編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

いいようのない気持ち

 作家の目取真俊さんが、高江のヘリパッド建設予定地で差別発言をした大阪府警の機動隊員によって、「蹴る」「殴る」という文字通りの暴力を受けていたことを『沖縄タイムス+プラス』(11月3日配信)で読んだ。いいようのない気持ちだ。個人の問題というより、警察組織、国家としての問題ではないのか。強大な力を持つ警察が市民を挑発し襲いかかる図は心底恐ろしい。緊急に特集を組んだ。

 もちろん大阪府警や警察に関わる人たちすべてを断罪する意図はない。沖縄にルーツを持つ機動隊員は大阪府警に少なくないというが、そのなかにはまっとうな感覚を持つ人もいるだろう。この問題にもっとも怒っているのはそういう内部の人ではないか。大阪府警の取材経験が豊富な記者は、そう語った。

 もうひとつ、今週は時代を牽引する演劇人のインタビューがお薦めだ。公演の場所・期間が限定的な演劇は、映画と違い小誌ではなかなか取り上げにくい。この機会にその醍醐味を堪能いただきたい。