け暮れていた」ビリヤードが得意なガングロ・ワイルド系俳優の話だ。K林は「ラ・スカラ」にいる頃、先輩に「こいつ芸能界にデビューするからよろしく」とA・Mを紹介されたそうだ。それで先輩の酒を運んだりしてチョロチョロしているやつがいるなあと目の端で追っていたらしい。それが気づくとテレビでもよく見かけるようになり、「ケンカに明け暮れていたチーマー」ということになっていた。しかし、K林曰く「A・Mはケンカのときに一度も姿を見せたことがないんだぜ。だけどおれらはあまりテレビ見ないから。誰もそんなのいままで気にしたことなかったけどなあ」といまさらながら怒り気味の様子だった。

確かに、「芸能人は歯が命、顔が命」。ケンカに加わるようなことはしない。私がかつて運送のアルバイトしていたとき、一緒にアルバイトをしていた俳優志望の人たちは「手にキズがつくから」と手袋をしていた。俳優はそれぐらい、自分の身体にキズがつくことを嫌うものだ。そんな輩がケンカなどするはずもないだろうなとは思う。それが今や、ワイルドなチーマー出身として売りになっている。昔のチーマーとしては忸怩たる思いがあるようだ。

なるほどなあと思いつつも、私も時折、似ていると言われるA・Mだけに批判されると複雑な心境になってしまう。

うーむ。今日は「ワンダフル」でも見ながら(あ、もう終ったか!)、「キールロワイヤル」でも飲むかなあ。

*今週号(1月24日号)では筆者の「神出鬼没 農民ジョゼ・ボヴェ」という記事が掲載されているのでご笑覧ください。ボヴェは『サラリーマン金太郎』真っ青のワイルドな農民です。この人テストにでますよ(ウソ)。
(平井康嗣)